2014-09-10

581.20世紀のじみへん

中崎たつや・小学館文庫(used)。たぶん、じみへんは大判サイズの本で読んだ気がする。それと重複してるかどうかは判らない。たた文庫なので絵が小さくて、このまへに読んだ百人物語はコマが大きかつたので、大丈夫だつたが。兎に角、笑へる。いまも寝るまへに拾ひ読みしてゐる。

2014-09-01

579.580.百人物語 上下

業田良家・竹書房文庫(used)。朝倉のBook Offが再開してゐたので覗いたら見つけた。状態も良くて勿論108円ではなかつた。ロボット小雪や独裁君に近い。寓話的と言ふのか、哲学的といふのか。

2014-08-21

578.淀川長治映画ベスト10+α

淀川長治・河出文庫。ほぼ2箇月掛かつた、凡そ250頁の本なのに。結論から言へば、映画は見るもの、見て楽しむもので、評論なんか読んでもしやうがねえや、だらうか。独特の言ひまはしに躓いて、何度も本を閉ぢてしまつた。映画を知つてゐる監督だ、とか、完璧な映画だ、とか、その根拠が、そのワケが示されてゐないので、ご高説を賜る式に読むしかなかつたことも時間が掛かつた理由だらう。巻末に蓮實重彦との対談があつて、これも楽屋話のやうで、知らない人間には面白くないところもあつたが、淀川さんはホントに映画が好きな人だつたんだなあ。

2014-08-07

577.事件の年輪

佐野洋・文春文庫。10篇の短篇が収められてゐる。やはり佐野洋は外れがないので安心して読める。凝つたアリバイ・トリックもないし、連続殺人もないけれども、ミステリの面白さは充分に味はふことができる。去年の4月に亡くなつてしまつた。残念。

2014-07-19

576.密室の鍵貸します

東川篤哉・光文社文庫。この人の本は最近、中途半端な密室といふ短篇集を読んでゐる。そのまへに、謎解きはディナーの後で、も2冊読んでゐる。ユーモア本格ミステリと呼ばれるさうだ。動機はいま一つだけど、よく作られてゐると思ふ。まへのはうを読み返しながらトリックをお浚ひしたけれども、旨く騙された。

2014-07-17

575.桃太郎

芥川龍之介・Kindle。芥川は岩波の全集を持つてゐた。殆ど読まないまま、金に困つて売つてしまつた。だから、こんな短篇があつたなんてことは知らない。桂三枝、現六代目桂文枝がテレビで桃太郎を演つてゐるのを聞いたことがある。父親が息子に話して聞かせる昔話桃太郎。昔とはいつのことだ、から始まり細かいところをいちいち息子が問ひ質して困らせ、遂には立場が逆転して、桃太郎といふのは実はかういふ話なんだと説いて聞かせると、いつのまにか父親は眠つてゐて、父親なんて罪がないといふオチ。これは桃太郎が実は温厚で平和に暮らす鬼が島へ殴り込み、殺戮、陵辱の果てに宝物を持ち帰るといふ話。小松左京の蜘蛛の糸みたいなものかな。

574.イワンの馬鹿

トルストイ/菊池寛訳・Kindle。坊つちやんを購入したとき、他に2つ(単位は冊ではをかしいだらうし、1つ2つも変だが)購入した。これと芥川龍之介の桃太郎。どつちも一冊分はない。これを累計に入れるのはちと抵抗があるけれども、まあ上下巻もので1冊分で計算してるし、コミックなんかは20冊あつても一作品といて数へてゐるから、Kindleについてはかういふ計算で「よし」としよう。本の場合は今後も一冊の本に含まれる数篇のうちの一篇読んでも読んだことにはしない。
これはiPadを購入して直ぐ、「よみづくえ」といふAppをダウンロードした中に入つてゐたので確か途中までは読んだと思ふ。余計な話だがこの「よみづくえ」は300円だつた。でも殆ど使はなかつたなあ、画面や操作に慣れなくて。
どつちにしても、題名だけ知つてゐて中身を知らない童話、といふより寓話ですかねえ、その一つ。なるほどかういふ話だつたのか。三匹の子豚みたいなものか。以外に長い。

