中野翠・文春文庫(used)
中野翠氏の本は図書館で借りて何冊か読んでゐる。メディアに対するコラム、メディアを通した事件についてのコラム以外はお気に入りの芸人(古今亭志ん朝、中村勘九郎、高田文夫、浅草キッドなど)についての話。これまではそれほどでもなかつたが今回は特に、事件をめぐるコラムを読んで、ちよつとした違和感があつた。理解しよう、解釈しよう、位置付けしよう、といふ意思がある。それは事件によつては「なぜか」を強く感じるものもあるが、事件に限らず、発言の影には「解釈しよう」といふスタンスが感じられ、それが或る時は鼻に付いた。具体的に一箇所。P298の終りのはうからP299にかけて、「ことTVとマンガにかんしては私の世代はちゃっかりしてると思う。TVとマンガが一番ういういしく、イキオイがあり、激動していた頃に育った。黄金時代にいたと思う」といふ件。これは小林信彦氏の本で読んで呆れた「ヌーヴェル・バーグ以降の映画しか知らない世代は気の毒だ」(正確に覚えてないが、かういふ意味の発言だつた)と同じだね。特権階級なんだね。志ん生、文楽、円生を知らない世代は可哀相、さう言つてるのと同じだし。誰でも幾らでも言へることで、たぶん世代の差だらう、と片付けてしまはう。氏は団塊の世代らしい。だからかなあ、……。
2006-08-05
39.ロンドンで会おう
いしかわじゅん・角川文庫(used)
これは漫画だ。漫画を軽視してるのではなく、漫画が文章になつてる凄さ。モデル視されてる作家のものは一つも読んだことがない。これは偶然。「東京で会おう」も是非読みたい。
これは漫画だ。漫画を軽視してるのではなく、漫画が文章になつてる凄さ。モデル視されてる作家のものは一つも読んだことがない。これは偶然。「東京で会おう」も是非読みたい。
38.昔話にはウラがある
ひろさちや・新潮文庫(used)
ひろさちや。太田のほんだらけの棚で見付け、聞いたことある名前だな、と思つた時は、まどみちおと勘違ひしてたかも知れない。兎に角、表紙がよかつた。山本タカトといふ人の絵で、浦島太郎だと思ふが(海中でカメの背に乗つてるんだから他に考へやうがないだらう!)、実に怪しく美しい。これだけで買つたやうなもの。だから中身は期待してなかつたが、期待しないでよかつた。昔話の自己流の解釈で、興味深い解釈もあるが、概ね妄想と呼んだはうがいい。「アリとキリギリス」は確かに岩波文庫の「イソップ寓話集」にはないけど、仰るやうに「蝉と蟻たち」だけでなく「蟻と甲虫」といふのも参考にして作られたと思ふのです、私は。蛇足ながら。──序でに、どうせ読むなら佐野洋子の「嘘ばつか」(講談社文庫)のはうが桁違ひに面白い。06.08.13
ひろさちや。太田のほんだらけの棚で見付け、聞いたことある名前だな、と思つた時は、まどみちおと勘違ひしてたかも知れない。兎に角、表紙がよかつた。山本タカトといふ人の絵で、浦島太郎だと思ふが(海中でカメの背に乗つてるんだから他に考へやうがないだらう!)、実に怪しく美しい。これだけで買つたやうなもの。だから中身は期待してなかつたが、期待しないでよかつた。昔話の自己流の解釈で、興味深い解釈もあるが、概ね妄想と呼んだはうがいい。「アリとキリギリス」は確かに岩波文庫の「イソップ寓話集」にはないけど、仰るやうに「蝉と蟻たち」だけでなく「蟻と甲虫」といふのも参考にして作られたと思ふのです、私は。蛇足ながら。──序でに、どうせ読むなら佐野洋子の「嘘ばつか」(講談社文庫)のはうが桁違ひに面白い。06.08.13
2006-07-30
37.散歩する死者
中町信・TOKUMA NOVELS(used)
改稿後の創元推理文庫から出た「天啓の殺意」を先に読んでゐるので、その感想なんかは月刊彦七新聞HP=http://www6.ocn.ne.jp/~hiko7/omako.htmlで見て下さい。比べるまで気付かなかつたが、エピローグは「天啓の殺意」のはうが親切だつた。こつちで沸いた幾つかの疑問への答へがある。どうしても混乱するのは、どこまでが実際のことか、つていふこと。疑問はそこから発生する。この疑問は疑問として正解なのか、といふ混乱さへあるくらゐだ。旅館の女は誰か、仲居の証言とか、朝江の遺体確認をしたのが旅館の主人?とか。これ以上はネタバレなしでは書けない。P75上段の「消印は三月十一日の午後十二時から……」は「九月十一日」ではありませんか。九月の話をしてんですから。誤植ですかね。雑誌名が「小説世界」(「散歩する死者」)から「推理世界」(「天啓の殺意」)になつてゐるのは恐らく、「小説世界」といふのは実在した雑誌名だからではないか。怪しい記憶で言ふと、島崎藤村だつたか、田山花袋だつたかが、さういふ名前の雑誌に発表してたやうに思ふ。題名の「散歩する死者」は理由がよく解らない。「天啓の殺意」のはうがいいかも知れない。
