2012-07-11

三島の「禁色」を中断する話。4月下旬(たぶん23日頃)から読み始め、一応は三島の代表作といふことなので、読み続けてきたけれども、もう限界。twitterだか、blogだか、その両方だかにも書いたけど、ホントに読み難い。物語の内容も作者の頭の中で作り上げた都合のいい人物ばかりが都合のいい展開をしてゐる、動いているだけにしか思へない。興味が持てないし、ただ字を追ふだけなので中止にしたことを敢て書く。苦痛でしかない読書は久し振りだ。全524頁、33章でできてゐるが、392頁、第26章の途中までで遂に挫折。放棄。要は難しい漢字、熟語ばかりで意味が解らず降参した、といふことです。

2012-07-02

唐沢なをき「カスミ伝(全)」ビームコミックス文庫(457・used)唐沢なをきはまへに買つて読んだことがある。絵は好きだし、面白いんだけど、古臭く感じる。これもさう。いろいろ手を替へ品を替へギャグを繰り出して来る。ギャグは面白いんだけど、さうねえ、文学的とでも呼べばいいのだらうか。古くさい感じ。意図的なのかもしれないけど。

2012-06-30

稲光伸二「フランケンシュタイナー」BIG COMICS IKKI(456・used)タイトルが面白さうだつたのと一巻本だつたので買つた。絵はまあまあだが、内容はいま一つ。次期総理と目される政治家とその娘の確執といふ風な話。娘の狼藉振りがあまり頭のいい子に見えないのと、父親の顔が政治家といふより昔のヤクザ風なのが、ちよつと。

2012-06-13

田中正明「パール判事の日本無罪論」小学館文庫(455)東京裁判(極東国際軍事裁判)でただ一人、被告全員無罪の判決を出したインドのパール判事に関するもの。P223〜224にかけて、原爆投下やソ連の侵攻も日本の侵略戦争を終熄させるためのものであり、悪いのは日本の軍国主義である、と考へる日本人が多くゐることに対して筆者は嘆いてゐるが、オレの中学高校時代にはオレを含めて概ねまはりの誰もがさう考へてゐただらう。いまは違ふ。が、いまでもさう考へてゐる人たちは多いのかもしれない。実は日本は悪質な手段で戦争を仕掛けられ、恰も真珠湾を奇襲攻撃したかのやうに情報操作され、敗戦後も「真相箱」といふ洗脳まがひの報道や、この東京裁判により、多くの捩ぢ曲げられた歴史を信じ込まされてきたのだ。A級戦犯とはなにか。靖国参拝がなぜ悪いのか。そもそも東京裁判とはなんだつたのか。自分で手に入る資料や書物を読み、考へて答へなくてはならない、日本人として。恐らくいまでも、オレがこれまで知り得た戦争までの経緯や戦後の策略などは学校では教へてゐないだらう。東京裁判と真相箱は貴重な歴史の手掛かりだ。所詮日本人は黄色い猿だと思つてゐる白人は多いのだらう。日本人にしてからが、同じアジア諸国の人たち、例へばフィリピンやインドネシアの人たちよりも日本人のはうが上だと思つてゐるフシがある。情けないことに、オレにはまつたくないとは言ひきれない。

2012-06-12

高野文子「棒がいっぽん」マガジンハウス(454)。最初の「美しき町」は当然堀辰雄の「美しい村」の題名が念頭にあつたでせう。中身は勿論違ふ。最初の、ページを跨いだ4コマ、凄い、いいねえ、この人の漫画は素晴らしい、と感嘆した。小説では絶対こんなことは出来ない。映画なら可能だらうけど、見開きの本のやうに直ぐにコマ(映像ならシーン)を戻れないから、やはりこれは漫画にしか出来ないことなのだ。どの作品も見事で、読みをへるのがをしかつた。とりわけ「バスで四時に」の始めのはうでマキコちゃんがバスに乗り込みステップを上がる、まへのはうへ移動する、これが1ページに2コマで書かれてゐるのだが、この視点の角度と時間の流れ。インターネットで高野文子を検索したときに見つけたページで、なんといふ題名なのかを更に調べ、この作品集にあつたので早速これを買ふことに決めたのだ。この絵で決めたと言つてもいい。どうしても読みたい、手に取つて読みたいと思つたのだ。P68の右下の座席にすはらうとする絵の姿勢、次のやや見上げる感じて正面からマキコちゃんを書いてゐるが、その膝が綺麗だ。更にP71発車したバスの中の3コマ、最後のコマのアングルは予想もしなかつた。挙げたらキリがない。「奥村さんのお茄子」は一番長いが、これもまた吃驚(びつくり)。こんな風に過去の1シーンを切り取つて隅々まで辿れたらどんなに面白いだらう。冒頭、P138〜139への視点の寄り方にも唸つてしまつた。これが1994年の作品。この作品集の不思議なタイトルはこれを読めば納得する(納得はできないけど、根拠は示される、ポストの裏に書いてあるぢやないか!)内容もさうだが、オレは兎に角絵が凄いと思つた。他の作品もほしいが、まだ見落としてるところがあるやうな気がするので、暫くこれをときどき手に取つて眺めてゐたい。蛇足ながら、上田としこの絵に似てると思ふ。

