パトリシア・ハイスミス/佐宗鈴夫訳・河出文庫
それほど厚くもないのに時間が掛かつてしまつた。探すのにも、読むのにも。「11の物語」を読み終へてから探したが、太田イオンの喜久屋で見付けた。これか「見知らぬ乗客」を読みたいと思つてゐたのだが、「見知らぬ乗客」は今のところどこにも置いてないやうだ。古本屋にもない。──ルネ・クレマンはこれを原作にして映画を撮つたワケだが、最後のシーンくらゐしか思ひ出せないから映画をもう一度見ないと比べようがない。少なくとも主人公トム・リプリーは、アラン・ドロンとは違ふ。なぜディッキーを殺すのか。フレディは殺さなければならないだらう。捕まりたくなければ。トムには金持ちの息子に対する羨望、それと友情よりも寧ろホモ・セクシュアルな気分といふか、さういふのがあるんぢやないか。友情だけで友だちのスーツを着たり靴を(!)履いたりはしない。いづれにしても氏の小説は普通の、と言ふのもをかしいが、これまで読んで来たミステリーとは違ふ。アガサ・クリスティもコナン・ドイルも読んだことがないのださうだ。短篇と初期の代表的な長篇を続けて読んだことになるが、氏の言ふやうに、短篇と長篇の違ひは時間の長さと空間の広がりだけかも知れない。オレは短篇のはうが好きだね。こつちも読み応へがあつたし、読み終へてやつぱり溜息が出たけど、「11の物語」のはうが面白かつた。──今年はこれでお終ひ。「フランドルへの道」が年越しになつてしまふが、仕方ないだらう。
2006-12-31
2006-12-15
59.11の物語
パトリシア・ハイスミス/小倉多加志訳・早川文庫
ずつと興味があつた人で、なにしろヒッチコックの「見知らぬ乗客」やルネ・クレマンの「太陽がいっぱい」の原作者である。しかも、どこでさういふ話を読んだり聞いたりしたのかは覚えてないけど、映画よりもスゴイ、といふ風にインプットされてたから、なにがどうスゴイかはよく解らなかつたが、そんなにスゴイんぢやア是非原作を読みたいものだ、と思つてゐて、それが漸く「何読むかなあ」つていふ時に本屋の棚でふと見付ける、といふ具合にタイミングよく叶つたワケだ。……確かにスゴイなあ。溜息が出ちまふ。唸つてしまふ。きつと「太陽がいつぱい」の原作「リプリー」はものスゴイんだらう、と推測する。……が、これはハイスミス氏(女性の場合は嬢なのかね──と気になつて岩波の国語辞典で「氏」を調べたら、──岩波はさういふ点で便利なんだ、漢和辞典みたいにも使へるからね、──「日本で、人の氏名の下に添える敬称」だから間違ひではない)──の、デビュー作と解説に出てゐる「ヒロイン」を含む11の短篇集に就いて書くのだつた。サマセット・モームの「お菓子と麦酒」、ジョルジュ・シムノンの「仕立て屋の恋(原題は「イール氏の婚約」)」、グレアム・グリーンの「情事の終り」を読んだ時と同じくらゐ、こんなに密度の濃い、生身の人間を書く小説家がゐるのか、と圧倒された。ほかの人は長篇で、これは短篇集なので氏の長篇を是非とも読んでみたいものだと強く感じたが、序文でグリーンが「モビールに艦隊が入港したとき」を薦めてゐて確かにこれは素晴らしい。うーん、と言ふより悲しい。いや、一言では言へないね。いろんな思ひが絡みあつて唸つてしまふのだ。3つ続けて読むと疲れてしまふ。人生、と言ふか生きてる人間の厚み、深さみたいなものがズシーンと来るから。特徴的なのは、最後に読者は放り出されてしまふ、といふこと。オチがない。メデタシメデタシは、ない。少なくとも作者は「それからどうなつたか」のヒントさへ与へてくれないから、最後の一句を読んでから「どうなるのか」と考へてしまふのだ。1945年に書かれた「すつぽん」なんて今の新聞記事にあつても可笑しくないね。この少年と母親の心の動きの微妙さ、残酷さ。この本は後藤明生氏の「笑坂」と同じくらゐ読み終へたくない本でした。
ずつと興味があつた人で、なにしろヒッチコックの「見知らぬ乗客」やルネ・クレマンの「太陽がいっぱい」の原作者である。しかも、どこでさういふ話を読んだり聞いたりしたのかは覚えてないけど、映画よりもスゴイ、といふ風にインプットされてたから、なにがどうスゴイかはよく解らなかつたが、そんなにスゴイんぢやア是非原作を読みたいものだ、と思つてゐて、それが漸く「何読むかなあ」つていふ時に本屋の棚でふと見付ける、といふ具合にタイミングよく叶つたワケだ。……確かにスゴイなあ。溜息が出ちまふ。唸つてしまふ。きつと「太陽がいつぱい」の原作「リプリー」はものスゴイんだらう、と推測する。……が、これはハイスミス氏(女性の場合は嬢なのかね──と気になつて岩波の国語辞典で「氏」を調べたら、──岩波はさういふ点で便利なんだ、漢和辞典みたいにも使へるからね、──「日本で、人の氏名の下に添える敬称」だから間違ひではない)──の、デビュー作と解説に出てゐる「ヒロイン」を含む11の短篇集に就いて書くのだつた。