岡嶋二人・講談社文庫(used)
一気に読んだ。次から次へと頁を捲つてしまふ。氏の作品は幾つか読んでる。「おかしな二人」も読んだ。井上夢人ひとりになつてからの作品も読んでる、確か。日本推理作家協会賞受賞作。1985年、いまから20年前の作品。こんなことはあり得ないよ、だつて相手は中学生だらう、とは言へない世の中になつてしまつたのだ、いつのまにか。テレビが登場してから、ファミコンが出てから、東京ディズニーランドが出来てから、……と諸説あるけれど、それも勿論あるでせう、でもオレはもともと儒教的な道徳観が日本人には合はないからぢやないか、つて思つてるんだけどねえ。付け焼き刃だつたんぢやないか、と。話が逸れてしまつたけど。
2006-05-28
2006-05-23
26.沈黙者
折原一・文春文庫(used)
BookOffで中町信を物色してた時に見付けたのだが、氏が書いた中町信の「空白の殺意」の解説を読んでたから買ふ気になつたので、えーと、あの、落語家が出て来るミステリー、思ひ出せないけど、あの作者とよく混同して避けてゐた。なんとか薫つて言ふんだけど、……さう、北村薫だ。この人はダメなんだねえ。なんとかの蝉(全然違ふかも知れない)とかいふのを図書館で借りて読まうとして一頁目から先に行けない。入れないんだね。拒絶反応。「マークスの山」(?)とおんなじ。兎に角驚きました、このトリック、と言ふか、作り方。正直な話がP325(全体でP383)の高山一家の登場まで「もしかしたら、かういふことか?」と思はなかつた。殺人事件のカラクリよりも「沈黙者」は誰かに気を取られてしまつた。かなり集中しないと面白さが存分に味はへないかも知れない。もう一度続けて読んでもいいかな、と思つたほどだが、難を言へば、……小姑みたいで気が引けるのは、文句の付けやうがないくらゐ丹念に書かれてゐるからだが、一言二言。「わが生涯最大の事件」の作者が67〜68才と推察されるのだが、年齢と言ひ回しに違和感がある。P284の「君は後悔の「航海」に旅立つ。駄洒落を言つても仕方ないんだけれどもね。」とか、P311「それでおしまい。ジ・エンド。」つていふ言ひ回しが相応しいかどうか。と、P379で「沈黙者」を「私」が調べてゐることを本人が知つたといふ風に書いてあるけど、確か「私」は声をかけてない筈なので、躊躇つた筈だから、どういふ経緯でそれが「沈黙者」に知れたのか、明確ではない。なんとなく、さうかも、では済まない重要なことだ。「沈黙者」が気付かなければ、接点がなければ起こらなかつた事件だから。20代後半から50近い年齢まで世間とは没交渉だつたわけだからねえ。最後に,息子の靴を履くのは尋常ではない、と感じました。
BookOffで中町信を物色してた時に見付けたのだが、氏が書いた中町信の「空白の殺意」の解説を読んでたから買ふ気になつたので、えーと、あの、落語家が出て来るミステリー、思ひ出せないけど、あの作者とよく混同して避けてゐた。なんとか薫つて言ふんだけど、……さう、北村薫だ。この人はダメなんだねえ。なんとかの蝉(全然違ふかも知れない)とかいふのを図書館で借りて読まうとして一頁目から先に行けない。入れないんだね。拒絶反応。「マークスの山」(?)とおんなじ。兎に角驚きました、このトリック、と言ふか、作り方。正直な話がP325(全体でP383)の高山一家の登場まで「もしかしたら、かういふことか?」と思はなかつた。殺人事件のカラクリよりも「沈黙者」は誰かに気を取られてしまつた。かなり集中しないと面白さが存分に味はへないかも知れない。もう一度続けて読んでもいいかな、と思つたほどだが、難を言へば、……小姑みたいで気が引けるのは、文句の付けやうがないくらゐ丹念に書かれてゐるからだが、一言二言。「わが生涯最大の事件」の作者が67〜68才と推察されるのだが、年齢と言ひ回しに違和感がある。P284の「君は後悔の「航海」に旅立つ。駄洒落を言つても仕方ないんだけれどもね。」とか、P311「それでおしまい。ジ・エンド。」つていふ言ひ回しが相応しいかどうか。と、P379で「沈黙者」を「私」が調べてゐることを本人が知つたといふ風に書いてあるけど、確か「私」は声をかけてない筈なので、躊躇つた筈だから、どういふ経緯でそれが「沈黙者」に知れたのか、明確ではない。なんとなく、さうかも、では済まない重要なことだ。「沈黙者」が気付かなければ、接点がなければ起こらなかつた事件だから。20代後半から50近い年齢まで世間とは没交渉だつたわけだからねえ。最後に,息子の靴を履くのは尋常ではない、と感じました。
2006-05-20
25.ステップフォードの妻たち
アイラ・レヴィン/平尾圭吾訳・早川文庫(used)
これは面白いねえ。解説に「読む人によってさまざまに解釈が分かれたユニークな作品」なんて書いてあるけど、そんなに幾通りもないだらうに。だつたらなんでP79でマージ・マコーミックの洗濯物を洗つてゐるといふキット・サンダーセンの説明「彼女、なにかのウィルスにやられて、今日は動くこともできない」なんて書いてあるの?更にP186でコーネル夫人が棚を掃除してて「背後でガラスが、ちゃりん、と音を立てた」となつてゐるのは、もし違ふ解釈が出来るとしたら、却つてかういふ書き方はズルいでせう。SFみたいだけど、ほかに解釈のしやうがない。それも実に自然に受け入れられるし、あり得ねえ、なんて言ふ気にならないくらゐ丁寧に書いてあるよ。その後で彼女はどうなつたのか、つていふ怖さはあるけど。作者のアイラ・レヴィンは「ローズマリーの赤ちやん」を書いた人で、映画もテレビとビデオで見たし、原作も読んだ。デビュー作の「死の接吻」も読んでる。内容は思ひ出せない。でも、もう一度読みたいと思つてるから、たぶん処分してない、どつちも。これはニコール・キッドマン主演で映画になつてるので、それも見たいんだけど、ニコール・キッドマンは、どつちかと言ふと嫌ひだから、顔が。と、ピーター・ストラウヴつて人の解説がよく意味が解らない。何が言ひたいたんだらう、小難しい言ひ回しは鬱陶しいよ。簡潔でスラスラ読めるのが名作の条件だ、みたいに言つてる本人の文章が、ちと難解なのはジョークですか?