573.坊つちやん

夏目漱石・kindle。ずうつとまへ、高校の頃に読んでゐるので再読扱ひにしようかと思つたが、折角kindleで読んだのだから数に入れる。因みにこれは新潮文庫で持つてゐる。いつ買つたものか書いてないし、いつ読んだのかも書き込んでないが、昭和四十六年九月十日の六十一刷だから、まあ高校時代で間違ひないだらう。しかし、これは同じものだらうか。なんだか短い気がするんだよなあ。話の内容は同じなんぢやないか、と思ふんだけど。一字一句比較するのは面倒だ。文庫の最初と最後の頁とkindleを比べてみたら同じ。文庫のはうは43字×18行で127頁、だから400字詰原稿用紙にすれば≒250枚。kondleは全部でNo.が2503といふ風に表示される。そのうちNo.3からNo.2477までが本文だから中身は差引2474、iPadの横表示だと28字×21行が基本なので、×2474は400字詰で3636.78枚、……をかしい、No.はページ数ではないんだ。なんだこれ?最初から調べるか。例の「親譲りの無鉄砲で」で始まる冒頭の頁を縦で表示し、画面を一度タッチすると下に、No.10/2503・1%と出る。先づこの意味は?行数?でもこの頁は最初の「一」を除いて13行ある。次の頁に移り同じくタッチするとNo.26/2503・2%。この頁は16行。足すと29行だから26つて何?更に次頁No.48/2503・2%。愈々わからん。No.数字が増えてゐるのに%が同じ。
面倒臭いからもうやめるが、これはもともと青空文庫で、無料で購入できる。

2014-07-07

572.硝子のハンマー

貴志祐介・角川文庫。一箇月半振りに漸く一冊読み終へた。あれから、山中恒のあとで吉田健一の単行本未収録のエッセイ集と淀川さんの映画の本がそれぞれ半分くらゐ読んで滞つてしまつた。この硝子のハンマーは淀川さんの本と一緒にWonderGooで買つたものだ。ミステリは犯罪小説でもルポルタージュでもないから、有り得ないやうなトリックで殺人が行はれることがある。このトリックは密室。確かによく考へられたトリックだと思ふ。もともと読みながらトリックを破つてみせるぞ、なんて読み方はしないので、ただ普通の小説と同じやうに読んで行くワケだが、ちよつと違和感があつた。特に後半。後半は犯人サイドからの倒叙形式になるんだけど、この犯人が前半の探偵役の男と間違ふほどよく似た書き方になつてゐること、それと動機を作り過ぎてる感じがした。これでもか、と痛めつける。P509で高校の後輩の女の子が警察か弁護士に相談すればよい、と言ふけれども、正にその通りではないか。逃げるしかない、と思はせる書き方をしてゐるが、先づ警察ではなかつたか。父親の借金を子どもが払ふ義務があるのかどうか、法的なことは知らない。少なくとも生活費以外の借金、つまり遊興費であれば妻であつても支払ふ義務はない、と聞いたことがある。株取引による借金が遊興費と言へるかどうか解らないが、生活費ではないだらう。尤も、警察に相談したら展開はまつたく変つてしまふだらう。それと何度も下調べのためにビルに侵入してるけれども、目的のものが見つかつた時点で盗んでしまへばいいのに。だつて、誰にも不審に思はれずに出入りできたんだから。さうすれば殺人なんかしなくて済むでせう。この密室トリックは殺人のためのトリックなんで、なんか釈然としないものが残る。面白かつたんだよ、一気に読んだくらゐだから。でもねえ、ちよつとそこが引つ掛かる。

2014-05-23

ぼくがぼくであること

山中恒・角川文庫(×2)。誰かに貸してそのままか紛失したかで再購入してからの再読。いつも心臓がどきどきしてるし、頬つぺた真つ赤で恥ずかしい、といふ主題歌もよかつたし、ドラマそのものも良くて、だからどうしてNHKで再放送しないのか、できないのか、できないのはフィルムが無いのか。テレビドラマデータベースといふサイトで調べたら、これは1973年の9月17日から26日まで、ゆふがたの6時5分から6時30分まで放映されてゐたのだ。またしても70年代だよ。ドラマのはうを実は先に見てゐる。主題歌は佐藤博といふ人の曲で「南風」。はつぴいえんどの曲みたいで、いいんだ、これが。「なんぷう」と読むのか「みなみかぜ」と読むのか、はたはた「はえ」か。どつちにしても、このドラマが好きで、本は後から読んだのだ。原作では「まるじんの正直=マサナオ」だが、どうも「しんでんのマサジ」といふ風にインプットされてゐるらしい。その辺を確かめたいので再放送かレンタルであればいいのに、と思ふ。山中恒はほかに「おれがあいつであいつがおれで」も面白かつた。大林監督の「転校生」、この尾美君はいいよ、鬼平の尾美君もいいけど、と小林聡美もいい。