サマセット・モームの「お菓子と麦酒」、ジョルジュ・シムノンの「仕立て屋の恋(原題は「イール氏の婚約」)」、グレアム・グリーンの「情事の終り」を読んだ時と同じくらゐ、こんなに密度の濃い、生身の人間を書く小説家がゐるのか、と圧倒された。ほかの人は長篇で、これは短篇集なので氏の長篇を是非とも読んでみたいものだと強く感じたが、序文でグリーンが「モビールに艦隊が入港したとき」を薦めてゐて確かにこれは素晴らしい。うーん、と言ふより悲しい。いや、一言では言へないね。いろんな思ひが絡みあつて唸つてしまふのだ。3つ続けて読むと疲れてしまふ。人生、と言ふか生きてる人間の厚み、深さみたいなものがズシーンと来るから。特徴的なのは、最後に読者は放り出されてしまふ、といふこと。オチがない。メデタシメデタシは、ない。少なくとも作者は「それからどうなつたか」のヒントさへ与へてくれないから、最後の一句を読んでから「どうなるのか」と考へてしまふのだ。1945年に書かれた「すつぽん」なんて今の新聞記事にあつても可笑しくないね。この少年と母親の心の動きの微妙さ、残酷さ。この本は後藤明生氏の「笑坂」と同じくらゐ読み終へたくない本でした。
2006-12-03
2006-11-27
57.ある閉ざされた雪の山荘で
東野圭吾・講談社文庫(used)
なんとも気が塞いでゐたり、何か読みたいけど気持ちが続かない、といふ時にミステリーは大いに助かる。ちよつと前まで中町信氏の恩恵に預かつてゐたが、最近は東野圭吾氏だ。先づ文章が読み易いから、どんどん作品の中に入つて行ける。これも一日で読み終へてしまつた。限定された場所に集まつた人たちが次々に殺されて行くといふ、オーソドックスな、古典的な設定。引き合ひに出されるクリスティの「そして誰もいなくなつた」は読んでないし、映画にもなつたやうたが生憎見てゐない。犯人は半分くらゐ読んで指摘出来たけれども、動機や殺人の手口については解らず、最後に二転三転。込み入つた作りになつてゐる。大枠で叙述のトリックがある。それで「独白」があるわけだ。
なんとも気が塞いでゐたり、何か読みたいけど気持ちが続かない、といふ時にミステリーは大いに助かる。ちよつと前まで中町信氏の恩恵に預かつてゐたが、最近は東野圭吾氏だ。先づ文章が読み易いから、どんどん作品の中に入つて行ける。これも一日で読み終へてしまつた。限定された場所に集まつた人たちが次々に殺されて行くといふ、オーソドックスな、古典的な設定。引き合ひに出されるクリスティの「そして誰もいなくなつた」は読んでないし、映画にもなつたやうたが生憎見てゐない。犯人は半分くらゐ読んで指摘出来たけれども、動機や殺人の手口については解らず、最後に二転三転。込み入つた作りになつてゐる。大枠で叙述のトリックがある。それで「独白」があるわけだ。
2006-11-13
56.STILL A PUNK
ジョン・ライドン/竹林正子訳・ロッキング・オン
ずうつと首を長くして待つてゐた。(←いきなりこんなこと言つても解らないよね。実は2箇月くらゐ前に頼んだら再版中とかで期間が掛かつてしまつたのだが、Amazonには「在庫あり」だつたから、そつちに頼んだはうが早かつたかなあ、と後悔したけど、それが)漸く9日に届いて、以来暇があれば読み続けた。先づイギリスの労働者階級の家庭がどんなものか、正直知らなかつた。オレが子どもの頃より貧しいよ、たぶん。これでは階級制度への反発があるのは当然。その根の深さと言ふか、激しさは、日本のパンク、いやアメリカのバンドでも敵はない。マルコムとの確執とかアメリカ・ツアーの内情とか、そもそもセックス・ピストルズが出来上がつて行く過程とか、当時の音楽情報紙、レコードのライナー・ノーツ、或は新聞報道(そんなもんあつたか?)から得た噂や情報とは随分違ふなあ。ジョニー・ロットンのロットンなんて辞書で調べもしなかつたけど、「腐つた、腐敗した」つていふ意味なんだね、知らなかつた。それと奥さんつて15才も年上だつたんだ。なんか、さすがにジョン・ライドンだな。
ずうつと首を長くして待つてゐた。(←いきなりこんなこと言つても解らないよね。実は2箇月くらゐ前に頼んだら再版中とかで期間が掛かつてしまつたのだが、Amazonには「在庫あり」だつたから、そつちに頼んだはうが早かつたかなあ、と後悔したけど、それが)漸く9日に届いて、以来暇があれば読み続けた。先づイギリスの労働者階級の家庭がどんなものか、正直知らなかつた。オレが子どもの頃より貧しいよ、たぶん。これでは階級制度への反発があるのは当然。その根の深さと言ふか、激しさは、日本のパンク、いやアメリカのバンドでも敵はない。マルコムとの確執とかアメリカ・ツアーの内情とか、そもそもセックス・ピストルズが出来上がつて行く過程とか、当時の音楽情報紙、レコードのライナー・ノーツ、或は新聞報道(そんなもんあつたか?)から得た噂や情報とは随分違ふなあ。ジョニー・ロットンのロットンなんて辞書で調べもしなかつたけど、「腐つた、腐敗した」つていふ意味なんだね、知らなかつた。それと奥さんつて15才も年上だつたんだ。なんか、さすがにジョン・ライドンだな。