これは面白いねえ。解説に「読む人によってさまざまに解釈が分かれたユニークな作品」なんて書いてあるけど、そんなに幾通りもないだらうに。だつたらなんでP79でマージ・マコーミックの洗濯物を洗つてゐるといふキット・サンダーセンの説明「彼女、なにかのウィルスにやられて、今日は動くこともできない」なんて書いてあるの?更にP186でコーネル夫人が棚を掃除してて「背後でガラスが、ちゃりん、と音を立てた」となつてゐるのは、もし違ふ解釈が出来るとしたら、却つてかういふ書き方はズルいでせう。SFみたいだけど、ほかに解釈のしやうがない。それも実に自然に受け入れられるし、あり得ねえ、なんて言ふ気にならないくらゐ丁寧に書いてあるよ。その後で彼女はどうなつたのか、つていふ怖さはあるけど。作者のアイラ・レヴィンは「ローズマリーの赤ちやん」を書いた人で、映画もテレビとビデオで見たし、原作も読んだ。デビュー作の「死の接吻」も読んでる。内容は思ひ出せない。でも、もう一度読みたいと思つてるから、たぶん処分してない、どつちも。これはニコール・キッドマン主演で映画になつてるので、それも見たいんだけど、ニコール・キッドマンは、どつちかと言ふと嫌ひだから、顔が。と、ピーター・ストラウヴつて人の解説がよく意味が解らない。何が言ひたいたんだらう、小難しい言ひ回しは鬱陶しいよ。簡潔でスラスラ読めるのが名作の条件だ、みたいに言つてる本人の文章が、ちと難解なのはジョークですか?
2006-05-19
24.殺人投影図
結城恭介・祥伝社NON NOVEL(used)
Book Off の棚で見付けて、読んでみるかな、と思つたわけはタイトルに「新探偵小説」と添へられてゐるからではなくて、氏の名前を知つてゐたからで、それはデビュー作で第一回小説新潮新人賞受賞作「美琴姫様騒動始末」を読んだことがあるからだ。当時は筒井康隆が絶賛で文庫の解説も書いてたやうに思ふ。それで読まうかと思つたわけだが、どこが「新」探偵小説なんだか、解りませんでした。先づ、あの、非常に中に入りづらかつた。頁が進まないんだね、言葉の問題で。面倒だから読まないでBook Off に出しちやはう、と何度か思つた。突然、池波正太郎みたいな言ひ回し(池波正太郎のそれがイヤだといふ意味ではないのです)が出て来るのは意図してやつてるのか、意図してるなら読み難くなるだけで、失敗してる。今から12年前に書かれたものだが、携帯電話も出て来るし、当時の風俗や言葉遣ひが扱はれてる中に、「困った愛想笑いを返すさやかである。」(説明するまでもないでせうが、さやかは名前です)なんて書き方が混つてるのは変だよ。馴染めないねえ、オレは。作者と出版社が狙ふ「新」は、少なくともオレには感じなかつた。ミステリーとしても、どうでせう。
Book Off の棚で見付けて、読んでみるかな、と思つたわけはタイトルに「新探偵小説」と添へられてゐるからではなくて、氏の名前を知つてゐたからで、それはデビュー作で第一回小説新潮新人賞受賞作「美琴姫様騒動始末」を読んだことがあるからだ。当時は筒井康隆が絶賛で文庫の解説も書いてたやうに思ふ。それで読まうかと思つたわけだが、どこが「新」探偵小説なんだか、解りませんでした。先づ、あの、非常に中に入りづらかつた。頁が進まないんだね、言葉の問題で。面倒だから読まないでBook Off に出しちやはう、と何度か思つた。突然、池波正太郎みたいな言ひ回し(池波正太郎のそれがイヤだといふ意味ではないのです)が出て来るのは意図してやつてるのか、意図してるなら読み難くなるだけで、失敗してる。今から12年前に書かれたものだが、携帯電話も出て来るし、当時の風俗や言葉遣ひが扱はれてる中に、「困った愛想笑いを返すさやかである。」(説明するまでもないでせうが、さやかは名前です)なんて書き方が混つてるのは変だよ。馴染めないねえ、オレは。作者と出版社が狙ふ「新」は、少なくともオレには感じなかつた。ミステリーとしても、どうでせう。
2006-05-10
23.Sの悲劇
中町信・青樹社ビッグブックス(used)
Amazonで購入。実にいい状態でした。Amazonでusedを買ふと送料が掛かる。340円かな。だから、本自体は「1円」なんてのもある。これも「1円」。中町信の唯一の短編集だ。氏が双葉推理賞を受賞した「急行しろやま」が入つてるのかなあ、と思つてたけど、違つた。でも、8つの短篇が入つてる。表題作は、まあまあ面白い。中町信の作品を読んだことがあるかないか、その辺で評価の分れるところだね。「著者あとがき」があるから余計な話はしないはうがいいかな。確かに「サンチョパンサは笑う」のトリックは「あれあれ?どこかで読んだぞ、これ」つて思つたし、「312号室の女」はそのまんまだね。最後の「動く密室」は確かに氏の言ふやうに、惜しい。「自動車教習所殺人事件」があるからね、似たやうなシチュエーションで。ただ、ほしかつたんだよね、唯一の短編集だつて、知つてから。すつかり肩入れしてコレクション(?)を始めてからは、外せない、と。本の状態がよかつたから、より一層満足。中身も、ね。氏に興味のない人には勧めません。先づ「模倣の殺意」ですね。もと「新人文学賞殺人事件」を読んで見て下さい。それを読んでどう思ふか。追記:余計なことなんだけど、誤植を見付けた。「裸の密室」の中のP79の下段2行目「佐美江が臆面もなく言ってのけた(略)」となつてゐるが、これは「美佐江」の筈。