2012-06-04

ジョルジュ・シムノン/三輪秀彦訳「猫」創元推理文庫(453)これはシムノンが64歳の頃に書かれたものだ。主人公の夫婦は夫エミール・ブワン73歳、妻マルグリット71歳。シムノンにとつてはSFである。主な人物はこの二人。そして猫と鸚鵡。老夫婦の陰惨な確執──と言つてしまつたら、この小説の値打ちを下げるだらう。これこそ談志の言ふ人間の業の肯定だ。お互ひに殺したいほど相手を憎みながら、代りに猫や鸚鵡を殺すのだが、本人が気づかないところで相手を必要とし(これほどの反発や無視は却つて真意の裏返しである)、そのままの自分を受け入れてほしいと思つてゐる再婚同士の老夫婦の日々だと読めた。心理をあれこれくどくど説明する文章は省かれてゐるので想像しながら補ふしかないが、読みながらオレはこの二人と一緒の世界にゐた気がする。つまり彼らの部屋の片隅で息をしながら彼らの動きを見てゐたやうに思ふ。ⅦのをはりからⅧにかけて解り難いところがあるので、もう一度そこんところを読み返さう。一体マルグリットは死んだのかい?シムノンは、いい。でも、すつと入れるときと、さうでないときが歴然とあるので読み始めるタイミングが難しい。

2012-06-02

古今亭志ん朝「世の中ついでに生きてたい」河出文庫(452)衝動買ひ。見つけた途端に欲しくなつた。で、一気に読んだ。志ん朝の対談集で、当然のことながら父志ん生にまつはる話(なんと兄馬生と一緒に志ん生一代を書いた結城昌治との対談もある)から落語に対する思ひが語られてゐて面白いんだけど、なぜか志ん朝の声は聞こえないんだなあ。生の、あの志ん朝の口調ではない。文字にはできないんだらうなあ。なつた積もりで読めば、なんとなく。談志をめぐる話も出て来る。本物見たし、一緒の写真も撮つて貰つたし。でもその写真が見つからないんだよなあ、悔しい。志ん生を知らない子どもたち、つていふシャレがあるけど、いまぢやあ志ん朝を知らない子どもたちなんだから、悲しい。志ん生一代、もう一回読むかなあ。
川端康成「雪国」新潮文庫(×2)むかーし読んだことがあるので、再読。殆ど覚えてない。駒子はかはいい人だなあ、といふ印象だけ残つてた。後は関水のことをhiko8さんに指摘されて、もう一回読むかなあ、と。三島の「禁色」でへとへとだつたし。ゆつくり読み返しても、よく意味がわからない小説。特に駒子と島村の男と女の関係が具体的に書かれてゐないからね。ここはさうなのかなあ、と推理するしかない。例へばP30の最後の3行目「突然激しく唇を突き出した」、の次の「しかしその後でも、寧ろ苦痛を訴える譫言のやうに」のあひだで、なにかあつたと推察できる。P31の中程、「私が悪いんぢやないわよ、(略)」などと口走りながら、よろこびにさからふために袖をかんでいた。──といふ辺りは、さういふ状態なんかなあ、と。具体的にさう言ふ場面が書かれてゐないので、話が飛んでる気がした。
ほかにも幾つか、さういふことがあつたんかなあ、と思へる場面はある。兎に角駒子がいいね。映画になつたのは、最初のは見てなくて、木村功が島村を演つて、駒子が岩下志麻だつた。駒子と言へば岩下志麻。これは覆せない。どんな人が演じても。読み返した理由の一つに、まあ、どうでもいいことだつたけど、あるとき石垣純二の常識のウソといふ本で、雪国の中に生理中に交はるところがある、と書いてあつたのを思ひ出した。で、そんな場面があつたなあ、と確かめようと思つたのも読み返した些細な理由。記憶になかつたからね。で、ゆつくり読んだつもりだけど、該当する場面はわかりませんでした。それにしても駒子はかはいい。

2012-05-30

水木しげる「猫楠」角川ソフィア文庫(451・used)。水木しげるは現在90歳。年なんてどうでもいいのだが、これはいまから20年まへ、70歳のときに書かれたものだ。因みに南方熊楠の没年は75歳(1941年)。いつもの緻密な風景が素晴らしい。漱石の「猫」のパターンを借り、熊楠を苦沙弥先生に見立ててゐる。兎に角逸話が多い人物なので、熊楠についてはもつと知りたいと思ふが、かかはつた事柄に付いて行ける自信がない。一気に読みをへた。