2006-11-04
55.インディヴィジュアル・プロジェクション
阿部和重・新潮社(used)
カバーが気に入つてたので単行本でほしかつた、中身は二の次で。阿部和重氏は「アメリカの夜」を読んだことがあり、なかなか面白かつたし、これもハードバイルド風な書き方で読み易い。individual projection ねえ、どういふ意味だい?個々の、個人の投影?日本語になんねえな。意味はどうでも、途中からミステリーのつもりになつてしまつたから、日記体の使用は巧みだと思つたし、それで主人公は一体誰だ?的状況から大ドンデン返しが待つてるかと思ひきや、……ラストは、……最後は文学するんだね。中身より断然カバーがいいね。
カバーが気に入つてたので単行本でほしかつた、中身は二の次で。阿部和重氏は「アメリカの夜」を読んだことがあり、なかなか面白かつたし、これもハードバイルド風な書き方で読み易い。individual projection ねえ、どういふ意味だい?個々の、個人の投影?日本語になんねえな。意味はどうでも、途中からミステリーのつもりになつてしまつたから、日記体の使用は巧みだと思つたし、それで主人公は一体誰だ?的状況から大ドンデン返しが待つてるかと思ひきや、……ラストは、……最後は文学するんだね。中身より断然カバーがいいね。
2006-11-01
54.不連続殺人事件
坂口安吾・双葉文庫(used)
日本推理作家協会賞受賞作全集の中の1冊で、前に角川文庫だかで出てゐたのを持つてたけど、読まないうちに処分したか売つたかしたのだ。たぶん映画になつたと思ふ。カバーが映画のシーンだつたやうな、……記憶違ひかな。坂口安吾氏は「外套と青空」つていふのを読んだ覚えがあるが中身は覚えてない。どつちかと言ふと苦手だ。ただ推理小説は好きなんで偶然見付けて状態がよく安かつたので買つたのだが、これが存外にお荷物になつた。7月に買つたけど、いざ読み始めると鬱陶しくて頓挫してた。登場人物が多いのと、それがぜんぶ曲者だらけで、オマケに文章が読み難い。ああ、戦後つぽいなあ、と言つても具体的にどこがどうとは言へない。推理小説の面白さは感じなかつた。先づ疲れちまふんだよね、文章が頭に入らなくて。雑誌に連載して懸賞出したと出てるけど、トリックもアリバイ云々もどうでもいい感じ。ちよつとした試練でした。オレにはわからん、面白さが。
日本推理作家協会賞受賞作全集の中の1冊で、前に角川文庫だかで出てゐたのを持つてたけど、読まないうちに処分したか売つたかしたのだ。たぶん映画になつたと思ふ。カバーが映画のシーンだつたやうな、……記憶違ひかな。坂口安吾氏は「外套と青空」つていふのを読んだ覚えがあるが中身は覚えてない。どつちかと言ふと苦手だ。ただ推理小説は好きなんで偶然見付けて状態がよく安かつたので買つたのだが、これが存外にお荷物になつた。7月に買つたけど、いざ読み始めると鬱陶しくて頓挫してた。登場人物が多いのと、それがぜんぶ曲者だらけで、オマケに文章が読み難い。ああ、戦後つぽいなあ、と言つても具体的にどこがどうとは言へない。推理小説の面白さは感じなかつた。先づ疲れちまふんだよね、文章が頭に入らなくて。雑誌に連載して懸賞出したと出てるけど、トリックもアリバイ云々もどうでもいい感じ。ちよつとした試練でした。オレにはわからん、面白さが。
2006-10-25
53.名探偵の掟
東野圭吾・講談社文庫(used)
どうして東野圭吾氏の本は105円のものが置いてないのだらう。これも300円。みんなそのくらゐだ。それでも売れるつてことか。まあ、状態がいいのが多いけど。これは折原一氏の「七つの棺」みたいなもので、あつちは全部密室だつけな。ちよつと調べて来るか。よつこらしよ、と。……さうだね。「密室殺人が多すぎる」つてタイトルの上にある。……おつと読み返してたらスリープするところだつたぜ。折原氏と違ふのは扱つてるのが密室だけぢやなく、推理小説のいろいろなパターンであることと「白夜行」とはまるで違ふのが面白い。
どうして東野圭吾氏の本は105円のものが置いてないのだらう。これも300円。みんなそのくらゐだ。それでも売れるつてことか。まあ、状態がいいのが多いけど。これは折原一氏の「七つの棺」みたいなもので、あつちは全部密室だつけな。ちよつと調べて来るか。よつこらしよ、と。……さうだね。「密室殺人が多すぎる」つてタイトルの上にある。……おつと読み返してたらスリープするところだつたぜ。折原氏と違ふのは扱つてるのが密室だけぢやなく、推理小説のいろいろなパターンであることと「白夜行」とはまるで違ふのが面白い。