Amazonで購入。実にいい状態でした。Amazonでusedを買ふと送料が掛かる。340円かな。だから、本自体は「1円」なんてのもある。これも「1円」。中町信の唯一の短編集だ。氏が双葉推理賞を受賞した「急行しろやま」が入つてるのかなあ、と思つてたけど、違つた。でも、8つの短篇が入つてる。表題作は、まあまあ面白い。中町信の作品を読んだことがあるかないか、その辺で評価の分れるところだね。「著者あとがき」があるから余計な話はしないはうがいいかな。確かに「サンチョパンサは笑う」のトリックは「あれあれ?どこかで読んだぞ、これ」つて思つたし、「312号室の女」はそのまんまだね。最後の「動く密室」は確かに氏の言ふやうに、惜しい。「自動車教習所殺人事件」があるからね、似たやうなシチュエーションで。ただ、ほしかつたんだよね、唯一の短編集だつて、知つてから。すつかり肩入れしてコレクション(?)を始めてからは、外せない、と。本の状態がよかつたから、より一層満足。中身も、ね。氏に興味のない人には勧めません。先づ「模倣の殺意」ですね。もと「新人文学賞殺人事件」を読んで見て下さい。それを読んでどう思ふか。追記:余計なことなんだけど、誤植を見付けた。「裸の密室」の中のP79の下段2行目「佐美江が臆面もなく言ってのけた(略)」となつてゐるが、これは「美佐江」の筈。
2006-05-03
22.裁判官が日本を滅ぼす
門田隆将・新潮文庫(used)
日頃から新聞記事の中に裁判結果が報じられているのを目にして時折、勿論法律の専門家ではないけれども社会人として長く生活してゐれば或る程度の判断が出来るやうな事件の判決に耳を疑ふ、と言ふか目を疑ふことがあつたが、これを読んで氷解した。先づ、民事事件について日本の裁判官は一般常識がない。銀行に騙されてローンを組まれた事件について、判決は被害者に鞭を打つ。集団リンチ殺人事件の犯人である少年が仮名で報じられたのを名誉毀損で訴へた裁判も最高裁まで争はれる始末。殺人を犯して名誉毀損とは、どういふ神経なのかと訝る。山形で起きた「マット死事件」の犯人たちの供述は子どもを持つ親には読むに耐へないものだ。この事件は最高裁で有罪が確定したが、元少年たちは再審請求をしてゐるといふ付記を読み、絶句する。交通事故から奇跡的に命は取り留め、脳挫傷で重体だつた少年が必死の努力でリハビリを続け、定時制高校から全日制に合格した矢先に殺された事件など、犯人たちをぶツ殺してやりたい、と思ふに違ひない。犯人の少年たちは少年法のもとに庇護され、無期懲役や死刑の判決を受けることはない。ここに登場する裁判官たちは人間としてをかしい、狂つてゐる。判決だけでなく、法廷内での言動など、正気の沙汰ではないよ。
日頃から新聞記事の中に裁判結果が報じられているのを目にして時折、勿論法律の専門家ではないけれども社会人として長く生活してゐれば或る程度の判断が出来るやうな事件の判決に耳を疑ふ、と言ふか目を疑ふことがあつたが、これを読んで氷解した。先づ、民事事件について日本の裁判官は一般常識がない。銀行に騙されてローンを組まれた事件について、判決は被害者に鞭を打つ。集団リンチ殺人事件の犯人である少年が仮名で報じられたのを名誉毀損で訴へた裁判も最高裁まで争はれる始末。殺人を犯して名誉毀損とは、どういふ神経なのかと訝る。山形で起きた「マット死事件」の犯人たちの供述は子どもを持つ親には読むに耐へないものだ。この事件は最高裁で有罪が確定したが、元少年たちは再審請求をしてゐるといふ付記を読み、絶句する。交通事故から奇跡的に命は取り留め、脳挫傷で重体だつた少年が必死の努力でリハビリを続け、定時制高校から全日制に合格した矢先に殺された事件など、犯人たちをぶツ殺してやりたい、と思ふに違ひない。犯人の少年たちは少年法のもとに庇護され、無期懲役や死刑の判決を受けることはない。ここに登場する裁判官たちは人間としてをかしい、狂つてゐる。判決だけでなく、法廷内での言動など、正気の沙汰ではないよ。
2006-04-27
2006-04-25
20.十四年目の復讐
中町信・講談社NOVELS(used)
