2011-05-10

佐野洋「動詞の考察」講談社文庫(395・used)。佐野洋の短篇集は外れがない。動詞を使つたタイトルで10篇。謎があつて、それが解決する。いかにもありさうな謎があり、その解決の仕方が意外である、さういふ短篇ばかり。

2011-05-05

三友恒平「必要とされなかった話」IKKICOMIX小学館(394・used)始めて見る絵で、しかも1巻ものだつたので買つてみた。童話といふか、絵本のやうな絵で、鉛筆画ぢやないかと思つた。或る村で村人が預けてゐる食料倉庫が焼け、食べるものが乏しくなり、村長の判断で6人の人間が村から追放になる。その村で誰からも必要だと指名されなかつた人たちだ。たつた1人の肉親である姉が婚約者を選んだため、誰からも必要とされなかつた、その中の1人の少年・織春(オリハルと読む)が主人公。なにが言ひたいのか、よく判らなかつた。始めのはうで、村長と織春とが会話する中に、織春は流行病によく効く薬を一つだけ持つゐるといふ話が出て来るが、その後、その話には触れられない。倉守の家の火事については、もつと徹底的に出火原因を調べるのではないか。兎に角不思議な絵で、ほかにどんなものを書いてゐるのか、ちよつと知りたくなつた。

2011-04-27

伊達友美「夜中にラーメンを食べても太らない技術」扶桑社新書(393・used)ここひと月あまり、一冊の本を読み通す気力がない。見繕つては拾ひ読みをしてゐたが、たまたま渋川のBookOffで見つけて一気に読んでしまつた。ミルク入のコーヒーはよくない、食品添加物が体に悪い、酸化した油は大敵、牛乳や乳製品は日本人の内蔵には向かない、1日3食に固執しない、など、とても参考になりました。

2011-04-09

岡潔「春宵十話」光文社文庫(392・used)を読了。靴は長靴しか履かない、などの伝説は聞いたことがあつた。道徳にかかはる随筆集。自伝的なところもある。仏教を信仰してゐたやうだが、具体的な宗派は不明。数学は情緒であり、種を蒔いて育てる百姓(農民)に似てゐて、物理は数学とはまつたく違ふ世界であり、指物師だといふのは面白い(P53)。

2011-03-09

鯨統一郎「タイムスリップ森鷗外」講談社文庫(391・used)。「タイムスリップ明治維新」には呆れたなどと書いておきながら、状態のいい本書をBookOffで見つけたので買つてしまつた。こつちのはうが面白い。現実との整合性なんてものは、はなから念頭にはないらしい。これを読むとホントに鷗外つて幾つまで生きてたんだらう、と調べたくなる(60歳で没)。なんてたつて鷗外は19歳で今の東大医学部卒業だから、相当優秀なエリート。現代へやつて来て、携帯、ワープロ、果てはパソコンでホームページ作成なんてことも充分こなせる気がする。一応ミステリなので犯人が登場するが、推理は面白くても真犯人が誰だらうと構はない。作者が楽しんで書いてるのは充分判ります。

2011-02-27

鯨統一郎「タイムスリップ明治維新」講談社文庫(390・used)。呆れて口がきけない。半分も読まないうちに興味が失せた。これを小説と呼ぶのでせうか。読み物だらうね。人間がどう、といふ話ではない。答へが出てゐるものをなぞつてゐるだけ。それに付き合はされるだけ。うららは簡単に維新関係者と寝ちまふし、女と寝たくらゐで肝心なことをベラベラ漏らしてしまふはうも情けない話で、そんなことで明治維新といふ革命が実現したのなら、逆に江戸時代つて何だつたの?だよ。軽くねえ?誰が喋つてるかも不明な書き方は相変はらずだし、下級武士が上級武士との身分差の不満が明治維新にかかはつてるかのやうな記述があるけど、山本博文「学校では習わない江戸時代」によれば、恰も無礼打ちが横行してもゐたかのやうな印象がある江戸時代だけど、綱吉以降は建前になつてゐたやうなので、幕末の侍には当て嵌まらないのではないか。

2011-02-23

由良三郎「白紙の殺人予告状」双葉文庫(389・used)。エッセイ「ミステリーを科学すれば」が面白かつたので、いつか実際のミステリを読みたいと思つてゐた。解説にもあつたけど、推理小説と呼ぶよりも探偵小説でせう。白紙の手紙を見て、他人の手紙だつたらなほさら、水につけたり炙つたりしないでせう。ここが納得できない。盗み読みでは治まらない犯罪性がある。

2011-02-20

後藤明生「笑い地獄」集英社文庫(388・used)。これは初期の短篇集かな。なんでこんなに奇妙な文章が書けるんだらう。こんなに不思議な小説を書く人はゐないね。1999年8月2日没だから没後12年も経過してるのに、どうして後藤明生の全集が出ないのだらう。P257ちやうど真ん真ん中辺り「東京のど真ん中」。東京の人たちの話ですから、どうでなんせうねえ。意図的なんでせうか。