2006-10-17
空白の殺意(再読)
中町信・創元推理文庫
カーの「皇帝のかぎ煙草入れ」を読み終へて直ぐ一気に再読したものの、コメントを書くのが億劫だつたので暫く「下書きとして保存」してゐた。いきなりこの記事が登場するので驚かれるかも知れない。最初に読んだ時はこんな風に書いてる。──氏が触発されてこれを書いたと言ふディクスン・カーの「皇帝のかぎ煙草入れ」を読んでみたい。書き方に登場人物たちや読み手の錯覚を促すといふ方法はここでも使はれてゐる。でも、それほどケレン味はないです。だから、なんでかうなの?つていふのもないです。──登場人物たちが錯覚を促してるわけぢやあないでせうに、何言つてんだろ。人物の言動が読者ををかしな方向に導くのだよ。これは群馬県高崎市が舞台で、オレには殆ど関心がない高校野球の話が結構重要なポイントになつてゐる。もともと「高校野球殺人事件」といふ題名だつたからなのは、前にも書いた。トリックの部分は確かにカーのそれと同様に作者に誘導された思ひ違ひなのだが、つまり注意深く読めば疑問として残るから、オレみたいに「やられた」とは思はないだらうが、カーのはうは主人公が犯人として疑はれてるので少し違ふなあ。どうして館林なの?つてのも残る。太田や足利ではダメなのか。
カーの「皇帝のかぎ煙草入れ」を読み終へて直ぐ一気に再読したものの、コメントを書くのが億劫だつたので暫く「下書きとして保存」してゐた。いきなりこの記事が登場するので驚かれるかも知れない。最初に読んだ時はこんな風に書いてる。──氏が触発されてこれを書いたと言ふディクスン・カーの「皇帝のかぎ煙草入れ」を読んでみたい。書き方に登場人物たちや読み手の錯覚を促すといふ方法はここでも使はれてゐる。でも、それほどケレン味はないです。だから、なんでかうなの?つていふのもないです。──登場人物たちが錯覚を促してるわけぢやあないでせうに、何言つてんだろ。人物の言動が読者ををかしな方向に導くのだよ。これは群馬県高崎市が舞台で、オレには殆ど関心がない高校野球の話が結構重要なポイントになつてゐる。もともと「高校野球殺人事件」といふ題名だつたからなのは、前にも書いた。トリックの部分は確かにカーのそれと同様に作者に誘導された思ひ違ひなのだが、つまり注意深く読めば疑問として残るから、オレみたいに「やられた」とは思はないだらうが、カーのはうは主人公が犯人として疑はれてるので少し違ふなあ。どうして館林なの?つてのも残る。太田や足利ではダメなのか。
2006-10-14
52.皇帝のかぎ煙草入れ
ディクスン・カー/井上一夫訳・創元推理文庫(used)
中町信氏の「空白の殺意」(=「高校野球殺人事件」)のあとがきに、この作品みたいなものが書きたかつた、と出てゐて、ディクスン・カー(=カーター・ディクスン)は1冊も読んだことがなく、いづれ本屋で思ひ出したら買つて読まう、みたいなことを4月の「空白の殺意」のところで書いてる。太田のほんだらけで見付けて300円だつたけど、状態がすごくよかつた。始めはどうにも読み難くて、例のダメなタイプの文章ではないんだけど、言動以外の記述に癖があつて慣れるまでに20〜30頁必要だつた。読んでくうちに思ふツボ。ロウズ家の誰かに違ひないと考へたワケだ。ところが、……肝心のところを読み返し、確かにさう書いてあるぢやアないか。確かにこれは中町的だ。次はもう一度「空白の殺意」を読み返すことにしよう。
中町信氏の「空白の殺意」(=「高校野球殺人事件」)のあとがきに、この作品みたいなものが書きたかつた、と出てゐて、ディクスン・カー(=カーター・ディクスン)は1冊も読んだことがなく、いづれ本屋で思ひ出したら買つて読まう、みたいなことを4月の「空白の殺意」のところで書いてる。太田のほんだらけで見付けて300円だつたけど、状態がすごくよかつた。始めはどうにも読み難くて、例のダメなタイプの文章ではないんだけど、言動以外の記述に癖があつて慣れるまでに20〜30頁必要だつた。読んでくうちに思ふツボ。ロウズ家の誰かに違ひないと考へたワケだ。ところが、……肝心のところを読み返し、確かにさう書いてあるぢやアないか。確かにこれは中町的だ。次はもう一度「空白の殺意」を読み返すことにしよう。
2006-10-06
51.白夜行
東野圭吾・集英社文庫(used)