新たにAmazon経由で手に入れたものの一つ。近場では氏の作品が手に入らなくなつて来た。実に800枚超の長い小説だけど、それほど苦もなく読み通すことが出来る。例へば休みの日で、まはりの人たちが寛大、もしくは無関心であれば一日で読める。いま目の前で推理されてることを中心に書くといふ、得意のパターンで、これが意外と病み付きになるのだが、殊に展開の中心が会話なのも相変はらずだ。2つのシリーズの主人公である和南城健と山内鬼一が登場し協力して事件を解決する。ダイイング・メッセージものは苦手、と言ふよりあんまり好まない。これにも出て来るが、十四年前の遺書の読み解きは強引だよ。「こしが」のはうは面白いけどね。
新たにAmazon経由で手に入れたものの一つ。近場では氏の作品が手に入らなくなつて来た。実に800枚超の長い小説だけど、それほど苦もなく読み通すことが出来る。例へば休みの日で、まはりの人たちが寛大、もしくは無関心であれば一日で読める。いま目の前で推理されてることを中心に書くといふ、得意のパターンで、これが意外と病み付きになるのだが、殊に展開の中心が会話なのも相変はらずだ。2つのシリーズの主人公である和南城健と山内鬼一が登場し協力して事件を解決する。ダイイング・メッセージものは苦手、と言ふよりあんまり好まない。これにも出て来るが、十四年前の遺書の読み解きは強引だよ。「こしが」のはうは面白いけどね。
2006-04-23
19.黒い家
貴志祐介・角川ホラー文庫(used)
作者が京大出身の人だから、ではないけれども、非常に頭脳明晰な人がコツコツと丁寧に作り上げた小説だなあ、といふのが全体への感想。内容は生命保険に絡む犯罪。ミステリーの要素もあり、一気に読ませる。読み応へは充分だし、面白かつた。但し、最後のはうで高倉嘉子といふ保険外務員が登場するが、これは余計ではないか。それだけのために出て来た人物になつてゐないか。若槻を会社に留める方法はほかになかつたらうか。黒沢恵の猫の一件から、読んでるこつちにも充分予想出来ることに若槻が思ひ至らないのにも無理があると思ふ。金石はなんで殺されたのかの説明も足りない。三善はまあ、解るけど。もともとは森田芳光監督の映画のはうが見たかつた。DVDを一度借りて来たけど、結局見られなくて返す羽目になつた。原作から読んで見るか、映像よりも怖くないだらう、と。やつぱりグロテスクだよねえ、ホラーものは。残酷だし。氏の他の作品も読んで見たいとは思ふ。
作者が京大出身の人だから、ではないけれども、非常に頭脳明晰な人がコツコツと丁寧に作り上げた小説だなあ、といふのが全体への感想。内容は生命保険に絡む犯罪。ミステリーの要素もあり、一気に読ませる。読み応へは充分だし、面白かつた。但し、最後のはうで高倉嘉子といふ保険外務員が登場するが、これは余計ではないか。それだけのために出て来た人物になつてゐないか。若槻を会社に留める方法はほかになかつたらうか。黒沢恵の猫の一件から、読んでるこつちにも充分予想出来ることに若槻が思ひ至らないのにも無理があると思ふ。金石はなんで殺されたのかの説明も足りない。三善はまあ、解るけど。もともとは森田芳光監督の映画のはうが見たかつた。DVDを一度借りて来たけど、結局見られなくて返す羽目になつた。原作から読んで見るか、映像よりも怖くないだらう、と。やつぱりグロテスクだよねえ、ホラーものは。残酷だし。氏の他の作品も読んで見たいとは思ふ。
2006-04-16
18.グリム童話
鈴木晶・講談社現代新書(used)
副題は「メルヘンの深層」。グリム童話が、実はドイツの田舎の老人たちから聞いた昔話を纏めたものではない、とは意外だつた。グリム兄弟の主に弟のはうが元の話に手を入れたり書き換へたりしてゐたこと、いろんな国の昔話や書物からの引用もあるといふ話は、まつたく知らなかつた。「グリム童話集」は新潮文庫で2冊読んだ記憶がある。「カエルの王様」と「ヘンゼルとグレーテル」がお気に入りなのだが、「カエルの王様」はグリム童話集の正式タイトル「子どもと家庭の童話」の一番最初に載つてゐるさうだ。「赤ずきん」や「白雪姫」や「シンデレラ」はもともとはペロー童話、とは知りませんでした。「赤ずきん」の赤いずきんと「シンデレラ」のガラスの靴はペローのアレンジだ、つてのも初耳でした。ペロー童話は、このBlogの最初に書いた気がするが「三銃士」「ああ無情」と一緒に、子ども向けの世界文学全集のうちの1巻(この全集を揃へてゐたわけではなく、この1巻しかなかつた)に入つてゐて読んだ筈だが、中身は覚えてゐない。「赤ずきん」が狼の腹からお婆さんを助け出し、代りに石を詰めるといふストーリーはやつぱり「オオカミと7匹の子ヤギ」だよねえ。あれ?「3匹の子ブタ」だつけ?兎に角、童話つてのは、純粋な口伝ての昔話なんかではなく、いろんな人が手を加へたものだから、似たやうな結末があつたりするわけだ。ふむふむ。