2012-04-20

マーク・エリオット/古賀林 幸訳「闇の王子ディズニー」上下・草思社(449.450・used)読了。2週間近くかかつた。どうも好きになれない人物ウォルト・ディズニーの伝記。どう理由をつけても、それは妬み、嫉みの類ひなのだらう。ただ一つ、強く印象に残つてゐるのは、どこかの小学校で卒業生が記念にプールの底にミッキーマウスの絵を書いて、それもまた呆れた話ではあるけれども、それを知つたディズニーの会社が著作権侵害だと訴へたとか、申し入れたとかといふ新聞記事で、この本を読むと、さうしたイザコザはディズニーには相応しいかも知れないと納得する。大勢のアニメーターのまへで、身振り手振りを交へ、一人で凡ての登場人物をこなして白雪姫の話を最初から最後まで演じてみせるといふ熱意といふか演技力には驚くし、ミッキーマウスを作つたのは友人だつたアブ・アイワークスだつたとしても、殆どアニメの作画には直接かかはらなかつたにしても、やはりディズニーは優れた才能の持ち主だつたのだ、と知る。FBIの連絡員で、赤狩りで仲間を売つたり、反共主義者でユダヤ人嫌ひで、労働組合潰しで、安い賃金でスタッフをこき使ひ、男女差別者で、手柄は全部独り占めで、アルコール依存症で、ヘビースモーカーだつたディズニーの姿は、読んでゐるあひだ反発も感じたけれども、それだけ生きた人間として描かれてゐる。

2012-03-30

田中和彦「あなたが年収1000万円稼げない理由。」幻冬舎新書(448・used)。最後に「。」が付く。幻冬舎は好かない。けど、これも含めて買つて読んでるのも幾つかある。目標を持ち、実現させる具体的な方法、意欲が大切だ、と。自信が持てるキャリアがないなあ、オレには。

2012-03-19

中町信「飛騨路殺人事件」(×2)。出版社も記入してたけど、再読は要らないね。中町信を読み返したくなつたのは、バリンジャーを読んだから。バリンジャーとの関連は折原一の解説による。なんの解説だつたらう。調べるのが面倒だ。兎に角、ぢやあ、それで中町信の何を読まう、と以前のこのブログ記事を拾ひ読みして、取り敢へず、これを選択。途中である程度思ひ出したけど、犯人は覚えてなかつた。登場人物たちの会話に真犯人探しが振りまはされるのは相変はらずの中町パターン。刑事の発言も素人探偵並みに推測ばかりなのも、いつものことだ。断定的な推理をするから次の殺人が起ると言つてもいい。真犯人のまへに犯人扱ひされる人物のはうが動機として無理がないのでは?このダイイングメッセージは見事だと思ふ。

2012-03-18

ビル・S・バリンジャー/大久保康雄訳「歯と爪」創元推理文庫(447・used)。終りのはうが袋とぢになつてゐて、ここでやめられたら料金をお返しします、と書いてある。これは中古本なのに、袋とぢがそのままで105円だつたから買つたのだが、やめられた人はゐたのである。或はまつたく読まなかつたか。書店で換金できなければ、わざわざ出版社に送る人は少ないだらう。文庫だし。法廷場面と犯人、被害者と思はれる人たちの行動などが交互に書かれ、最後に一つの話になつてゐる。まへに読んだ煙で描いた肖像画もおんなじ作りだつた。意外なトリックだつたけど、袋とぢのまへでもやめられたやうな気がする。解説も、植草甚一の「雨降りミステリ」でも傑作といふ評価だけどね。

2012-03-05

リチャード・ニーリイ/仁賀克雄訳「愛するものに死を」ハヤカワミステリ(446・used)これも何度か読み始めるも頓挫の繰り返し。他のと一緒に売らうとすら思つたが、これは値段が付かない、つまりタダといふ話だつたので売らないことにした、などの経緯がある。最後の挑戦のつもりで読む。50頁くらゐ読んで、どうにか興味が持てた。それからは一気に読んだ。意外な結末は、ホントに意外だつた。なんだか映画かドラマを見てるやうな、さういふ書き方に最初は戸惑つた。他のも読んでみたい気がする。

2012-02-25

都筑道夫「キリオン・スレイの生活と推理」角川文庫(445)ああ、面白かつた。やつと小説が読めた。かういふ面白いものなら読めるワケだ。むかし読んだことがあるやうな気がするのだが、……。と言ふのも都筑道夫には少しばかり気触れてた時期があるから。これは復刻版。もう一冊、つづきがあるがそれは復刻されてゐないらしい。安楽椅子探偵といふパターンは退職刑事のシリーズでも読める。この退職刑事シリーズもいいね。殆ど読んでる。