改稿後の創元推理文庫から出た「天啓の殺意」を先に読んでゐるので、その感想なんかは月刊彦七新聞HP=http://www6.ocn.ne.jp/~hiko7/omako.htmlで見て下さい。比べるまで気付かなかつたが、エピローグは「天啓の殺意」のはうが親切だつた。こつちで沸いた幾つかの疑問への答へがある。どうしても混乱するのは、どこまでが実際のことか、つていふこと。疑問はそこから発生する。この疑問は疑問として正解なのか、といふ混乱さへあるくらゐだ。旅館の女は誰か、仲居の証言とか、朝江の遺体確認をしたのが旅館の主人?とか。これ以上はネタバレなしでは書けない。P75上段の「消印は三月十一日の午後十二時から……」は「九月十一日」ではありませんか。九月の話をしてんですから。誤植ですかね。雑誌名が「小説世界」(「散歩する死者」)から「推理世界」(「天啓の殺意」)になつてゐるのは恐らく、「小説世界」といふのは実在した雑誌名だからではないか。怪しい記憶で言ふと、島崎藤村だつたか、田山花袋だつたかが、さういふ名前の雑誌に発表してたやうに思ふ。題名の「散歩する死者」は理由がよく解らない。「天啓の殺意」のはうがいいかも知れない。
2006-07-23
36.鬼平犯科帳(二)
池波正太郎・文春文庫(used)
池波氏のシリーズの中では、この鬼平シリーズが気に入つてる。最初はこの鬼平、テレビドラマが面白かつたのだ。吉右衛門、今は松本幸四郎かな、の長谷川平蔵はピッタリでした。その後で梅安を読んで、それから剣客商売。池波氏のものは、その時代、江戸時代といふものを感じる。馴染めない言ひまはしもあるけど、その時代に生きる人たちの声を聞く気がする。
池波氏のシリーズの中では、この鬼平シリーズが気に入つてる。最初はこの鬼平、テレビドラマが面白かつたのだ。吉右衛門、今は松本幸四郎かな、の長谷川平蔵はピッタリでした。その後で梅安を読んで、それから剣客商売。池波氏のものは、その時代、江戸時代といふものを感じる。馴染めない言ひまはしもあるけど、その時代に生きる人たちの声を聞く気がする。
35.新・世界の七不思議
鯨統一郎・創元推理文庫
「邪馬台国」の姉妹篇。こつちは古本屋にはなかつた。「ノアの方舟」辺りから飽きて来た。安楽椅子探偵ものとしても、単調だ。謎解きそのものは面白い。それは前作もさう。だけど、2匹目は鮮度が落ちて感じられるのか。アトランティスやストーンヘンジ、ピラミッド、ナスカの地上絵、モアイとは何か?といふ10代の頃にワクワクしながら友だちと語り合つた謎への答へが出て来るわけだ。しかも、意外な答へが。……でもこれは小説ぢやなくてもいいんぢやないかなあ。「邪馬台国」も読みながら、ちらとさう感じた。エッセイでもいいのでは?と。それにミステリーといふ形式でなくても。他にもいろいろたくさん書いてるみたいで、森博嗣氏のやうに。……まあ、当分、ここまでのお付き合ひ、かな。
「邪馬台国」の姉妹篇。こつちは古本屋にはなかつた。「ノアの方舟」辺りから飽きて来た。安楽椅子探偵ものとしても、単調だ。謎解きそのものは面白い。それは前作もさう。だけど、2匹目は鮮度が落ちて感じられるのか。アトランティスやストーンヘンジ、ピラミッド、ナスカの地上絵、モアイとは何か?といふ10代の頃にワクワクしながら友だちと語り合つた謎への答へが出て来るわけだ。しかも、意外な答へが。……でもこれは小説ぢやなくてもいいんぢやないかなあ。「邪馬台国」も読みながら、ちらとさう感じた。エッセイでもいいのでは?と。それにミステリーといふ形式でなくても。他にもいろいろたくさん書いてるみたいで、森博嗣氏のやうに。……まあ、当分、ここまでのお付き合ひ、かな。
2006-07-18
山陰路ツアー殺人事件(再読)
中町信・ゲイブンシャ文庫
この前の「阿寒湖殺人事件」を読みながら、似たやうな設定があつた気がして、特に旅行先での夫婦交換はあつた筈だと探したら、これだつた。どんな話だつたか忘れてたので読み返した。さうさう地震で旅館が崩れて、4階の部屋が3階に落ちてしまふのだ。誰がどの部屋にゐたのか、発見された部屋と実際にゐた部屋は同じか?といふ謎が二転三転し、そこに夫婦交換の謎、誰と誰か?が加はる。殺人の動機はなにか?殺されたり、陵辱されて自殺した、過去の事件の復讐。復讐が一番納得し易いといふことでせう。とは言へ、昔、祭りの日の雑踏の中で足を踏まれて(オレのこと)、例へばそれを根に持つて相手を捜し出して復讐する、なんて話があつたら、動機が弱い、なんて批評をされるだらう、恐らく……。再読を数に入れるか迷つたけれども、読み終へたものは数に入れることにした。だから読み終はつてない「フランドルへの道」は番号から外した。
この前の「阿寒湖殺人事件」を読みながら、似たやうな設定があつた気がして、特に旅行先での夫婦交換はあつた筈だと探したら、これだつた。どんな話だつたか忘れてたので読み返した。さうさう地震で旅館が崩れて、4階の部屋が3階に落ちてしまふのだ。誰がどの部屋にゐたのか、発見された部屋と実際にゐた部屋は同じか?といふ謎が二転三転し、そこに夫婦交換の謎、誰と誰か?が加はる。殺人の動機はなにか?殺されたり、陵辱されて自殺した、過去の事件の復讐。復讐が一番納得し易いといふことでせう。とは言へ、昔、祭りの日の雑踏の中で足を踏まれて(オレのこと)、例へばそれを根に持つて相手を捜し出して復讐する、なんて話があつたら、動機が弱い、なんて批評をされるだらう、恐らく……。再読を数に入れるか迷つたけれども、読み終へたものは数に入れることにした。だから読み終はつてない「フランドルへの道」は番号から外した。