副題は「メルヘンの深層」。グリム童話が、実はドイツの田舎の老人たちから聞いた昔話を纏めたものではない、とは意外だつた。グリム兄弟の主に弟のはうが元の話に手を入れたり書き換へたりしてゐたこと、いろんな国の昔話や書物からの引用もあるといふ話は、まつたく知らなかつた。「グリム童話集」は新潮文庫で2冊読んだ記憶がある。「カエルの王様」と「ヘンゼルとグレーテル」がお気に入りなのだが、「カエルの王様」はグリム童話集の正式タイトル「子どもと家庭の童話」の一番最初に載つてゐるさうだ。「赤ずきん」や「白雪姫」や「シンデレラ」はもともとはペロー童話、とは知りませんでした。「赤ずきん」の赤いずきんと「シンデレラ」のガラスの靴はペローのアレンジだ、つてのも初耳でした。ペロー童話は、このBlogの最初に書いた気がするが「三銃士」「ああ無情」と一緒に、子ども向けの世界文学全集のうちの1巻(この全集を揃へてゐたわけではなく、この1巻しかなかつた)に入つてゐて読んだ筈だが、中身は覚えてゐない。「赤ずきん」が狼の腹からお婆さんを助け出し、代りに石を詰めるといふストーリーはやつぱり「オオカミと7匹の子ヤギ」だよねえ。あれ?「3匹の子ブタ」だつけ?兎に角、童話つてのは、純粋な口伝ての昔話なんかではなく、いろんな人が手を加へたものだから、似たやうな結末があつたりするわけだ。ふむふむ。
2006-04-13
17.考えるヒット
近田晴夫・文春文庫(used)
近田晴夫はハルヲフォンで「Come on Let's Go」と「電撃的東京」を持つてゐた。遠藤賢司の「東京ワッショイ」の頃、ムーンライダーズの「青空百景」の頃かな。和物は殆ど聞いてなかつたけど、ハルヲフォンはよかつたね。遠藤賢司も、勿論ムーンライダーズもだけど、特にハルヲフォンには歌謡曲の面白さを改めて教へて貰つた気がする。ここには1997年を中心にした日本のポップスについて屈託のない意見が書かれてゐる。好みが近いですね。ただ「はつぴいえんど」はオレにはフォークぢやなかつた。日曜日の昼頃のラジオでライヴを聞かしてた番組があつて、RCサクセションの「ぼくの好きな先生」(生ギターでやつてたバージョン)も聞いたし、「はつぴいえんど」の「春らんまん」も聞いた。これが結構へヴィーなライヴだつたね。オレもフォークはあんまりね。泉谷しげるはロックだらうな。RCサクセションはフォーク寄りだよね。曲よりも歌詞や歌ひ方が。この本には専門的な用語がかなり出て来る。一気に読んだけど、その辺がよく意味解んなかつた。楽器やる人は解ると思ふ。
近田晴夫はハルヲフォンで「Come on Let's Go」と「電撃的東京」を持つてゐた。遠藤賢司の「東京ワッショイ」の頃、ムーンライダーズの「青空百景」の頃かな。和物は殆ど聞いてなかつたけど、ハルヲフォンはよかつたね。遠藤賢司も、勿論ムーンライダーズもだけど、特にハルヲフォンには歌謡曲の面白さを改めて教へて貰つた気がする。ここには1997年を中心にした日本のポップスについて屈託のない意見が書かれてゐる。好みが近いですね。ただ「はつぴいえんど」はオレにはフォークぢやなかつた。日曜日の昼頃のラジオでライヴを聞かしてた番組があつて、RCサクセションの「ぼくの好きな先生」(生ギターでやつてたバージョン)も聞いたし、「はつぴいえんど」の「春らんまん」も聞いた。これが結構へヴィーなライヴだつたね。オレもフォークはあんまりね。泉谷しげるはロックだらうな。RCサクセションはフォーク寄りだよね。曲よりも歌詞や歌ひ方が。この本には専門的な用語がかなり出て来る。一気に読んだけど、その辺がよく意味解んなかつた。楽器やる人は解ると思ふ。
2006-04-10
16.死者の贈物
中町信・講談社NOVELS(used)
愈々ストックも終り、残すは「模倣の殺意」の前身「新人文学賞殺人事件」だけ。40数冊ある氏の著作の半分近くを読んだことになる。月刊彦七新聞HPでも書いたことがあるけれども、展開に綱渡りみたいなところがあつて、二転三転してゐるやうに見えるが、それは登場人物たちの思ひ込みに過ぎない、とか。集中的に読んで思ふのは、そこが魅力でもあるな、といふこと。この「死者の贈物」にも危なつかしいところがある。それはたぶん説明不足なんだらうな。氏を巡るサイトの中で見たのかも知れないが、兎に角ストーリー展開の中心は叙述や描写でなく会話だから、例へば殺人事件があつて、それが復讐であつても、かう、気持ちが入らないと言ふか、作品の人物の思ひに入り込めてないから、素通りしてしまふやうな、さういふ面がありますね。ゲーム的、RPGゲームみたいなところがある。全体に仕掛けたトリックなども、やはりゲーム的なセンスだと思ふし、叙述の中にトリックがある、といふミステリーのスタイルは、遊び心がないと出来ないでせう。それをミステリーとしてダメだ、と見る人もゐて、フェアぢやない、などの理由から氏は江戸川乱歩賞を逃して来た。でも、もつと読まれていい作家だと思ふ。勿体ない。