この分厚さに先づ挑みたかつた。2冊、3冊と分かれたものでもいいのだが、出来れば1冊で分厚いのがよかつた。それと「レイクサイド」が面白かつたし、裏に書かれた粗筋で読んでみたくなつた。半分くらゐまでは淡々と進むので、それぞれの章ごとに本を置くことが出来たけれども、探偵の今枝が登場する第十章からは早く先を知りたくて止まらなくなつてしまふ。最初の殺人から残されてゐる謎に、主人公2人の成長に併せて燻つてゐた疑問がちやうど飽和点に達するからか、探偵の謎解きが始まつて一気に爆発するのかも知れない。この分厚さに匹敵する読み応へがある。まるで登場人物たちの19年間に付き合つた気がして、本を置いてホッと溜息をついたほどだ。この主人公2人の人物像が生半可なものではないので、オレには最終章の中程で起こる美佳への仕打ちは行き過ぎだと感じてしまふ。それだけオレが甘いのだらう。つまりこの2人は魂を売つてゐる。優しさや弱さは死を意味する、と信じてゐるのだらう。最後の最後で、雪穂はキッパリ桐原を知らないと言ひ切つて、この暗く重たい小説は終る。──もう一度ざつと読み返したいところがあるので、そしたらまた書き加へるかも知れない。
↑ 気になつてゐたことを箇条書きにしてみると、1.質屋の主人、桐原洋介を殺した凶器はなにか。2.パソコン・ゲームのデータが流出した経路は。3.倉橋香苗への疑惑はどうなつたか。4.雪穂の鈴つきのカギについて本人が漏らしてゐた筈だが、……で、該当するところを読み返して得た答へは、1.は恐く鋏だらうと予想してゐて、亮介の胸に刺さつてゐるのを見た笹垣が「彼の人生を変えた鋏だ」と言つてゐるから間違ひないだらう。2.は推測の域を出ないが雪穂には可能だつたらう。3.はすつきりしないままだ。篠塚の個人的な経緯から気が重いから問ひ質さない、といふことらしいが、部費の一部が部長である篠塚の知らないうちに引き出されてゐるのだから、警察に届けるかどうかは別にしても、ダンス部の部長として当人と話すくらゐはしないとをかしくないか。使途不明金なんだから、聞けるはずだ。尤も、さうなればそこで物語は少し違ふ展開になるだらう。4.は探すのに一番苦労した箇所。第四章の終りに出て来る。ここでもし中道がこの事件に更に興味を抱いて調べたら、田川はその鈴の音が気になつてゐたのだから、そのことを漏らすだらう。さうなるとまた違ふ展開になつたかも知れないのは、この時点ではまだ質屋殺しの事件は時効になつてはゐないからで、……(06.10.07)
この分厚さに先づ挑みたかつた。2冊、3冊と分かれたものでもいいのだが、出来れば1冊で分厚いのがよかつた。それと「レイクサイド」が面白かつたし、裏に書かれた粗筋で読んでみたくなつた。半分くらゐまでは淡々と進むので、それぞれの章ごとに本を置くことが出来たけれども、探偵の今枝が登場する第十章からは早く先を知りたくて止まらなくなつてしまふ。最初の殺人から残されてゐる謎に、主人公2人の成長に併せて燻つてゐた疑問がちやうど飽和点に達するからか、探偵の謎解きが始まつて一気に爆発するのかも知れない。この分厚さに匹敵する読み応へがある。まるで登場人物たちの19年間に付き合つた気がして、本を置いてホッと溜息をついたほどだ。この主人公2人の人物像が生半可なものではないので、オレには最終章の中程で起こる美佳への仕打ちは行き過ぎだと感じてしまふ。それだけオレが甘いのだらう。つまりこの2人は魂を売つてゐる。優しさや弱さは死を意味する、と信じてゐるのだらう。最後の最後で、雪穂はキッパリ桐原を知らないと言ひ切つて、この暗く重たい小説は終る。──もう一度ざつと読み返したいところがあるので、そしたらまた書き加へるかも知れない。
↑ 気になつてゐたことを箇条書きにしてみると、1.質屋の主人、桐原洋介を殺した凶器はなにか。2.パソコン・ゲームのデータが流出した経路は。3.倉橋香苗への疑惑はどうなつたか。4.雪穂の鈴つきのカギについて本人が漏らしてゐた筈だが、……で、該当するところを読み返して得た答へは、1.は恐く鋏だらうと予想してゐて、亮介の胸に刺さつてゐるのを見た笹垣が「彼の人生を変えた鋏だ」と言つてゐるから間違ひないだらう。2.は推測の域を出ないが雪穂には可能だつたらう。3.はすつきりしないままだ。篠塚の個人的な経緯から気が重いから問ひ質さない、といふことらしいが、部費の一部が部長である篠塚の知らないうちに引き出されてゐるのだから、警察に届けるかどうかは別にしても、ダンス部の部長として当人と話すくらゐはしないとをかしくないか。使途不明金なんだから、聞けるはずだ。尤も、さうなればそこで物語は少し違ふ展開になるだらう。4.は探すのに一番苦労した箇所。第四章の終りに出て来る。ここでもし中道がこの事件に更に興味を抱いて調べたら、田川はその鈴の音が気になつてゐたのだから、そのことを漏らすだらう。さうなるとまた違ふ展開になつたかも知れないのは、この時点ではまだ質屋殺しの事件は時効になつてはゐないからで、……(06.10.07)
2006-09-26
50.99.9%は仮説
竹内薫・光文社新書