2006-07-16
34.阿寒湖殺人事件
中町信・徳間文庫(used)
去年の暮れが今年の初めに渋川のBookOffで見付けて、100円(税込105円)だつたから迷つたけど、こないだ実家に寄つた時に行つてみたらまだあつたので買つた。初期の、と言ふか専業になる前の氏家シリーズ第2作。かう言つては失礼だ(もうずゐぶん失礼なことは言つて来た)が、「下北の殺人者」(平成元年=1989年12月刊)から専業になつてるんだけど、どつちかと言ふと専業になる前の作品のはうが好きだね。真犯人は人物紹介の辺りでちよつと予想されるんだけど、三箇月前の道南ツアーへの参加つてところで思ひ込みがあつたし、早苗情報を深読みし過ぎてゐたから最後のドンデン返しは読み応へがあつた。……でも、コロポックルの人形は北海道のどこでも手に入る、つてこと?道南でも道東でも?どうなん?やつぱ阿寒湖、アイヌつて構図でせう。違ふ?道南つてのは函館とか小樽とかだよねえ。道南土産のコロポックル?栄町奈緒は車で連れ出されてどういふ経緯?確かに旅行中といふ設定だから凡てに納得の行く説明をするのは無理があるけど、……兎に角思ひ込みは要注意だよ。
去年の暮れが今年の初めに渋川のBookOffで見付けて、100円(税込105円)だつたから迷つたけど、こないだ実家に寄つた時に行つてみたらまだあつたので買つた。初期の、と言ふか専業になる前の氏家シリーズ第2作。かう言つては失礼だ(もうずゐぶん失礼なことは言つて来た)が、「下北の殺人者」(平成元年=1989年12月刊)から専業になつてるんだけど、どつちかと言ふと専業になる前の作品のはうが好きだね。真犯人は人物紹介の辺りでちよつと予想されるんだけど、三箇月前の道南ツアーへの参加つてところで思ひ込みがあつたし、早苗情報を深読みし過ぎてゐたから最後のドンデン返しは読み応へがあつた。……でも、コロポックルの人形は北海道のどこでも手に入る、つてこと?道南でも道東でも?どうなん?やつぱ阿寒湖、アイヌつて構図でせう。違ふ?道南つてのは函館とか小樽とかだよねえ。道南土産のコロポックル?栄町奈緒は車で連れ出されてどういふ経緯?確かに旅行中といふ設定だから凡てに納得の行く説明をするのは無理があるけど、……兎に角思ひ込みは要注意だよ。
33.獄門島
横溝正史・角川文庫
都筑道夫氏が「黄色い部屋はいかに改装されたか?」の中で横溝氏の最高傑作と太鼓判を押してゐるから読んでみるかな、と思つた、といふ話は、ひよつとしたら「本陣殺人事件」のところで言つてるかも知れない。20代の頃、……さう、その頃横溝作品はたて続けに映画になつてゐたのだよ。それで原作も、と幾つか読んだのだらう。「犬神家の一族」「悪魔の手鞠唄」「八ツ墓村」(これは贔屓のショーケンがタツヤ役で、確か「ワル」を書いてた影丸譲也がマガジンだかに連載してたなあ、といふことも思ひ出したぞ!それと序でに知つたかぶりすると「ワル」の主人公の名前が氷室京介だつてことは、みんな知つてるのかなあ?)「悪魔が来たりて笛を吹く」と「恐るべき四月馬鹿」(表題作は横溝氏が19くらゐで書いた処女作ではなかつたか?)ともう一つの短篇集を読んでゐる、と、これも「本陣」の時に言つたかな。「本陣」の時は気付かなかつたけど、落語とか芝居のダイアローグを思はせる場面が多いんだよねえ。金田一耕助と床屋の清公との掛け合ひなんかは落語のやうだし、最高傑作かどうかは措くとして、面白く読んだ。
都筑道夫氏が「黄色い部屋はいかに改装されたか?」の中で横溝氏の最高傑作と太鼓判を押してゐるから読んでみるかな、と思つた、といふ話は、ひよつとしたら「本陣殺人事件」のところで言つてるかも知れない。20代の頃、……さう、その頃横溝作品はたて続けに映画になつてゐたのだよ。それで原作も、と幾つか読んだのだらう。「犬神家の一族」「悪魔の手鞠唄」「八ツ墓村」(これは贔屓のショーケンがタツヤ役で、確か「ワル」を書いてた影丸譲也がマガジンだかに連載してたなあ、といふことも思ひ出したぞ!それと序でに知つたかぶりすると「ワル」の主人公の名前が氷室京介だつてことは、みんな知つてるのかなあ?)「悪魔が来たりて笛を吹く」と「恐るべき四月馬鹿」(表題作は横溝氏が19くらゐで書いた処女作ではなかつたか?)ともう一つの短篇集を読んでゐる、と、これも「本陣」の時に言つたかな。「本陣」の時は気付かなかつたけど、落語とか芝居のダイアローグを思はせる場面が多いんだよねえ。金田一耕助と床屋の清公との掛け合ひなんかは落語のやうだし、最高傑作かどうかは措くとして、面白く読んだ。
2006-07-09
32.邪馬台国はどこですか?