愈々ストックも終り、残すは「模倣の殺意」の前身「新人文学賞殺人事件」だけ。40数冊ある氏の著作の半分近くを読んだことになる。月刊彦七新聞HPでも書いたことがあるけれども、展開に綱渡りみたいなところがあつて、二転三転してゐるやうに見えるが、それは登場人物たちの思ひ込みに過ぎない、とか。集中的に読んで思ふのは、そこが魅力でもあるな、といふこと。この「死者の贈物」にも危なつかしいところがある。それはたぶん説明不足なんだらうな。氏を巡るサイトの中で見たのかも知れないが、兎に角ストーリー展開の中心は叙述や描写でなく会話だから、例へば殺人事件があつて、それが復讐であつても、かう、気持ちが入らないと言ふか、作品の人物の思ひに入り込めてないから、素通りしてしまふやうな、さういふ面がありますね。ゲーム的、RPGゲームみたいなところがある。全体に仕掛けたトリックなども、やはりゲーム的なセンスだと思ふし、叙述の中にトリックがある、といふミステリーのスタイルは、遊び心がないと出来ないでせう。それをミステリーとしてダメだ、と見る人もゐて、フェアぢやない、などの理由から氏は江戸川乱歩賞を逃して来た。でも、もつと読まれていい作家だと思ふ。勿体ない。
2006-04-08
15.自動車教習所殺人事件
中町信・徳間文庫(used)
中町作品としては実に地味な作品。最初の事件があつて、続いて密室での殺人が起こつて、しかし容疑者にはアリバイが、……といふ。ちよつと物足りない。これぢや普通のミステリーだよ。破綻もないけど荒技もないわけで、その辺が中町氏の真骨頂だから。癖になつちまふんだなあ。終りのはうに、なんと渋川の阿久津に住んでる人が沼田の自動車教習所に通ふといふ設定があつて驚いた。さうだねえ、渋川と沼田までは前橋までと同じくらゐだらうから15〜20km離れてると思ふ。ま、近場で言へば足利から桐生に通ふやうなもんでせう。30〜40分は見ないと行けないわけだ。これを遠いと見るか近いと見るかは人それぞれだらうが、市内に2箇所(小説の設定年代当時)ある教習所ではなく、敢へて沼田に通ふことにした理由が解りません。中町氏は沼田の出身だから沼田を贔屓してるのかなあ。高校に通ふとか、通勤でならは解るけど、運転免許でせう。近いところに通ふと思ふけどねえ。それに、どうも冬らしいんだよねえ、教習所通ひが。それだけぢやなく、大学四年の女の子が信州のスキー場でアルバイトするから、と言はれて一箇月間、連絡も取られないでゐる親がゐるかなあ。渋川はこの辺の人が思つてるほど雪は降らないけど、沼田は降るよ。積もるよ。どうして沼田にしたの?知りたい。
中町作品としては実に地味な作品。最初の事件があつて、続いて密室での殺人が起こつて、しかし容疑者にはアリバイが、……といふ。ちよつと物足りない。これぢや普通のミステリーだよ。破綻もないけど荒技もないわけで、その辺が中町氏の真骨頂だから。癖になつちまふんだなあ。終りのはうに、なんと渋川の阿久津に住んでる人が沼田の自動車教習所に通ふといふ設定があつて驚いた。さうだねえ、渋川と沼田までは前橋までと同じくらゐだらうから15〜20km離れてると思ふ。ま、近場で言へば足利から桐生に通ふやうなもんでせう。30〜40分は見ないと行けないわけだ。これを遠いと見るか近いと見るかは人それぞれだらうが、市内に2箇所(小説の設定年代当時)ある教習所ではなく、敢へて沼田に通ふことにした理由が解りません。中町氏は沼田の出身だから沼田を贔屓してるのかなあ。高校に通ふとか、通勤でならは解るけど、運転免許でせう。近いところに通ふと思ふけどねえ。それに、どうも冬らしいんだよねえ、教習所通ひが。それだけぢやなく、大学四年の女の子が信州のスキー場でアルバイトするから、と言はれて一箇月間、連絡も取られないでゐる親がゐるかなあ。渋川はこの辺の人が思つてるほど雪は降らないけど、沼田は降るよ。積もるよ。どうして沼田にしたの?知りたい。
2006-04-03
14.空白の殺意
中町信・創元推理文庫
もとは「高校野球殺人事件」と言ひ、江戸川乱歩賞の最終候補に残つたものの受賞できなかつた「教習所殺人事件」(その後「自動車教習所殺人事件」)が刊行された年の暮れに出たものだと、折原一氏の解説にある。題名はどうだらうなあ。折原氏はセンスがないと言ふけど「高校野球殺人事件」つて、センス云々よりも中身がそのままだからねえ。矢鱈と殺人事件を付けるのは如何なものかと仰る向きもあるけれども、だつて殺人事件だろ?なんとかの殺意が三つ続くのはセンスはあるかも知れないが逆に芸がなくないかい?中町氏が触発されてこれを書いたと言ふディクスン・カーの「皇帝のかぎ煙草入れ」を読んでみたい。書き方に登場人物たちや読み手の錯覚を促すといふ方法はここでも使はれてゐる。でも、それほどケレン味はないです。だから、なんでかうなの?つていふのもないです。