2012-02-14

夢枕獏「陰陽師 飛天ノ巻」文春文庫(444・used)まへのはうが断然面白い。内容が新鮮だつたせゐもあるだらう。

2012-02-10

望月峯太郎「ずっと先の話」講談社(443・used)。いまのところ唯一の短篇集だらうか。漫画つて面白いよなあ。なんでもOKだから。結末なんてどうてでもいいし、物語の整合性なんて二の次、いや度外視してるやうな気がする。江口寿史の本に似てる。

2012-02-06

望月峯太郎「ドラゴンヘッド」1〜10講談社ヤンマガKCスペシャル(433〜442・used)。←ここに「。」を付けたり付けなかつたりしてる。どつちでももいいけど。バタアシ金魚は読んだことはなく、座敷女と鮫肌女と桃尻娘しか読んでない。バイクメ〜〜ンは全部ぢやないけど読んだことがある。で、この人の絵は好きなので長いのを一つ読みたい、と思つてた。けれども、バタアシはなにせ古いから状態が悪く、これはamazonで全巻一括セットで出てたので手に入れた。面白いんだけど、かういふパニックものをなぜ書いたのだらう、といふことばかりが気になつた。二十世紀少年と連載時期が一緒なのか(あとで調べてみよう)。絵は好きなんだけど、残念ながら、もう一度通して読む気にはならないやうな気がする。

2012-01-29

睦月影郎「杜をぬけると」宝島社文庫(432・used)いはゆる官能小説。アポリネールの「若きドン・ジュアンの冒険」(題名が違ふ?)とか「ファニー・ヒル」(吉田健一訳)とか読んでるので、かういふ小説ははじめてではないが、日本のものでは初めてかな。祠を抜けたら400年まへの江戸初期で、といふSF的な展開の官能小説。面白かつたけど、性行為の描写のところ、コピー&ペーストで枚数稼げるんぢやないかと思はせる部分が幾つかありました。もつといろんな人が書いてゐるので読んでみたいと思つた。因みに、なんで睦月影郎かと言ふと、偶然wikipediaで知つたのだが、生年月日が同じなので機会があつたら読んでみたい、と。で、これも偶然BookOffで見つけたもので。

2012-01-27

佐藤雅彦「毎月新聞」中公文庫(431・used)。毎日新聞に掲載されてゐたときに何回か読んだことがあつて、なかなか面白かつた記憶があつた。文庫になつてゐたのは知らなくてBookOffで見つけたので買つた。表紙になつてる「じゃないですか禁止令」。じやないですか、といふをかしな言葉は東海林さだおがずゐぶんまへに取り上げてたと思ふ。因みに毎月新聞のこれは1988.10.21付で、自信はないが、東海林さだおのはうが先ぢやないかなあ。12号「文化の芋がゆ状態」、15号「楽しい制約」、16号「ネーミングの功罪」、28号「三角形の内角の和が180°であることの強引な証明」、34号「真夏の葬儀」などが面白かつた。だんご三兄弟の作者の一人で、いまもNHKの「ピタゴラスイッチ」にもかかはつてゐるさうだ。

2012-01-23

はやみねかおる「都会のトム&ソーヤ⑥ぼくの家へおいで」講談社YA!ENTERTAINMENT(430)手元にあるこのシリーズは、これが最後の1冊。竜王グループが新たに作つたセキュリティシステムとの対決といふ、予想もしなかつた展開。二階堂卓也のまへに現れた老人は一体誰なのか、実に興味深い。ほかにも真田女史、健一、矢吹、黒川部長などのキャラクターに纏はる話を読みたいと思ふ。いまの中学生が主人公といふ建前だが、意外に古い話題(この巻で言へば謎の円盤UFOなど)があるし、ところどころクスリとさせる会話がちりばめられてゐるので楽しめる。次はいよいよ創也と内人で作る究極のゲームが登場するらしい。

2012-01-22

はやみねかおる「都会のトム&ソーヤ⑤IN塀戸」上下/講談社YA!ENTERTAINMENT(429)伝説のゲーム・クリエーター栗井栄太が作つたRRPG、リアル・ロールプレイング・ゲームに参加する内人と創也。上下2冊は長いと思つたけど、あつといふまに読んでしまつた。このシリーズは大人でも結構面白く読める。

2012-01-19

松本大洋「青い春」小学館ビッグコミックス(428・used)。短篇集だ。ピンポンの作者だといふこと、鉄コン筋クリートといふ原作のアニメが欧米で作られたこと(まだ見てゐないが、ぜひ見たいと思つてゐる)、などの知識しか持たなかつたが、半分勉強のつもりで買つた。凄い絵だね。似てゐるな、と思ひ浮かぶ人がゐない。最近の人は殆ど知らないけど、結構いろんな漫画は見てきたけど、敢て言ふならガロとかコムと言つた70年代(間違つてるかも)の漫画雑誌に出てきさうな絵だ。内容もまた凄い。全部不良が主人公で、滅茶苦茶をやる。なのに、惹きつけられるね。