鯨統一郎・創元推理文庫(used)
これは面白い。ミステリーとして読んだら物足りないけど、まあ、これも謎があつて解決があるわけだから。釈迦は悟りを開いたのか、邪馬台国はどこか、聖徳太子は誰か、明智光秀はなぜ謀叛したか、明治維新はなぜ起つたか、イエスの奇蹟は本当か、など学校で習つた物凄く詰まらない(ひたすら年号暗記の)歴史とはまるで違ふ。まともにもう一度日本史を勉強したくなつた。ひと先づ、姉妹篇「新・世界の七不思議」を古本で見付けなくちや。
これは面白い。ミステリーとして読んだら物足りないけど、まあ、これも謎があつて解決があるわけだから。釈迦は悟りを開いたのか、邪馬台国はどこか、聖徳太子は誰か、明智光秀はなぜ謀叛したか、明治維新はなぜ起つたか、イエスの奇蹟は本当か、など学校で習つた物凄く詰まらない(ひたすら年号暗記の)歴史とはまるで違ふ。まともにもう一度日本史を勉強したくなつた。ひと先づ、姉妹篇「新・世界の七不思議」を古本で見付けなくちや。
2006-07-03
31.新人文学賞殺人事件
中町信・徳間文庫(used)
氏の小説を読み始めるキッカケになつた「模倣の殺意」の改稿前のもの。題名の変遷を辿ると、「そして死が訪れる」で第17回江戸川乱歩賞に応募。翌年1972年に雑誌「推理」に3回に分けて掲載された時には「模倣の殺意」。それが「新人賞殺人事件」で翌年双葉社から出版され、14年後の1987年「新人文学賞殺人事件」で徳間文庫。これがそれで、オレが前に読んだのは2004年に「模倣の殺意」で創元推理文庫から出たもの。中田秋子と津久見伸助の2人の名前で交互に章が作られてゐるのは同じだが、「新人文学賞殺人事件」では章の始めに日付と曜日が書かれてゐるが創元版「模倣の殺意」には曜日はない。構成も、徳間版では〈プロローグ・第1部 事件・第2部 事件を追って・エピローグ〉といふあつさりしたものになつてゐるが、創元版は〈プロローグ・第1部 事件・第2部 追求・第3部 展開・第4部 真相(この扉に「あなたは、このあと待ち受ける意外な結末の予想がつきますか。ここで一度、本を閉じて、結末を予想してみてください」といふメッセージがある)・エピローグ〉。気付いたのは坂井のアパートが地上25m(徳間)から10m(創元)、「父の一周忌」が「父の法事」、坂井の原稿リライト料が創元では400字詰原稿用紙1枚50円と明記されてゐることくらゐかな。他にもあるかも知れないが、中田秋子が坂井の死を知り課長に出かけてくると言ひ、行つた先はやはり書かれてゐない。当然だよなあ。そのアパートについて一切書かないワケには行かないからなあ。トリックは知つてゐても充分面白く、一気に読めた。これと「天啓の殺意」(旧「散歩する死者」)がベストかもなあ。「散歩する死者」も探して読んでみるか。
氏の小説を読み始めるキッカケになつた「模倣の殺意」の改稿前のもの。題名の変遷を辿ると、「そして死が訪れる」で第17回江戸川乱歩賞に応募。翌年1972年に雑誌「推理」に3回に分けて掲載された時には「模倣の殺意」。それが「新人賞殺人事件」で翌年双葉社から出版され、14年後の1987年「新人文学賞殺人事件」で徳間文庫。これがそれで、オレが前に読んだのは2004年に「模倣の殺意」で創元推理文庫から出たもの。中田秋子と津久見伸助の2人の名前で交互に章が作られてゐるのは同じだが、「新人文学賞殺人事件」では章の始めに日付と曜日が書かれてゐるが創元版「模倣の殺意」には曜日はない。構成も、徳間版では〈プロローグ・第1部 事件・第2部 事件を追って・エピローグ〉といふあつさりしたものになつてゐるが、創元版は〈プロローグ・第1部 事件・第2部 追求・第3部 展開・第4部 真相(この扉に「あなたは、このあと待ち受ける意外な結末の予想がつきますか。ここで一度、本を閉じて、結末を予想してみてください」といふメッセージがある)・エピローグ〉。気付いたのは坂井のアパートが地上25m(徳間)から10m(創元)、「父の一周忌」が「父の法事」、坂井の原稿リライト料が創元では400字詰原稿用紙1枚50円と明記されてゐることくらゐかな。他にもあるかも知れないが、中田秋子が坂井の死を知り課長に出かけてくると言ひ、行つた先はやはり書かれてゐない。当然だよなあ。そのアパートについて一切書かないワケには行かないからなあ。トリックは知つてゐても充分面白く、一気に読めた。これと「天啓の殺意」(旧「散歩する死者」)がベストかもなあ。「散歩する死者」も探して読んでみるか。
2006-06-29
30.「心の旅路」連続殺人事件
中町信・徳間文庫(used)
もとは「殺された女」だつたと解説にも奥付にも出てゐるが、オレが調べた資料では「空白の近景」となつてゐた。題名はまア、どつちでもいいんだけど、「空白の近景」といふ題で第十八回の江戸川乱歩賞に応募し最終候補に残つてゐる。出版された際に「殺された女」になつたやうだ。Amazonで検索して手に入れたのだが、解説は中島河太郎氏で,氏は創元推理文庫で復刻された「高校野球殺人事件」の改稿決定版「空白の殺意」の解説(折原一氏)によれば、中町氏のデビュー作「新人賞殺人事件(創元推理文庫で復刻された時は「模倣の殺意」)の江戸川乱歩賞の選評で「フェアではない。あと味がよくない」と高木彬光氏と共に否定したと書かれてゐる。モラルとかないんでせうね、この人。この作品は第二作です。前作(「模倣の殺意」)と「散歩する死者」(「天啓の殺意」)が圧倒的なので、どつちかといふと控へめだが、面白く読んだ。この辺から既に旅行とミステリーが絡んで来るんだねえ。水上温泉と沼田署が出て来る辺りも。