もとは「高校野球殺人事件」と言ひ、江戸川乱歩賞の最終候補に残つたものの受賞できなかつた「教習所殺人事件」(その後「自動車教習所殺人事件」)が刊行された年の暮れに出たものだと、折原一氏の解説にある。題名はどうだらうなあ。折原氏はセンスがないと言ふけど「高校野球殺人事件」つて、センス云々よりも中身がそのままだからねえ。矢鱈と殺人事件を付けるのは如何なものかと仰る向きもあるけれども、だつて殺人事件だろ?なんとかの殺意が三つ続くのはセンスはあるかも知れないが逆に芸がなくないかい?中町氏が触発されてこれを書いたと言ふディクスン・カーの「皇帝のかぎ煙草入れ」を読んでみたい。書き方に登場人物たちや読み手の錯覚を促すといふ方法はここでも使はれてゐる。でも、それほどケレン味はないです。だから、なんでかうなの?つていふのもないです。
2006-03-26
13.田沢湖殺人事件
中町信・徳間文庫(used)
16冊目の中町信だ。これは終盤に入つてからの逆転に「さう来たか、やつぱり」と唸り、該当すると思はれる部分をもう一度読み返し、一応納得はしたけれども、再読だね、一応ストック分の中町作品を読み終へたら。と言ふのは、主に秋葉ちか子に関することで、立ち会へない立会人に関して秋葉はなぜ一言も触れないのか、それと手紙をどこまで読んでたか、で湖畔での対面はかなり違つて来る筈だし、いきなり北海道に行くのも、ピンク電話の番号も作為が見えてしまふ。どつちにしても、こんだけ続けて読む気になるんだから、面白いんだよなあ。
16冊目の中町信だ。これは終盤に入つてからの逆転に「さう来たか、やつぱり」と唸り、該当すると思はれる部分をもう一度読み返し、一応納得はしたけれども、再読だね、一応ストック分の中町作品を読み終へたら。と言ふのは、主に秋葉ちか子に関することで、立ち会へない立会人に関して秋葉はなぜ一言も触れないのか、それと手紙をどこまで読んでたか、で湖畔での対面はかなり違つて来る筈だし、いきなり北海道に行くのも、ピンク電話の番号も作為が見えてしまふ。どつちにしても、こんだけ続けて読む気になるんだから、面白いんだよなあ。
2006-03-23
12.七つの棺
折原一・文春文庫
太田イオンの喜久屋で図書カードで購入。(たぶん解説の立ち読みや誰かの批評の読み違ひ?の)先入観で綾辻行人氏の傾向なのかと思ひ込んでゐたが、少なくともこれは違ふ。密室殺人の茶化しで、痘痕も靨的に、ここがダメでイヤなんだけど好き、といふ茶化し。折原氏の作品は初めて読んだ。ディクスン・カーの名前が頻繁に出て来るけれども、恐らく1冊も読んだことはない。F.W.クロフツだつて最近だから。ディクスン・カーとヴァン・ダインは1冊も読んでない筈だ(変な自慢をするな!)。氏は北村薫氏の高校の後輩なんだとさ。北村薫氏の「空飛ぶ馬」かな、あれは図書館で借りたけど読まないで返した。なんか入つて行けないんだね。惹かれないものがある、としか言ひやうがない。薫序でに言ふと高村薫氏の作品は1頁読めない。最初の1行から先に行けない。頭に入らない。全く違ふ言語みたいだ。読んだことない序でに言ふと、司馬遼太郎と山本周五郎は1冊も読んだことないし、今後も読まないだらう。須田さんには悪いけど、立原正秋もたぶんオレは読まないよ。話が逸れたが、七つは多いね。元は「五つの棺」ださうで、そのくらゐの分量のはうが後味がいいかも。満腹。軽い笑ひの面白さと本格物的な密室の両方が味はへる。
太田イオンの喜久屋で図書カードで購入。(たぶん解説の立ち読みや誰かの批評の読み違ひ?の)先入観で綾辻行人氏の傾向なのかと思ひ込んでゐたが、少なくともこれは違ふ。密室殺人の茶化しで、痘痕も靨的に、ここがダメでイヤなんだけど好き、といふ茶化し。折原氏の作品は初めて読んだ。ディクスン・カーの名前が頻繁に出て来るけれども、恐らく1冊も読んだことはない。F.W.クロフツだつて最近だから。ディクスン・カーとヴァン・ダインは1冊も読んでない筈だ(変な自慢をするな!)。氏は北村薫氏の高校の後輩なんだとさ。北村薫氏の「空飛ぶ馬」かな、あれは図書館で借りたけど読まないで返した。なんか入つて行けないんだね。惹かれないものがある、としか言ひやうがない。薫序でに言ふと高村薫氏の作品は1頁読めない。最初の1行から先に行けない。頭に入らない。全く違ふ言語みたいだ。読んだことない序でに言ふと、司馬遼太郎と山本周五郎は1冊も読んだことないし、今後も読まないだらう。須田さんには悪いけど、立原正秋もたぶんオレは読まないよ。話が逸れたが、七つは多いね。元は「五つの棺」ださうで、そのくらゐの分量のはうが後味がいいかも。満腹。軽い笑ひの面白さと本格物的な密室の両方が味はへる。
2006-03-19