2012-01-17

はやみねかおる「都会のトム&ソーヤ④四重奏」講談社YA!ENTERTAINMENT(427)。内藤内人と竜王創也でなんでトム&ソーヤなのか。ソーヤは創也でいいけど、トムはどうして?の答へがOPENINGに出てくる。今回はマラソン大会、文化祭といふ設定なので、季節はほぼ秋と見てよい。やつぱり頭が古いせゐか季節が分つたはうが楽しめる。

2012-01-14

はやみねかおる「都会のトム&ソーヤ③いつになったら作戦終了?」講談社YA!ENTERTAINMENT(426)。今度は文化祭がメインになるので季節はほぼ秋だらう、と推察する。栗井栄太の正体が分つたと思つたら、今度は新たに謎の「頭脳集団」なるものが登場する。因みに主な登場人物は、主人公「ぼく」内藤内人と竜王創也の二人、ともに中学二年生。創也には二階堂卓也といふボディガード、「ぼく」の憧れ堀越美晴。

2012-01-09

はやみねかおる「都会のトム&ソーヤ②乱!RUN!ラン!」講談社YA!ENTERTAINMENT(425)。未だに本を読む気になれないのだが、このシリーズは読める。スラスラと頭に入る。①で登場した伝説のゲームクリエーター栗井栄太と愈々対決。小説と言ふより読み物だ、と①を読んで書いたのは、季節が特定できないこと、服装、食べ物などの描写が殆どないこと。この本の所有者である娘に季節が分らないと言ふと、そんなことは重要ぢやないよ、と言はれてしまつた、確かに。

2012-01-04

酒井雄哉「一日一生」朝日新書(×4)1年の始まりはやはり大阿闍梨のこの本から。P49「命が残されているっていうことは、今何歳であろうと、まだまだしなくちゃなんないことがあるのとちがうかな」、P81「何をやるにしても「何のために、何をもって」と考える」、常行三昧のあとでP174「習慣っていうのは(毎日立ったまま歩き続けてお経を唱えていると、修行を終えて横になったとき、天井が目の前に立ち塞がる壁に見えた)それくらい人の感覚を狂わせてしまう」「人間のものの見方や心のありようっていうのは、いろんなものでどうにでも左右されちゃうということ」「だから自分から見て、どんなに正しいと思えることでも、もしかしたらいろいろなことにとらわれてそう見えるのかもしれない。自分がどんな立場でそれを見ているのかということをいつもいつも確かめないといけない」。(引用ばかりで著作権に触れるかも)

2011-12-24

東川篤哉「謎解きはディナーのあとで2」小学館(424)娘の本を借りて読んだ。前作とほぼ同じ。すらすらと読める。書き下ろしの第6話のトリックは作りすぎだと思ふんだけど。

2011-12-20

四方田犬彦「「かわいい」論」ちくま新書(423・used)かはいい、は「可哀想」かはいさうの親戚、或は兄弟だと思ふ。オレはこの言葉を連発されるのが嫌ひだ。小さいもの、幼いものに向けられた「かはいい」以外は許せない。優位に立つたヤツが誰かや何かを見下してゐる現場に立ち会ひたくないからだ。かはいい、と一度も口に出したことがないテレビ・タレントがゐるだらうか。日本テレビの、曜日は忘れてしまつたが、なんとか動物園といふ番組でこれを連発する女のタレントがゐて、鬱陶しくて仕方がない。かうした動物が出て来る番組は基本的に嫌ひ(動物虐待ぢやないかとさへ思つてゐる)で、更にこの「かはいい」連呼に呆れ果てて、そのタレントも大嫌ひになつたし、番組も一切見なくなつた。

2011-12-16

貫井徳郎「迷宮遡行」新潮文庫(422・used)「慟哭」が面白かつたので、買つてみた。とつぜんの妻の失踪を追跡するうちに事件に巻き込まれて行く話。暴力団抗争と絡ませなくてもいいんぢやないのかなあ。妻の素性が二転三転して、結果は大胆だけど、動かせないストーリーの骨組みが先にあるからさうなつた、といふ気がする。P54をはりのはうで、電気のメーターボックスにある合鍵を偶然見つける件り。「腹立ち紛れに、メーターボックスを開けてみた。」止むを得ないかも知れないが、出来過ぎでせう。P98妻に似た人と妻と妻の妹と佐久間の妹が入り乱れて区別ができない。終盤(31の部分)の主人公の行動は判らなくもないが、強引な気もした。警察官の兄がゐて、一応は助けられてもゐるワケで、それでも取れる行動だらうか。「天使の屍」でも納得できないところがあつたし、しばらく貫井作品には手を出さないことにしよう。

2011-12-10

黒川博行「絵が殺した」徳間文庫(421・used)これも「暗闇」と一緒に買つた。こつちは刑事が探偵。クロマメコンビとは別の大阪府警。贋作事件を扱つたもので、事情に詳しいのは黒川博行が美大卒のせゐだらうか。警察もののはうが好きだなあ。クロマメコンビが特に。