さうだねえ、ツカミの「最先端の科学でも飛行機がなぜ飛ぶのか解つてない」で買つてしまつた。と言ふか、立ち読みしてゐるうちに、ここで読んでるなら買つちまつて最後まで読まう、と思つたからだ。本屋で本を買ふ時つて、大抵さうなんだけど、……。後半で触れられるホーキング氏の「実証論」が一番面白かつたかな。ホーキング氏関係をちよつと読んでみたくなつた。難しい、と脅してるから、うんと解り易いものから。竹内氏の著書はもう1冊、「ペンローズのねじれた四次元」(講談社ブルーバックス)といふのを読んだことがあるが、それに比べたらこつちは随分解り易い。砕けてゐると言へば聞こえがいいが、(笑)なんてのが挟んであるのは、ちよつと巫山戯すぎだらう。……これでちやうど50冊。Blogタイトルに因んで年間50冊を密かに目安にしてたから、一安心。
さうだねえ、ツカミの「最先端の科学でも飛行機がなぜ飛ぶのか解つてない」で買つてしまつた。と言ふか、立ち読みしてゐるうちに、ここで読んでるなら買つちまつて最後まで読まう、と思つたからだ。本屋で本を買ふ時つて、大抵さうなんだけど、……。後半で触れられるホーキング氏の「実証論」が一番面白かつたかな。ホーキング氏関係をちよつと読んでみたくなつた。難しい、と脅してるから、うんと解り易いものから。竹内氏の著書はもう1冊、「ペンローズのねじれた四次元」(講談社ブルーバックス)といふのを読んだことがあるが、それに比べたらこつちは随分解り易い。砕けてゐると言へば聞こえがいいが、(笑)なんてのが挟んであるのは、ちよつと巫山戯すぎだらう。……これでちやうど50冊。Blogタイトルに因んで年間50冊を密かに目安にしてたから、一安心。
2006-09-18
2006-09-10
48.越後路殺人行
中町信・ケイブンシャ・ノベルズ(used)
奇しくも去年の9月8日、イオン太田の喜久屋書店で購入し、9月10日に読み終へた創元推理文庫「模倣の殺意」からちやうど1年。集め続け読み続けた中町作品もこれが最後。改訂版を含めて31冊読んだことになる。まだあと10作品くらゐは300円以内で手に入る筈だが、もうこの辺でいいかな、と。他にも読んでない本が幾つもあるから。──といふ訳で、最後になつた中町作品は題名からも解る通り多門耕作シリーズの第2作目。もう1つの「奥利根殺人行」は入手不能。お色気シーンがある、といふ風に中町信をめぐるサイトには出てゐるけど、かういふのをお色気シーンといふのかなあ。……まあ、それはいいとして、事件が一度解決したと思はせてから、些細な疑問からドンデン返しになるのは意外だけど、ぎりぎりまで犯人扱ひされてた人間の心情と言ふか気持ちのはうはどうなんだらうねえ。気の毒なんてもんぢやなく、一種の冤罪だもんなあ。犯人の読みは当たつてゐた(だつて31冊も読んでるんだから、どんなに捻つて書くのが得意でも、或る程度のパターンは見えるでせう)が、動機は外しました。
奇しくも去年の9月8日、イオン太田の喜久屋書店で購入し、9月10日に読み終へた創元推理文庫「模倣の殺意」からちやうど1年。集め続け読み続けた中町作品もこれが最後。改訂版を含めて31冊読んだことになる。まだあと10作品くらゐは300円以内で手に入る筈だが、もうこの辺でいいかな、と。他にも読んでない本が幾つもあるから。──といふ訳で、最後になつた中町作品は題名からも解る通り多門耕作シリーズの第2作目。もう1つの「奥利根殺人行」は入手不能。お色気シーンがある、といふ風に中町信をめぐるサイトには出てゐるけど、かういふのをお色気シーンといふのかなあ。……まあ、それはいいとして、事件が一度解決したと思はせてから、些細な疑問からドンデン返しになるのは意外だけど、ぎりぎりまで犯人扱ひされてた人間の心情と言ふか気持ちのはうはどうなんだらうねえ。気の毒なんてもんぢやなく、一種の冤罪だもんなあ。犯人の読みは当たつてゐた(だつて31冊も読んでるんだから、どんなに捻つて書くのが得意でも、或る程度のパターンは見えるでせう)が、動機は外しました。
2006-09-07
47.レイクサイド
東野圭吾・文春文庫(used)
映画になつた「レイクサイド・マーダー・ケース」(監督・青山真治)のDVDを先に見てゐる。役者が揃つてゐる中に(これはいつか誰かに言ひたいと思ひつつ、なかなか機会がなかつたので、ここで敢へて言つてしまはう、この映画の中でも何度か出て来るが、台詞によつて気味の悪い口周辺の動きを見せるので嫌ひな)薬師丸ひろ子が出てゐるのが配役についての不満だが、全体にどこか食ひ足りない映画で、さうだなあ、例へば伊丹十三氏の映画を見た時に受ける感じに似てるかも知れない物足りなさ。映画に関する理屈・理論や技術、感性なども優れてゐる、秀でてゐる監督、なのだらうが、その画面から受けるものはもう一つの現実ではなくスクリーン幕みたいに薄つぺらな世界、といふ風な感じがする。かなり大胆に、生意気なことを言つてるので、そこまで言ふならお前が撮つてみろ、つて言はれるかも。──ま、映画のことは兎も角、原作を読みたいと思つたのは、まあ、そんなことからで、2軒梯子したら状態のいい古本で見付かつた。東野圭吾氏のものは一度も読んだことがない、と思ふ。別に敬遠してゐたわけでも、高村薫氏や北村薫氏(なんと2人とも「薫」ぢやあないか!)のやうに「読めない」と感じたわけでもない。幾つも書いてるみたいだから、いつでもいいや、みたいな感じだつた。──で、映画は原作とはまるで違ふ、と、これも敢へて言つてしまはう。登場人物の数や性別の変更もさうだが、この小説の中でオレが一番いいと思つた場面が映画にはないことだ。並木俊介が事件の真相を知り、車に乗り込む。p265の最後の行から描かれる場面が堪らないだらう?子どもを持つ親なら、結構ジーンと来ると思ふんだけど。最後の最後で、そのことがまた新たな意外な犯行の動機を示すことになるのは見事だけど、悲しいねえ。