11.湯煙りの密室
中町信・講談社文庫(used)
「下北の殺人者」「津和野の殺人者」に続くもの。シリーズなのか連作なのか知らないが、他の2作のどつちかの解説にそんな風に出てゐた。なかなか面白かつた。この前に読んだ「社内殺人」よりも気合がはいつた。そのせゐか、残念なところが幾つか見付かつてしまつた。フェアぢやないよ、と思ふ所もあつた。その1.英彦は牛島に高校2年からギターを習つてゐた、と。で、三浪にならうとしてゐるわけだから、丸四年の付き合ひがある。なら、顔見知りでせう。なのに、気付かないのはをかしい。英彦は「近眼」で「風呂に入る時に眼鏡を外す習慣があつた」とは、どこにも書かれてゐない。つまり露天風呂の湯煙の中でも人違ひはしないだらう。まして脱衣室で。これがすつきりしないぞ。その2.同様に、牛島の妹だつて知つてる筈。交際してた、と書いてあるのに、まるで知らない受験生みたいに姉に言ひ、あんな悪戯するか?その3.胸が見えて女だと思ふのはいい。でもバスタオルを巻いてたら見えないし、従業員なら注意するんぢやなの?その4.最後に英彦の置手紙は、確かに後で正直に話す、と言つてるから、曖昧なのは仕方ないけど、これはフェアーぢやないよ。……などと言ひつつ、結構面白く読んだし、性懲りも無くこれからも続けて読むんだからなあ。
「下北の殺人者」「津和野の殺人者」に続くもの。シリーズなのか連作なのか知らないが、他の2作のどつちかの解説にそんな風に出てゐた。なかなか面白かつた。この前に読んだ「社内殺人」よりも気合がはいつた。そのせゐか、残念なところが幾つか見付かつてしまつた。フェアぢやないよ、と思ふ所もあつた。その1.英彦は牛島に高校2年からギターを習つてゐた、と。で、三浪にならうとしてゐるわけだから、丸四年の付き合ひがある。なら、顔見知りでせう。なのに、気付かないのはをかしい。英彦は「近眼」で「風呂に入る時に眼鏡を外す習慣があつた」とは、どこにも書かれてゐない。つまり露天風呂の湯煙の中でも人違ひはしないだらう。まして脱衣室で。これがすつきりしないぞ。その2.同様に、牛島の妹だつて知つてる筈。交際してた、と書いてあるのに、まるで知らない受験生みたいに姉に言ひ、あんな悪戯するか?その3.胸が見えて女だと思ふのはいい。でもバスタオルを巻いてたら見えないし、従業員なら注意するんぢやなの?その4.最後に英彦の置手紙は、確かに後で正直に話す、と言つてるから、曖昧なのは仕方ないけど、これはフェアーぢやないよ。……などと言ひつつ、結構面白く読んだし、性懲りも無くこれからも続けて読むんだからなあ。
2006-03-18
2006-03-16
9. 不可解な使者
佐野洋・光文社文庫(used)
「約束」をテーマにした連作短篇集。雑誌連載時は「約束の果て」といふタイトルだつた、と解説にある。一つ読み終へる度に思はず唸つてしまふ。上手いなあ。約束絡みの事件や犯罪に読み手を導いて行く、その持つて行き方が上手い。それと最後の解決の仕方も、よく作られてゐるのに作為を感じない。爽快なミステリーだね。20代の頃、軽井沢で別荘の管理人をしてゐた頃に矢鱈とミステリーを読み漁つてゐて、かなり佐野洋と結城昌治を読んだけど、貴重な酒をチビチビ飲むみたいに読みました。蛇足だが、解説に「当を得ていてかつ洒落ている」と書かれてましたが、「的を射て」ではありませんか?
「約束」をテーマにした連作短篇集。雑誌連載時は「約束の果て」といふタイトルだつた、と解説にある。一つ読み終へる度に思はず唸つてしまふ。上手いなあ。約束絡みの事件や犯罪に読み手を導いて行く、その持つて行き方が上手い。それと最後の解決の仕方も、よく作られてゐるのに作為を感じない。爽快なミステリーだね。20代の頃、軽井沢で別荘の管理人をしてゐた頃に矢鱈とミステリーを読み漁つてゐて、かなり佐野洋と結城昌治を読んだけど、貴重な酒をチビチビ飲むみたいに読みました。蛇足だが、解説に「当を得ていてかつ洒落ている」と書かれてましたが、「的を射て」ではありませんか?
2006-03-15
8. 飛騨路殺人事件
中町信・TOKUMA NOVELS(used)
これは意外。仕掛けが読めなかつた。「とか」もずゐぶん減りました。中町氏の蓄へはまだまだあるので、がんがん読むぞ。BookOffだけで見付けてたけど(渋川のBookOffが穴場で状態のいいのが置いてある!)、太田の「ほんだらけ」で3冊見付けた。
これは意外。仕掛けが読めなかつた。「とか」もずゐぶん減りました。中町氏の蓄へはまだまだあるので、がんがん読むぞ。BookOffだけで見付けてたけど(渋川のBookOffが穴場で状態のいいのが置いてある!)、太田の「ほんだらけ」で3冊見付けた。
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