もとは「殺された女」だつたと解説にも奥付にも出てゐるが、オレが調べた資料では「空白の近景」となつてゐた。題名はまア、どつちでもいいんだけど、「空白の近景」といふ題で第十八回の江戸川乱歩賞に応募し最終候補に残つてゐる。出版された際に「殺された女」になつたやうだ。Amazonで検索して手に入れたのだが、解説は中島河太郎氏で,氏は創元推理文庫で復刻された「高校野球殺人事件」の改稿決定版「空白の殺意」の解説(折原一氏)によれば、中町氏のデビュー作「新人賞殺人事件(創元推理文庫で復刻された時は「模倣の殺意」)の江戸川乱歩賞の選評で「フェアではない。あと味がよくない」と高木彬光氏と共に否定したと書かれてゐる。モラルとかないんでせうね、この人。この作品は第二作です。前作(「模倣の殺意」)と「散歩する死者」(「天啓の殺意」)が圧倒的なので、どつちかといふと控へめだが、面白く読んだ。この辺から既に旅行とミステリーが絡んで来るんだねえ。水上温泉と沼田署が出て来る辺りも。
2006-06-25
29.時には懺悔を
打海文三・角川文庫
どうしてこんなにスラスラと文章が頭に入つて行くのか。この前に「ハルピン・カフェ」といふ本を手に取つて見た。聞いたことがあるやうな、ないやうなタイトル。太田イオンの喜久屋だ。いま中古以外は殆んどここで買つてゐる。「ハルピン・カフェ」は厚い本だつた。パラパラと捲り、読みたい気分だつた。が、ここのところ活字を追ふ気力がどうにも続かないから、後で荷物になつても困る。戻す序でに隣にあつたこつちを捲つた。冒頭からスラスラと頭に入る。立ち読みしながらグイグイその世界に入り込んでしまひさうだつた。これは買ふしかない。……で、やつぱり読み始めたら一気だつた。この濃密なハートボイルド的世界はなんだ?この情緒的な、抒情的なハードボイルドな気分つて、どこか矛盾してないか?兎に角,なかなか緊迫感と爽快感があつてよかつた。続けてもう一度読み返した。面白い。こみ上げて来るものがある。題材が重過ぎるよ。ただ一つ(出たぞ)、米本が殺された動機。一言説明が欲しかつた。佐竹が自分に準へて、深く入り込まないけれども。例へ小説であつても、理由のない死は悲しい。救はれない。貴志祐介の「黒い家」の時にも書いたけど、あの保険外交員が無惨な殺され方をするのがイヤなんだよ。米本はなぜ殺されたのか?なぜ殺されなければならなかつたのか?尤もらしい理由が欲しい。それが唯一の不満。
どうしてこんなにスラスラと文章が頭に入つて行くのか。この前に「ハルピン・カフェ」といふ本を手に取つて見た。聞いたことがあるやうな、ないやうなタイトル。太田イオンの喜久屋だ。いま中古以外は殆んどここで買つてゐる。「ハルピン・カフェ」は厚い本だつた。パラパラと捲り、読みたい気分だつた。が、ここのところ活字を追ふ気力がどうにも続かないから、後で荷物になつても困る。戻す序でに隣にあつたこつちを捲つた。冒頭からスラスラと頭に入る。立ち読みしながらグイグイその世界に入り込んでしまひさうだつた。これは買ふしかない。……で、やつぱり読み始めたら一気だつた。この濃密なハートボイルド的世界はなんだ?この情緒的な、抒情的なハードボイルドな気分つて、どこか矛盾してないか?兎に角,なかなか緊迫感と爽快感があつてよかつた。続けてもう一度読み返した。面白い。こみ上げて来るものがある。題材が重過ぎるよ。ただ一つ(出たぞ)、米本が殺された動機。一言説明が欲しかつた。佐竹が自分に準へて、深く入り込まないけれども。例へ小説であつても、理由のない死は悲しい。救はれない。貴志祐介の「黒い家」の時にも書いたけど、あの保険外交員が無惨な殺され方をするのがイヤなんだよ。米本はなぜ殺されたのか?なぜ殺されなければならなかつたのか?尤もらしい理由が欲しい。それが唯一の不満。
2006-06-21
2006-05-28
27.チョコレートゲーム
岡嶋二人・講談社文庫(used)
一気に読んだ。次から次へと頁を捲つてしまふ。氏の作品は幾つか読んでる。「おかしな二人」も読んだ。井上夢人ひとりになつてからの作品も読んでる、確か。日本推理作家協会賞受賞作。1985年、いまから20年前の作品。こんなことはあり得ないよ、だつて相手は中学生だらう、とは言へない世の中になつてしまつたのだ、いつのまにか。テレビが登場してから、ファミコンが出てから、東京ディズニーランドが出来てから、……と諸説あるけれど、それも勿論あるでせう、でもオレはもともと儒教的な道徳観が日本人には合はないからぢやないか、つて思つてるんだけどねえ。付け焼き刃だつたんぢやないか、と。話が逸れてしまつたけど。
一気に読んだ。次から次へと頁を捲つてしまふ。氏の作品は幾つか読んでる。「おかしな二人」も読んだ。井上夢人ひとりになつてからの作品も読んでる、確か。日本推理作家協会賞受賞作。1985年、いまから20年前の作品。こんなことはあり得ないよ、だつて相手は中学生だらう、とは言へない世の中になつてしまつたのだ、いつのまにか。テレビが登場してから、ファミコンが出てから、東京ディズニーランドが出来てから、……と諸説あるけれど、それも勿論あるでせう、でもオレはもともと儒教的な道徳観が日本人には合はないからぢやないか、つて思つてるんだけどねえ。付け焼き刃だつたんぢやないか、と。話が逸れてしまつたけど。