2011-02-19

佐藤秀峰「ブラックジャックによろしく」モーニングKC講談社全13巻(375〜387・used)。確か11巻までのセットで先づ買つた。最後の13巻がなかなか手に入らなくて結局amazon で購入。小児病棟から癌治療にかけてのところで涙腺が切れた。第8巻では涙が止まらなかつた。出版社と拗れたさうで、この続きは小学館から「新ブラックジャックによろしく」になる。続きを読むより再読かなあ。研修医の給料には愕然とするね。医は算術の現代。

2011-02-13

山本博文「学校では習わない江戸時代」新潮文庫(374・used)。これは黒本と一緒に買つた。江戸時代を中心にした読み物としては面白い。加賀百万石の参勤交代費用はざつと四億円だつた、とか。鎖国といふ法令は発せられてゐない、とか。

2011-02-12

福澤徹三「黒本 平成怪談実録」新潮文庫(373・used)。初めて聞く名前。ほんとに黒い本で、怖い話を集めて纏めたもの。文庫書き下ろしださうだ。恐いもの見たさで一気に読んでしまつた。長いものもあるし、同じ人が続けて出て来るものもある。怖いかどうかは人によるかもしれないが、不思議な話ではある。信じられない人もゐるでせう。オレは信じるけど。

2011-02-03

ジェイムズ・エルロイ/吉野美恵子訳「ブラック・ダリア」文春文庫(372・used)。去年の8月「ねずみの騎士デスペローの物語」を読んで以来の翻訳物!自分でもびつくりした。因みに解説には表紙の女性がブラック・ダリア、つまりエリザベス・ショートだと書いてあるが、オレが持つてるのはブライアン・デ・パルマの映画でベティ役をやつてた子(ミア・カーシュナーでした、wiki調べ)の写真。小説より先にこの映画をレンタルDVDで見てゐる。読みをへてからもう一度見て呆れた。すつかり内容なんて忘れてたんだねえ。ケイ・レイクがスカーレット・ヨハンソン!全然ちげーよ、イメージと。もつと引き締まつた印象の人ぢやないとダメ。更にマデリンがヒラリー・スワンク!ぢけーよ、全然。金持ちの娘で、実の父親はハンサムだつていふ設定だぜ。どうしたのデ・パルマ、つて配役。しかも、マデリンとベティ・ショートはそつくりだつた、と原作はなつてるし、映画の中でも似てるといふ設定だけどさあ、ヒラリー・スワンクとミア・カーシュナーはまつたくの別人でせう、どう見ても。似てると思ふ人ゐるのかなあ。余談だが、主人公は本ではバッキー・ブライチャートとなつてるけど、映画ではブライカートと呼んでたよ。映画の話はここまで。原作と映画が違ふのはあたりまへだけど、小説ではメキシコまで脚を伸ばして展開するところなどが省かれてゐた。そりやさうだ、570頁もある厚い本だから。かういふのをノワールだかノアールだかと呼ぶらしいが、犯罪小説と警察小説を足した感じ。犯人探しや意外な人物の事件への関与など、ミステリとしての面白さもある。1947年に実際に起つた未解決の事件を題材に真犯人を指摘するといふ離れ業をやつてる。関係者から苦情や訴へはなかつたのかね。地名やらなにやら少々頭に入らないところもあつたが、充分面白かつた。エルロイの母親は彼が10歳のときに誰かに殺され、17歳のときには父親が死んでしまふといふ境遇だつたさうだ。「LAコンフィデンシャル」つてのも書いてて、これもまた映画になつてゐて、それも見たことがある。贔屓のケビン・スペイシーが出てるけど、嫌ひなラッセル・クロウも出てる。これも面白かつた、VHSのレンタルだつたけど。原作は上下2冊。うーん、ちよと満腹だなあ。最後にホントに蛇足なんだけど、p198真ん中辺りの下のはう「どまんなか」、p339の1行目「どまんなか」。そこだけ関西弁はやめてほしいなあ。黒川博行ぢやないんだから。

2011-01-22

で、藤原伊織「テロリストのパラソル」講談社文庫(371・used)。史上初の江戸川乱歩賞、直木賞のダブル受賞と裏に書いてあるし、解説でも絶賛してゐるけれども、読みをはつたばかりの「雪が降る」がamazonのプレビューに倣つて★★★★だとしたら、これは★★★。主人公の設定は都合良すぎるけれども、まあハードボイルドの主人公はみんなこんなものだ。細かいところで気になることが幾つかあるが、ネタバレになるかも。主人公の島村が20年以上も逃げ続けるキッカケになる車での爆弾事件は事故で処理されるのではないか。この事件で死んだ警官の妻の弟が8歳(p125)といふのは作り過ぎではないか。終はりのはうで金田一さんみたいに読み手に知らせない場面が出て来る。p252でホームレスの元医師らしい老人に何を聞いたのか書いてないし、p292でも江口組の上部組織の構造を週刊誌の記者に聞いてゐるが、答へた内容が書いてない、など。p296飲み屋での喧嘩のくだりは、なくても物語に特に影響がない気もするし、犯人が爆弾事件はテロだと言ふけど、単なる私怨だし、ホントに人でなしにしか思へない。その辺りが気になつて、華々しい受賞ほどには面白くなかつた。「雪が降る」のはうがよつぽど面白い。