2014-05-15

てとろどときしん

黒川博行・講談社文庫(×2)。読み始めたら止められない。黒川氏の正義感といふか、それが近しい気がして心地よい。全6話中4話に登場する黒マメコンビを是非もう一度書いてほしい。

2014-05-05

570.571.冬のフロスト 上下

R・D・ウィングフィールド/芹澤恵訳・創元推理文庫。相変はらずの仕事中毒ぶりで事件を解決してしまふ、このフロスト警部のシリーズも残念ながら後は未訳のA Killing Frostだけになつてしまつた。凡そ500頁で上下2冊だといふのに、長さを感じない。特に下巻のおとり捜査の顚末なんか途中で止められないよ。一番最後のところでフロストが漸く名誉回復し、メデタシメデタシ。フロストは中毒になるね。

2014-04-16

569.中途半端な密室

東川篤哉・光文社文庫(used)。まへの「Y列車の悲劇」から、ほぼ2箇月間、新たに1冊の本を読み上げることが出来なかつただけでなく、1冊の本を読み返すことすら出来なかつた。短篇を一つ二つ読み返しはした。また吉田健一の単行本未収録集の文庫「おたのしみ弁当」講談社文芸文庫を半分くらゐ読んではゐるが、読み終へた本は、ない。
ところで、講談社文芸文庫は矢鱈に価格が高いのだが、なぜだらう。たとへば「おたのしみ弁当」は270頁の本で税別1,400円もする。因みに創元推理文庫のR・D・ウィングフィールド「冬のフロスト」上巻は500頁あつて税別1,300円。新潮文庫のヘミングウェイ「移動祝祭日」は300頁で税別590円。直接、この東川篤哉の本とは関係ないのだが、まへから気になつてゐたので書いてみた。以前にも書いたかも知れないが。
で、この短篇集は去年だか一昨年だつたかずゐぶん評判になつた「謎解きはディナーのあとで」の作者のデビュー作を含めた作品集で、最初のものであるらしい。といふのも、長篇デビュー作が「密室の鍵貸します」で、どつちもデビュー作といふ言ひかたをしてゐるので判り難い。
いづれにしても、収録された5篇凡てが安楽椅子探偵もので、気楽に読めて、意外性もあつて、面白く読めた。

2014-02-12

568.Y列車の悲劇

阿井渉介・講談社文庫(used)。これまで聞いたことがない作者。走行中の列車から乗客がゐなくなるといふ事件。しかもその乗客たちがゐた寝台車で殺人事件が起こるといふのだから、期待するでせう。期待は裏切られない。この人には不可能犯罪といふシリーズがあるらしく、これもその一つ。余計なことかもしれないが、人物の容姿に関する記述が殆どないので、どんな人物なのか見えにくい。P67で鶴見刑事が平田といふ人物を調べてゐて、その平田が仙台にゐるといふ報告を上司である牛深(ウシブカと読むんだらうね、ルビないけど)にする。その後で「帰京の予定はいつだ」と牛深。「明日です」「一度こっちに戻ったほうがよくないか」「そうします」と続く会話になる。誰が戻るのか一瞬わからなかつた。P164「娘分の道子とも」といきなり登場する道子つて誰?ま、そんなことは些細なことだ。なかなか面白く読んだ。他の作品にも手を延ばすかどうかは微妙だね。

2014-02-09

567.バスが来ない

清水義範・徳間文庫(used)。読んだことがあるやうな気がしてたけど、覚えてないから読んでないのだらう。カバーの後ろには抱腹絶倒と書いてあるけど、クスクス笑ひだつた。表題の「バスが来ない」「マイルド・ライト・スペシャル」「戦慄の寒冷地獄」が面白かつた。筒井康隆に似てるかもしれない。