2006-05-23
26.沈黙者
折原一・文春文庫(used)
BookOffで中町信を物色してた時に見付けたのだが、氏が書いた中町信の「空白の殺意」の解説を読んでたから買ふ気になつたので、えーと、あの、落語家が出て来るミステリー、思ひ出せないけど、あの作者とよく混同して避けてゐた。なんとか薫つて言ふんだけど、……さう、北村薫だ。この人はダメなんだねえ。なんとかの蝉(全然違ふかも知れない)とかいふのを図書館で借りて読まうとして一頁目から先に行けない。入れないんだね。拒絶反応。「マークスの山」(?)とおんなじ。兎に角驚きました、このトリック、と言ふか、作り方。正直な話がP325(全体でP383)の高山一家の登場まで「もしかしたら、かういふことか?」と思はなかつた。殺人事件のカラクリよりも「沈黙者」は誰かに気を取られてしまつた。かなり集中しないと面白さが存分に味はへないかも知れない。もう一度続けて読んでもいいかな、と思つたほどだが、難を言へば、……小姑みたいで気が引けるのは、文句の付けやうがないくらゐ丹念に書かれてゐるからだが、一言二言。「わが生涯最大の事件」の作者が67〜68才と推察されるのだが、年齢と言ひ回しに違和感がある。P284の「君は後悔の「航海」に旅立つ。駄洒落を言つても仕方ないんだけれどもね。」とか、P311「それでおしまい。ジ・エンド。」つていふ言ひ回しが相応しいかどうか。と、P379で「沈黙者」を「私」が調べてゐることを本人が知つたといふ風に書いてあるけど、確か「私」は声をかけてない筈なので、躊躇つた筈だから、どういふ経緯でそれが「沈黙者」に知れたのか、明確ではない。なんとなく、さうかも、では済まない重要なことだ。「沈黙者」が気付かなければ、接点がなければ起こらなかつた事件だから。20代後半から50近い年齢まで世間とは没交渉だつたわけだからねえ。最後に,息子の靴を履くのは尋常ではない、と感じました。
BookOffで中町信を物色してた時に見付けたのだが、氏が書いた中町信の「空白の殺意」の解説を読んでたから買ふ気になつたので、えーと、あの、落語家が出て来るミステリー、思ひ出せないけど、あの作者とよく混同して避けてゐた。なんとか薫つて言ふんだけど、……さう、北村薫だ。この人はダメなんだねえ。なんとかの蝉(全然違ふかも知れない)とかいふのを図書館で借りて読まうとして一頁目から先に行けない。入れないんだね。拒絶反応。「マークスの山」(?)とおんなじ。兎に角驚きました、このトリック、と言ふか、作り方。正直な話がP325(全体でP383)の高山一家の登場まで「もしかしたら、かういふことか?」と思はなかつた。殺人事件のカラクリよりも「沈黙者」は誰かに気を取られてしまつた。かなり集中しないと面白さが存分に味はへないかも知れない。もう一度続けて読んでもいいかな、と思つたほどだが、難を言へば、……小姑みたいで気が引けるのは、文句の付けやうがないくらゐ丹念に書かれてゐるからだが、一言二言。「わが生涯最大の事件」の作者が67〜68才と推察されるのだが、年齢と言ひ回しに違和感がある。P284の「君は後悔の「航海」に旅立つ。駄洒落を言つても仕方ないんだけれどもね。」とか、P311「それでおしまい。ジ・エンド。」つていふ言ひ回しが相応しいかどうか。と、P379で「沈黙者」を「私」が調べてゐることを本人が知つたといふ風に書いてあるけど、確か「私」は声をかけてない筈なので、躊躇つた筈だから、どういふ経緯でそれが「沈黙者」に知れたのか、明確ではない。なんとなく、さうかも、では済まない重要なことだ。「沈黙者」が気付かなければ、接点がなければ起こらなかつた事件だから。20代後半から50近い年齢まで世間とは没交渉だつたわけだからねえ。最後に,息子の靴を履くのは尋常ではない、と感じました。
2006-05-20
25.ステップフォードの妻たち
アイラ・レヴィン/平尾圭吾訳・早川文庫(used)
これは面白いねえ。解説に「読む人によってさまざまに解釈が分かれたユニークな作品」なんて書いてあるけど、そんなに幾通りもないだらうに。だつたらなんでP79でマージ・マコーミックの洗濯物を洗つてゐるといふキット・サンダーセンの説明「彼女、なにかのウィルスにやられて、今日は動くこともできない」なんて書いてあるの?更にP186でコーネル夫人が棚を掃除してて「背後でガラスが、ちゃりん、と音を立てた」となつてゐるのは、もし違ふ解釈が出来るとしたら、却つてかういふ書き方はズルいでせう。SFみたいだけど、ほかに解釈のしやうがない。それも実に自然に受け入れられるし、あり得ねえ、なんて言ふ気にならないくらゐ丁寧に書いてあるよ。その後で彼女はどうなつたのか、つていふ怖さはあるけど。作者のアイラ・レヴィンは「ローズマリーの赤ちやん」を書いた人で、映画もテレビとビデオで見たし、原作も読んだ。デビュー作の「死の接吻」も読んでる。内容は思ひ出せない。でも、もう一度読みたいと思つてるから、たぶん処分してない、どつちも。これはニコール・キッドマン主演で映画になつてるので、それも見たいんだけど、ニコール・キッドマンは、どつちかと言ふと嫌ひだから、顔が。と、ピーター・ストラウヴつて人の解説がよく意味が解らない。何が言ひたいたんだらう、小難しい言ひ回しは鬱陶しいよ。簡潔でスラスラ読めるのが名作の条件だ、みたいに言つてる本人の文章が、ちと難解なのはジョークですか?