2011-12-05

黒川博行「暗闇のセレナーデ」徳間文庫(420・used)久し振りに見つけた黒川博行。たぶん表紙は奥さんの絵でせう。美大へ通ふ二人の女子大生が探偵。美術界の裏世界。題名の意味がいま一つ。余計な疑問かもしれないが、アトリエの中に粘土槽がある。それを警察は掘り返したりしないのだらうか。ま、そこで殺人があつたわけぢやないから、と言はれたらそれまで。狭山事件では容疑者の自宅の肥溜めの中まで調べたといふので、ちよつと気になつた。P99の7行目、「刑事部長」は「刑事部屋」の誤植でせう。「刑事部長には田村と浜野がいた」はをかしいから。

2011-11-20

古谷実「シガテラ」1〜6講談社ヤンマガKC(414〜419・used)。「わにとかげぎす」「ヒミズ」と読んで来て、ぜひ読みたいと思つてゐた。それが全巻揃つて棚にあつたら当然買ふよね。デビュー作の「稲中卓球部」も1を読んだけど続きを読む気にはならなかつた。「ヒミズ」──最近映画になつた──のまへに「僕といっしょ」「グリーンヒル」などがあるが、これらもなかなか全巻揃つて並んでゐることはない。で、「シガテラ」。ごく普通の男が奇麗な女の子に好かれるといふ設定は、「わに」もさう。途中、犯罪が絡んで来るところも似てる。最後の南雲さんとの関係がどうしてさうなの?と思つたが、それもまた青春といふものさ、さういふ意味なのかな。因みにシガテラは食中毒の一種(wikipedia)。

2011-11-14

井上夢人「あわせ鏡に飛び込んで」講談社文庫(413・used)。岡嶋二人の作品は好きなので、何冊か読んでる。一人になつてからのものは、どうだつたらう。おなしな二人は図書館で借りて読んだやうな気がする。これには10の短篇があり、現実にはありさうもないが、あつてもをかしくなくて、あつたら怖い話。

2011-11-13

野崎昭弘「詭弁論理学」中公新書(×2)。5年前に再購入したもの。知人に貸して、それきりになつてゐた。一度読んでゐるので再読扱ひ。始めのはうに出て来る3つのパズル。13人を12の部屋に入れる問題、レコードの値引きとお釣りの問題はなんなく解けた。二人の天使にどつちが天国へ行く道か聞く問題はちよつと時間が掛かつたが、ほぼ正解できた。P118〜の年間降水量を土地の広さで計算し直し、人口で割ると日本はけして水が豊富な国ではないといふ結果が出るのは面白い。それとP135でアナトール・フランスの少年少女の話が取り上げられてゐるけれど、すつかり忘れてゐたので、もう一度読み返したくなつた。
業田良家「世直し源さん」1〜3(×2)。寝る前に読んでゐた。買つたときと同じで途中でやめられなくなり、何度か夜更かししてしまつた。記憶では2巻の終りで出て来る尻崎良人がもつと源さんと絡んで邪魔をするやうな気がしてゐたんだけど。兎に角面白かつた。

2011-10-30

池波正太郎「江戸の暗黒街」角川文庫(412・used)。短篇集。題名が時代小説らしくないのは、意図的なものか。なんとも、人生の皮肉さや意地悪さを知り抜いてゐると思はせる物語ばかり。皮肉な結末がたくさんあるけれども、突き放すのではなく、それもまた人生さ、と言つてる気がする。大人の小説、読み物。池波正太郎はもしかしたら、読み物としての小説を目指してたのかなあ。

2011-10-24

ジョナサン・キャロル/浅葉莢子訳「死者の書」創元推理文庫(411)。そもそも、なぜ原書のタイトル「笑いの郷」ではないのか。理由が判らない。それと比喩が煩くて読み難い。根本的な仕掛けのところが受け入れられない。短篇集は面白かつたし、これも面白いんだけど、たぶん、もうジョナサン・キャロルを読むことはないと思ふ。

2011-10-15

茂木健一郎「ひらめき脳」新潮新書(410・used)。始めに4枚の絵が出て来る。3枚目の白黒の絵が判らなくて、ネットで同じ絵を見たら判つた。幾つかメモしたことがある。気づかないことに気づく能力、非線形、セレディビティ(思はふ幸運に偶然出会う能力)、「幸運は準備のできたものに味方する」Chance visits the prepareded mind=パスツールの言葉。なかなか面白い本でした。

2011-09-25

西村京太郎「殺しの双曲線」講談社文庫(409・used)。実に面白かつた。一気に読んでしまつた。双子のトリックと予め書いてあり、小柴といふ双子の兄弟が出てきて、逆にそれで騙された。昔読んだ西村氏の作品、その後読んだものも含めて、一番面白かつた。忘れてるものもあるけど。