2011-01-18

藤原伊織「雪が降る」講談社文庫(370・used)。解説が黒川博行だつたので、つい買つてしまつた。ヤケもなく、状態もよかつた。「台風」「雪が降る」「銀の塩」「トマト」「紅の樹」「ダリアの夏」の6篇。「紅の樹」が一押し。堀江徹は助かるんだらうか。遠山が渋い。「雪が降る」も良い。「ランニング・オン・エンプティー」といふタイトルの映画は知らないが、これはジャクソン・ブラウンの曲名と同じだ。繋がりがあるのかないのか、今度調べてみよう。読み終へて直ぐ、江戸川乱歩賞&直木賞ダブル受賞の「テロリスのパラソル」を探して手に入れた。
佐藤秀峰「ハードタックル」小学館ヤングサンデーコミックス(369・used)。「海猿」、「ブラックジャックによろしく」の佐藤秀峰。デビュー作「おめでとオ!」を含む作品集。ほかにタイトル作品「ハードタックル」、「キムラ!」、「エロ兄弟」(4コマ)。「おめでとオ!」と「キムラ!」はヨットを扱つてるんだけど、経歴と関係があるのか。絵がちよつと黒い印象なのは動きのカットで線が多いためか。「キムラ!」のおしまひのはうの絵のタッチが誰かに似てゐると思つたが、誰だつたか忘れた。大友克洋の昔の絵に似てるかもなあ。

2011-01-15

吉崎観音「宇宙X兵衛・完全版」カドカワコミックス・エース(368・used)。「ケロロ軍曹」の作者。くだらなさが実に面白い。いきなり隙のない構へが実は眠つてた、なんて使ひ古されたネタから始まる。絵はDrスランプ、すすめパイレーツを思はせる。良い。

2011-01-09

湊かなえ「告白」双葉文庫(367・used)を読む。第一章「聖職者」で小説推理新人賞、書き継がれたこの「告白」で「週刊文春08ミステリーベストテン」で第一位、第6回本屋大賞も受賞したベストセラーださうだ。映画にもなつたやうだ。作者の名前を見たことがあるなあ程度で手に取り、スラスラ読めるので買つた。一気に読ませる。ミステリとしても面白く読める。教室での喋りに始まり、手紙、日記、ネット上のテキスト、携帯電話の喋りなどスタイルはかはつてはゐるが、要は語り、喋りのスタイルのヴァリエーション。荻原浩の「神様の一言」もさうだつたが、コミックに近い印象。それが悪いと言つてゐるのではない。それが軽いと言つてゐるのでもない。小説の質が変はつてゐるんだな、と思つただけ。それとこれは貫井徳郎の「天使の屍」でも書いたが、中学生の虐めや自殺、殺人をかういふ形で小説にしてほしくない。問題提起なら別の形で書いてくれないか、と思ふ。現実に起つてゐるのに目を背けるのは卑怯だ、と言ふなら卑怯者で結構。現実だけでたくさんだよ。

2011-01-03

去年の大晦日から読み始めた酒井雄哉「一日一生」朝日新書(×3)を読了。いま何をしてゐるか、これから何をするか、それが大事だ、と80歳の大阿闍梨は言ふ。重いなあ。

2010-12-30

佐々木雄二「自律訓練法」(366・used)。タイトルに赤字で「ストレスを簡単に解消!」とある。血圧が急に上がつたのも、ストレスが原因ではないか、と思つてゐる。具体的には特定できないけれども、そんな気がする。長い導入部(1/3くらゐ)から、実践篇へ。試して見る価値はあるかもね。続けて似たやうな本(林成之の本とか)を読んだのは、自分を変へたい、変りたいといふ気持ちがあるから。このままではいけないといふ思ひがある。自己閉塞状態に陥つてる気がしてならない。このまま定年になつて、老後を迎へ、死んでしまふのは堪らない、といふ思ひがある。

2010-12-27

小沼丹「黒いハンカチ」創元推理文庫(365・used)。面白かつた。名前だけは(井伏鱒二絡みで)知つてゐたけれども、作品を読んだのは初めて。「こぬま・たん」と思ひ込んでゐたが「おぬま・たん」が正しいさうだ。A女学院の女教師ニシ・アズマが主人公の連作短篇ミステリ。殺人事件もあるが、殆どが日常生活の中で起るちよつとした事件、犯罪だ。昭和三十二年四月から1年間雑誌に連載されたといふから、風俗は古めかしいが、内容はいまでも新鮮。状態もいいし、貴重なので。105円はお買ひ得だつたね。