これは面白いねえ。解説に「読む人によってさまざまに解釈が分かれたユニークな作品」なんて書いてあるけど、そんなに幾通りもないだらうに。だつたらなんでP79でマージ・マコーミックの洗濯物を洗つてゐるといふキット・サンダーセンの説明「彼女、なにかのウィルスにやられて、今日は動くこともできない」なんて書いてあるの?更にP186でコーネル夫人が棚を掃除してて「背後でガラスが、ちゃりん、と音を立てた」となつてゐるのは、もし違ふ解釈が出来るとしたら、却つてかういふ書き方はズルいでせう。SFみたいだけど、ほかに解釈のしやうがない。それも実に自然に受け入れられるし、あり得ねえ、なんて言ふ気にならないくらゐ丁寧に書いてあるよ。その後で彼女はどうなつたのか、つていふ怖さはあるけど。作者のアイラ・レヴィンは「ローズマリーの赤ちやん」を書いた人で、映画もテレビとビデオで見たし、原作も読んだ。デビュー作の「死の接吻」も読んでる。内容は思ひ出せない。でも、もう一度読みたいと思つてるから、たぶん処分してない、どつちも。これはニコール・キッドマン主演で映画になつてるので、それも見たいんだけど、ニコール・キッドマンは、どつちかと言ふと嫌ひだから、顔が。と、ピーター・ストラウヴつて人の解説がよく意味が解らない。何が言ひたいたんだらう、小難しい言ひ回しは鬱陶しいよ。簡潔でスラスラ読めるのが名作の条件だ、みたいに言つてる本人の文章が、ちと難解なのはジョークですか?
2006-05-19
24.殺人投影図
結城恭介・祥伝社NON NOVEL(used)
Book Off の棚で見付けて、読んでみるかな、と思つたわけはタイトルに「新探偵小説」と添へられてゐるからではなくて、氏の名前を知つてゐたからで、それはデビュー作で第一回小説新潮新人賞受賞作「美琴姫様騒動始末」を読んだことがあるからだ。当時は筒井康隆が絶賛で文庫の解説も書いてたやうに思ふ。それで読まうかと思つたわけだが、どこが「新」探偵小説なんだか、解りませんでした。先づ、あの、非常に中に入りづらかつた。頁が進まないんだね、言葉の問題で。面倒だから読まないでBook Off に出しちやはう、と何度か思つた。突然、池波正太郎みたいな言ひ回し(池波正太郎のそれがイヤだといふ意味ではないのです)が出て来るのは意図してやつてるのか、意図してるなら読み難くなるだけで、失敗してる。今から12年前に書かれたものだが、携帯電話も出て来るし、当時の風俗や言葉遣ひが扱はれてる中に、「困った愛想笑いを返すさやかである。」(説明するまでもないでせうが、さやかは名前です)なんて書き方が混つてるのは変だよ。馴染めないねえ、オレは。作者と出版社が狙ふ「新」は、少なくともオレには感じなかつた。ミステリーとしても、どうでせう。
Book Off の棚で見付けて、読んでみるかな、と思つたわけはタイトルに「新探偵小説」と添へられてゐるからではなくて、氏の名前を知つてゐたからで、それはデビュー作で第一回小説新潮新人賞受賞作「美琴姫様騒動始末」を読んだことがあるからだ。当時は筒井康隆が絶賛で文庫の解説も書いてたやうに思ふ。それで読まうかと思つたわけだが、どこが「新」探偵小説なんだか、解りませんでした。先づ、あの、非常に中に入りづらかつた。頁が進まないんだね、言葉の問題で。面倒だから読まないでBook Off に出しちやはう、と何度か思つた。突然、池波正太郎みたいな言ひ回し(池波正太郎のそれがイヤだといふ意味ではないのです)が出て来るのは意図してやつてるのか、意図してるなら読み難くなるだけで、失敗してる。今から12年前に書かれたものだが、携帯電話も出て来るし、当時の風俗や言葉遣ひが扱はれてる中に、「困った愛想笑いを返すさやかである。」(説明するまでもないでせうが、さやかは名前です)なんて書き方が混つてるのは変だよ。馴染めないねえ、オレは。作者と出版社が狙ふ「新」は、少なくともオレには感じなかつた。ミステリーとしても、どうでせう。
2006-05-10
23.Sの悲劇
中町信・青樹社ビッグブックス(used)
Amazonで購入。実にいい状態でした。Amazonでusedを買ふと送料が掛かる。340円かな。だから、本自体は「1円」なんてのもある。これも「1円」。中町信の唯一の短編集だ。氏が双葉推理賞を受賞した「急行しろやま」が入つてるのかなあ、と思つてたけど、違つた。でも、8つの短篇が入つてる。表題作は、まあまあ面白い。中町信の作品を読んだことがあるかないか、その辺で評価の分れるところだね。「著者あとがき」があるから余計な話はしないはうがいいかな。確かに「サンチョパンサは笑う」のトリックは「あれあれ?どこかで読んだぞ、これ」つて思つたし、「312号室の女」はそのまんまだね。最後の「動く密室」は確かに氏の言ふやうに、惜しい。「自動車教習所殺人事件」があるからね、似たやうなシチュエーションで。ただ、ほしかつたんだよね、唯一の短編集だつて、知つてから。すつかり肩入れしてコレクション(?)を始めてからは、外せない、と。本の状態がよかつたから、より一層満足。中身も、ね。氏に興味のない人には勧めません。先づ「模倣の殺意」ですね。もと「新人文学賞殺人事件」を読んで見て下さい。それを読んでどう思ふか。追記:余計なことなんだけど、誤植を見付けた。「裸の密室」の中のP79の下段2行目「佐美江が臆面もなく言ってのけた(略)」となつてゐるが、これは「美佐江」の筈。