映画になつた「レイクサイド・マーダー・ケース」(監督・青山真治)のDVDを先に見てゐる。役者が揃つてゐる中に(これはいつか誰かに言ひたいと思ひつつ、なかなか機会がなかつたので、ここで敢へて言つてしまはう、この映画の中でも何度か出て来るが、台詞によつて気味の悪い口周辺の動きを見せるので嫌ひな)薬師丸ひろ子が出てゐるのが配役についての不満だが、全体にどこか食ひ足りない映画で、さうだなあ、例へば伊丹十三氏の映画を見た時に受ける感じに似てるかも知れない物足りなさ。映画に関する理屈・理論や技術、感性なども優れてゐる、秀でてゐる監督、なのだらうが、その画面から受けるものはもう一つの現実ではなくスクリーン幕みたいに薄つぺらな世界、といふ風な感じがする。かなり大胆に、生意気なことを言つてるので、そこまで言ふならお前が撮つてみろ、つて言はれるかも。──ま、映画のことは兎も角、原作を読みたいと思つたのは、まあ、そんなことからで、2軒梯子したら状態のいい古本で見付かつた。東野圭吾氏のものは一度も読んだことがない、と思ふ。別に敬遠してゐたわけでも、高村薫氏や北村薫氏(なんと2人とも「薫」ぢやあないか!)のやうに「読めない」と感じたわけでもない。幾つも書いてるみたいだから、いつでもいいや、みたいな感じだつた。──で、映画は原作とはまるで違ふ、と、これも敢へて言つてしまはう。登場人物の数や性別の変更もさうだが、この小説の中でオレが一番いいと思つた場面が映画にはないことだ。並木俊介が事件の真相を知り、車に乗り込む。p265の最後の行から描かれる場面が堪らないだらう?子どもを持つ親なら、結構ジーンと来ると思ふんだけど。最後の最後で、そのことがまた新たな意外な犯行の動機を示すことになるのは見事だけど、悲しいねえ。
2006-09-03
46.能登路殺人行
中町信・ケイブンシャノベルズ(used)
シリーズものが幾つかあるのだが、最初のシリーズが売れない推理作家・氏家周一郎もので、これは作家専業になる前年くらゐから始まつて、かなりの作品数がある。因みに11作。次に課長代理・深水文明、探偵・多門耕作が前後して始まる。深水が4作。多門が3作。そして翻訳家・和南城健もの4作、一番新しいのが浅草寿司屋の山内鬼一もの3作だ。これまで多門耕作シリーズはBookOffでは手に入らなくて、Amazonで探してもダメだつたのが「ふるほん倶楽部」で漸く見付けた。のつけから真犯人が登場してゐることがある氏の作品の中ではゆつくりめ。ダイイング・メッセージが作り過ぎてる気がするし、真相解明までにゴタゴタしてるやうに思ふが、面白く読んだ。これにも「推理作家殺人事件」みたいな男女の絡みがちよつとが出て来る。余談だが、氏の6年前の新作(と言ふか、それ以降作品が発表されてない)「錯誤のブレーキ」がAmazonで5,000円で売りに出てゐた。オレは400円で買つたけど。愈々手に入らなくなるのかなア。
シリーズものが幾つかあるのだが、最初のシリーズが売れない推理作家・氏家周一郎もので、これは作家専業になる前年くらゐから始まつて、かなりの作品数がある。因みに11作。次に課長代理・深水文明、探偵・多門耕作が前後して始まる。深水が4作。多門が3作。そして翻訳家・和南城健もの4作、一番新しいのが浅草寿司屋の山内鬼一もの3作だ。これまで多門耕作シリーズはBookOffでは手に入らなくて、Amazonで探してもダメだつたのが「ふるほん倶楽部」で漸く見付けた。のつけから真犯人が登場してゐることがある氏の作品の中ではゆつくりめ。ダイイング・メッセージが作り過ぎてる気がするし、真相解明までにゴタゴタしてるやうに思ふが、面白く読んだ。これにも「推理作家殺人事件」みたいな男女の絡みがちよつとが出て来る。余談だが、氏の6年前の新作(と言ふか、それ以降作品が発表されてない)「錯誤のブレーキ」がAmazonで5,000円で売りに出てゐた。オレは400円で買つたけど。愈々手に入らなくなるのかなア。
2006-08-30
45.小豆島殺人事件
中町信・TOKUMA NOVELS(used)