2011-09-23

夢枕獏「陰陽師」文春文庫(408・used)。映画にもなつた安倍晴明の話。東海林さだおみたいに文章が短いのと改行が早いので読みやすい。呪(しゅ、と読む)についての対話が面白い。名前も呪だと言う安倍晴明。正にさうだな、と思ふ。清明の家が草が生え放題の庭、といふので、吉田健一の金沢を思ひ出した。続篇があれば読みたいし、レンタルDVDで映画も見やうか。

2011-09-18

鮎川哲也「早春に死す」光文社文庫(407・used)。黒いトランクの別ヴァージョンを続けて読み返して以来、トリックの扱ひが矢鱈と気になる。ここにあるのは、どれもトリックが目立つて余り感心しなかつた。「急行出雲」なぜ容疑者を目撃者に合はせないのだらう。声が違ふんぢやないの? 「下りはつかり」セーターのトリックは無理があるのでは? 裏返したら、肩の編目とかが拡大すればわかつてしまふのではないか。ラグランショルダーですか? 4時間の空白が出来るけど、写真を撮つた奥さんが一緒だつた筈だから、どこで釣をしてゐたか、などを聞いたらアリバイが成立しないんぢやないの?

2011-09-07

滝沢解・作/池上遼一・画「モッブ」HMBホーム社文庫・集英社(406・used)。最後にどんでん返しがある。結末から振り返ると、全体がやや強引な気もする。大阪府警の、親ツさんと呼ばれる刑事は過剰なデフォルメでは?銀八の実家の洗濯機に書かれた血の文字は誰がいつ書いたのか。静はいつどうやつてガスマンこと木村光男の素性を知つたのか。また静はその後どうなつたのか。終盤はちよつと文学的で読み難かつた。しかし、それでも池上遼一の絵は素晴らしい。

2011-08-20

岡嶋二人「なんでも屋大蔵でございます」新潮文庫(405・used)。この語りで井伏鱒二の「駅前旅館」を思ひ出した。柊元旅館の番頭、生野次平が思はせぶりたつぷりに喋りまくる「駅前旅館」は面白い。これももちろん面白かつたが、森繁とフランキー堺の映画のはうを先に見て原作が井伏だと知り買つて読んだのだ、たぶん。映画のはうはもう内容をよく覚えてゐないけれども、原作はいつでも読み返せるやうに手の届くところにある。──さう、岡嶋二人の小説の話だつた。第一話「浮気の合間に殺人を」は偶然雑誌掲載時に見たことがある。読んではゐない。ほかの目的で買つたのだらう。そこに載つてた記憶がある。全5編。なかなか。

2011-07-31

野澤重雄「ハイポニカの不思議」PHP文庫(404・used)。これは絶版で中古で手に入れた。読んでゐて意味がわからないところがずゐぶんあつたけれども、それは学のなさ、不勉強の致すところで止むを得ない。一株で通常20〜30個の実を実らすトマトが、13,000個の実を実らすといふ驚き。しかも多年草になるといふ。L・ワトソンのサボテンの話を思ひ出すし、百匹目の猿の話も。生命は現在の科学ではまだ説明できない。そこにデカルト以降の科学の限界がある。
はやみねかおる「都会のトム&ソーヤ①」講談社YA!ENTERTAINMENT(403)。これは二三年前、娘の誕生日プレゼントで買つたものを借りて読んだ。このシリーズが何冊か集まつて来たのでオレも読んでみようと思つたのだ。新しく(BookOffで探してまで)何か読むのが幾らか億劫になつた。先が長くないもので、未読の本が貯まるのは勿体ない、と。──で、文章は今風で、描写でもなく、心理でもない、ただの説明なんだけど、さういふことを言つたら読めない。小説と呼ぶより読み物だなあ。筋はまあ、こんなもんでせう。
手塚治虫「ショート・アラベスク」講談社(402・used)。手塚治虫漫画全集の239巻。15篇の短いものが収録されてゐる。立ち読みして面白さうだつたので。他にも物色したけど、これだけ買つた。平均点はクリアしてるんでせうね。

2011-07-22

都筑道夫「目撃者は月」光文社文庫(401・used)を読む。何度か途中で読むのをやめた。面白いんだけど、話がわからない、意図がよくわからないのがあつたりして、最後まで読めない、と諦めたこともあつたけれども、どうにか読み終へた。よく作られた、達者な職人芸です。

2011-07-20

東川篤哉「謎解きはディナーのあとで」小学館(400)を読んだ。どういふ経緯か覚えてないが、娘に読んでみるかい?といふつもりで買つたのだ。読み終はつた、といふので読んだ。なにかの賞を取つてたのと、執事とお嬢様を主役にした謎解きといふことで、ちよつと興味があつた。普通なら買つて読むことはないでせう。
安楽椅子探偵もの。アームチェアディテクティブズと言ふのとどつちが言ひ易いだろ。なかなか面白い。執事影山がお嬢様刑事の宝生麗子に大して発言する大胆なコメントが売り。曰く「お嬢様の目は節穴でございますか」。この二人の日常がもつと書かれてゐると更に良い。影山の推理は見事でも、事件はそれほど複雑ではない。