2014-02-01

566.裁きの街

キース・ピータースン/芹澤恵訳・創元推理文庫(used)。ウェルズ・シリーズ、愈々最後の作品。原題はRough Justice。もつと続きが読みたいなあ、解説にあるやうにランシングを主人公にしたらど面白さうだ。ウェルズは今度は殺人者として警察に追はれる身に。しかも宿敵といふか、もつとも嫌ふワッツに追ひ詰められる。守らうとする新しい女編集長と我らがランシング。最後に姿をみせるゴットリーブもなかなかいい味を出してゐる。遂にランシングとウェルズは、……読んでない人のために書かないでおかう。本格ミステリのネタばらしなんかよりも、してはいけない大事なことだ。

2014-01-26

565.夏の稲妻

キース・ピータースン/芹澤恵訳・創元推理文庫(used)。ウェルズ・シリーズの3作目。このシリーズはいまのところ全部で4作しか書かれてないが、すべての題名が原題とは違ふのだ。これはThe Rainといふ。アメリカ探偵作家クラブ賞受賞と表紙に書いてある。上院選立候補者の醜聞にかかはる殺人に巻き込まれる。ランシングに結婚話が持ち上がつて、一体どうなるのか本筋とは別のところで気を揉んだ。前作で隙間ができてしまつたチャンドラーとは本当に終つてしまつたのか。ブラック・ダリアみたいなところがあるね。女優に憧れ、犯罪に巻き込まれる若い娘。対するウェルズの姿勢がいい。P189「ど真ん中」、どうしたんですか、芹澤さん。

2014-01-19

564.切り裂き魔の森

マーガレット・トレーシー/中野圭二訳・角川文庫(used)。ヤケはあるが状態はかなり良い。原題はMrs. Whiteで、全然違ふ。中身はさうだけど、これぢやあ、なんだかサスペンス映画のタイトルみたいだろ。犯人は最初に解る。要するに、さうとは知らない犯人の家族の物語で、原題通り奥さんのミセス・ホワイトが語る。家主のジョナサンがいいね。キース・ピータースンの別名義で、これ一作のもの。

2014-01-12

563.幻の終わり

キース・ピータースン/芹澤恵訳・創元推理文庫(used)。ジョン・ウェルズのシリーズ第2作。原題There Fell a Shadow。年末から読み始めたのだが、1/3くらゐ読んだところで何となく進めなくなり年を越してしまつた。前作に比べて、ウェルズの娘のことやチャンドラー・バークについて説明が足りないかもしれない、と余計な心配をした。今回はだいぶ痛い目にあふのだが、やはりハードボイルドはタフだね。アクションが派手なので、映画にしたら面白いだらうと思つた。

2013-12-16

562.暗闇の終わり

キース・ピータースン/芹澤恵訳・創元推理文庫 (used) 。作者名は「木野塚探偵事務所だ」で知つた。訳がフロストの芹澤さんなので読みたくなつた。amazonで検索したら4冊中古で見つかり、どれも「非常に良い」か「良い」だつたから、思ひきつて全部買つてしまつた。いづれも主人公が「ニューヨーク・スター」といふ新聞の記者ジョン・ウェルズのシリーズで、これが第1作目。過去に一人娘に自殺された経験を持つ彼が、ニューヨーク郊外の町で起こつたハイスクールの生徒が3人続けて自殺した事件を取材に行くといふ話。ときどき比喩が鼻につくけど、なかなか面白い。同僚のランシングといふ若い女性記者が実に魅力的だし、ウェルズの人物像も好きだなあ。この人は他にもペンネームがある。弟と二人でマーガレット・トレイシーといふ女性名義で「切り裂き魔の森」といふのを出していて、これは1983年のMWA最優秀ペイパーバック賞を貰つてゐるさうだ。このウェルズのシリーズ(4作しかない)のあと、アンドリュー・クラヴァン名義で5〜6冊翻訳が出てゐるかな。そのうちの一つはクリント・イーストウッドが監督した「トゥルー・クライム」の原作(邦題「真夜中の死線」で芹澤さんの訳)になつてゐる。因みにこの原題はThe Trapdoorで、ウェルズの夢といふか幻覚の中に現れる。