プロローグで「私」を読み違へた。それが中盤まで尾を引いた。犯人の意外性はそれほどもない。気絶してる女性を暴行する。しかも3人掛かりだ。途中で意識が戻りませんか?よりも先づ、なぜ気絶したのか。数人の酔つ払ひに襲はれ、……といふ事情だと説明があるが、相手の顔が解らないといふことがあるでせうか?後ろからいきなり襲はれ、例へば何かで殴られて気を失ひ、だから顔が見えなくつて、……なんでオレが解説しなきやならないの?テニス部の5日間の合宿が小豆島から有馬温泉へと移動して行ふといふのも不思議でしたが。
プロローグで「私」を読み違へた。それが中盤まで尾を引いた。犯人の意外性はそれほどもない。気絶してる女性を暴行する。しかも3人掛かりだ。途中で意識が戻りませんか?よりも先づ、なぜ気絶したのか。数人の酔つ払ひに襲はれ、……といふ事情だと説明があるが、相手の顔が解らないといふことがあるでせうか?後ろからいきなり襲はれ、例へば何かで殴られて気を失ひ、だから顔が見えなくつて、……なんでオレが解説しなきやならないの?テニス部の5日間の合宿が小豆島から有馬温泉へと移動して行ふといふのも不思議でしたが。
2006-08-26
44.佐渡ヶ島殺人旅情
中町信・青樹社ビッグブックス(used)
元は「佐渡金山殺人事件」。でも、これはをかしいよね。佐渡金山つて言ふけど、佐渡金山付近で死体が見つかるのは1人だし、別に佐渡金山にまつはる連続殺人といふワケでもないので、こつちの題名のはうがいいでせう。えーと、P39で浜岡ゆり子が北本さんとは面識がないのに「すれ違つた」と証言するのはなぜですか?それと写真の話からホテルの入り口にオームの彫像が、と既成事実みたいに展開するのも撹乱の一種でせうか。これは氏家シリーズの第一作なのだが、どうやらここから始まつてるらしいのは氏家早苗の思ひ込みで、どれほどそれが捜査の妨げ、読み手の推理の妨げになつてゐるか、計り知れない。疑問に思ふことがあつても、横からガチャガチャ的外れみたいな意見を言はれて、と言ふか読まされてるうちに、疑問のポイントを見失つてイライラするのだ。上手い設定だね。写真の女だ、といふメッセージも、さう。そこにゐたすべての人ではないことは、慣れると解るので特にダイナミックな展開ではありませんね、中町さん。
元は「佐渡金山殺人事件」。でも、これはをかしいよね。佐渡金山つて言ふけど、佐渡金山付近で死体が見つかるのは1人だし、別に佐渡金山にまつはる連続殺人といふワケでもないので、こつちの題名のはうがいいでせう。えーと、P39で浜岡ゆり子が北本さんとは面識がないのに「すれ違つた」と証言するのはなぜですか?それと写真の話からホテルの入り口にオームの彫像が、と既成事実みたいに展開するのも撹乱の一種でせうか。これは氏家シリーズの第一作なのだが、どうやらここから始まつてるらしいのは氏家早苗の思ひ込みで、どれほどそれが捜査の妨げ、読み手の推理の妨げになつてゐるか、計り知れない。疑問に思ふことがあつても、横からガチャガチャ的外れみたいな意見を言はれて、と言ふか読まされてるうちに、疑問のポイントを見失つてイライラするのだ。上手い設定だね。写真の女だ、といふメッセージも、さう。そこにゐたすべての人ではないことは、慣れると解るので特にダイナミックな展開ではありませんね、中町さん。
2006-08-22
2006-08-20
42.推理作家殺人事件
中町信・立風ノベルズ(used)
男鹿温泉で推理作家が死ぬ。事故死か自殺か殺人か。続けて起こる女性編集者の死。更に推理作家が殺されて、……果たして犯人は誰か。主人公の女性編集者が真犯人に辿り着いたと思つた途端、どんでん返しが待つてゐる。──なんていふ解説はこれまでは省略したけど、たまには書いて見よう。後半に入り、珍しく男女の絡みの場面が出てくる。これまでに読んだ作品にはなかつたと思ふ。いや、なかつた、と断言しよう。なかなかに助平なシーンなのだ。読み終はつて、パラパラめくつてトリックの部分を再確認してたら、第4章が9月12日になつてるんだけど、これは9月13日ぢやないのかなあ。第5章が14日なんだから。
男鹿温泉で推理作家が死ぬ。事故死か自殺か殺人か。続けて起こる女性編集者の死。更に推理作家が殺されて、……果たして犯人は誰か。主人公の女性編集者が真犯人に辿り着いたと思つた途端、どんでん返しが待つてゐる。──なんていふ解説はこれまでは省略したけど、たまには書いて見よう。後半に入り、珍しく男女の絡みの場面が出てくる。これまでに読んだ作品にはなかつたと思ふ。いや、なかつた、と断言しよう。なかなかに助平なシーンなのだ。読み終はつて、パラパラめくつてトリックの部分を再確認してたら、第4章が9月12日になつてるんだけど、これは9月13日ぢやないのかなあ。第5章が14日なんだから。
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