Amazonで購入。実にいい状態でした。Amazonでusedを買ふと送料が掛かる。340円かな。だから、本自体は「1円」なんてのもある。これも「1円」。中町信の唯一の短編集だ。氏が双葉推理賞を受賞した「急行しろやま」が入つてるのかなあ、と思つてたけど、違つた。でも、8つの短篇が入つてる。表題作は、まあまあ面白い。中町信の作品を読んだことがあるかないか、その辺で評価の分れるところだね。「著者あとがき」があるから余計な話はしないはうがいいかな。確かに「サンチョパンサは笑う」のトリックは「あれあれ?どこかで読んだぞ、これ」つて思つたし、「312号室の女」はそのまんまだね。最後の「動く密室」は確かに氏の言ふやうに、惜しい。「自動車教習所殺人事件」があるからね、似たやうなシチュエーションで。ただ、ほしかつたんだよね、唯一の短編集だつて、知つてから。すつかり肩入れしてコレクション(?)を始めてからは、外せない、と。本の状態がよかつたから、より一層満足。中身も、ね。氏に興味のない人には勧めません。先づ「模倣の殺意」ですね。もと「新人文学賞殺人事件」を読んで見て下さい。それを読んでどう思ふか。追記:余計なことなんだけど、誤植を見付けた。「裸の密室」の中のP79の下段2行目「佐美江が臆面もなく言ってのけた(略)」となつてゐるが、これは「美佐江」の筈。
2006-05-03
22.裁判官が日本を滅ぼす
門田隆将・新潮文庫(used)
日頃から新聞記事の中に裁判結果が報じられているのを目にして時折、勿論法律の専門家ではないけれども社会人として長く生活してゐれば或る程度の判断が出来るやうな事件の判決に耳を疑ふ、と言ふか目を疑ふことがあつたが、これを読んで氷解した。先づ、民事事件について日本の裁判官は一般常識がない。銀行に騙されてローンを組まれた事件について、判決は被害者に鞭を打つ。集団リンチ殺人事件の犯人である少年が仮名で報じられたのを名誉毀損で訴へた裁判も最高裁まで争はれる始末。殺人を犯して名誉毀損とは、どういふ神経なのかと訝る。山形で起きた「マット死事件」の犯人たちの供述は子どもを持つ親には読むに耐へないものだ。この事件は最高裁で有罪が確定したが、元少年たちは再審請求をしてゐるといふ付記を読み、絶句する。交通事故から奇跡的に命は取り留め、脳挫傷で重体だつた少年が必死の努力でリハビリを続け、定時制高校から全日制に合格した矢先に殺された事件など、犯人たちをぶツ殺してやりたい、と思ふに違ひない。犯人の少年たちは少年法のもとに庇護され、無期懲役や死刑の判決を受けることはない。ここに登場する裁判官たちは人間としてをかしい、狂つてゐる。判決だけでなく、法廷内での言動など、正気の沙汰ではないよ。
日頃から新聞記事の中に裁判結果が報じられているのを目にして時折、勿論法律の専門家ではないけれども社会人として長く生活してゐれば或る程度の判断が出来るやうな事件の判決に耳を疑ふ、と言ふか目を疑ふことがあつたが、これを読んで氷解した。先づ、民事事件について日本の裁判官は一般常識がない。銀行に騙されてローンを組まれた事件について、判決は被害者に鞭を打つ。集団リンチ殺人事件の犯人である少年が仮名で報じられたのを名誉毀損で訴へた裁判も最高裁まで争はれる始末。殺人を犯して名誉毀損とは、どういふ神経なのかと訝る。山形で起きた「マット死事件」の犯人たちの供述は子どもを持つ親には読むに耐へないものだ。この事件は最高裁で有罪が確定したが、元少年たちは再審請求をしてゐるといふ付記を読み、絶句する。交通事故から奇跡的に命は取り留め、脳挫傷で重体だつた少年が必死の努力でリハビリを続け、定時制高校から全日制に合格した矢先に殺された事件など、犯人たちをぶツ殺してやりたい、と思ふに違ひない。犯人の少年たちは少年法のもとに庇護され、無期懲役や死刑の判決を受けることはない。ここに登場する裁判官たちは人間としてをかしい、狂つてゐる。判決だけでなく、法廷内での言動など、正気の沙汰ではないよ。
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