2011-07-16

都筑道夫の「夜のオルフェウス」を読み返した。とつぜん、どうしても読みたくなつたのだ。これはhiko8さんから教はつた傑作短篇で、オレも読んでゐたのに、その面白さを読み落としてゐたものだ。
これはいいねえ。もしも、オレに映画を撮るチャンスがあつたら、ぜひ映像にしてみたいと思ふものの一つだ。
それからもう一つ、映像にしてみたいもの、──結城昌治の「あるフィルムの背景」。これは文句なしの傑作で、これをモノクロで撮りたいと思つてゐる。今回結城昌治の同名タイトルの短篇集を読み返して「私に触らないで」も面白かつた。これは落語好きな(特に志ん生好きな)氏らしい一種の「湯屋番」風の独り言が読める。

2011-07-11

鮎川哲也「黒いトランク」創元推理文庫。決定版と呼ばれるもの。書き加へたり削つたりしてきたけれども、これを完成品とします、といふことなのでせう。以前、hiko8さんから指摘があつた空のトランクの重量が19.8kgと19.1kgになつてゐることについて。角川版でも、この決定版でもさうなつてゐる。トランクの購入者を調査した際にトランクの製造元が重量に差があつても0.1から0.2kgだと丹那刑事が鬼貫に伝へるところがある(角川版P169、光文社初刊版P200、創元社決定版p194)。そして凡ての版でトランクの動きを表にしたところには、最初のトランクが19.8kg、次に空になつたトランクが19.1kgになつてゐる。これには一切の説明がない。光文社の初刊版では芦辺拓が丁寧な解説を付しているが、そのことには触れてゐないし、創元社の決定版でも有栖川有栖、北村薫、戸川安宣の細かい部分を比較した対談でも触れてみゐない。困りましたねえ。まあ、これは再び時間を見てゆつくり読んで確かめるしかないでせう。説明してあるのに見落とし、読み落としてるのかも知れないので。
2冊続けて読んでみて、最初の印象よりも「凄さ」が感じられなかつた。こんな面倒なトランクの移動なんかしなくても、いいんぢやないの?と。これは先にトリックがあるんだよ、作者もさう書いてるけど。人物や話そのものの面白さをトリックが幾分削いでしまつてゐるやうな気がする。
さて、オレが最初に読んだ「黒いトランク」は角川版で、今回初刊版と読み比べると、ずゐぶん削られてゐるのがわかつた。既に書いた汐留駅の蘊蓄、梅田警部補の風貌がまるで違ふだけでなく、梅田が北原白秋に傾倒してゐる部分などが削除されてゐるから、由美子が鬼貫に「詩人警官」だ、なんて言つてもチンプンカンプンだ。この決定版は概ね初刊版に近づいてゐるから、その辺りはどつちを読んでも同じ。ただ、スリの話がすつかり削られた理由が小林信彦のエッセーだといふので、その理由が知りたくなつた。

2011-07-09

鮎川哲也「黒いトランク」光文社文庫。「黒いトランク」の初刊版。作品としては同じものなので再読扱ひ。ゆつくり時間が取れるやうになつたら読み比べてみよう、と漠然と思つてゐたが、それツて一体いつ来るのか、そのまへに死んでしまふぞ、で読み始め、角川文庫版の記憶は曖昧なのに、なんとなく違ふ印象。鬼貫が登場する「古き愛の唄」に入るまへに一旦読むのを中止して、角川版を読んでみたら、ずゐぶん違ふ。ただ、汐留駅についての記述は角川版でも読んだ気がするのだが。手元にある角川版には、ない。これは再購入したものだから仮に角川版に複数の版があれば、さういふこともある。内容については、創元の決定版を読んでからにしよう。

2011-06-27

坂口安吾「信長」宝島社文庫(399)。一気に読んだ。読み始めるまでは、なんか気乗りしなくて、何度も棚から出してはペラペラめくるけど、読まうといふ気になれない、さういふ日が続いた。なんで信長か、と言ふと、娘が織田信長が好きだ、と言つた、その一言で、信長調べてみるか、とamazonで関係の本を物色するも、意外に少ないんだね。数は多い。どつちなんだと言はれるかも知れないが、歴史上の人物として書いてるものは多いけど、読み物的な、小説などは意外に少ない。なんで、さういふ探し方をしたか、と言ふと娘にも読ませたいと思つたからで、結局面白さうなのは坂口安吾かなあ、に落ち着いたといふワケだ。ほかには司馬遼太郎もなんとかいふ題の小説で斎藤道三と織田信長を書いてるけど、なるべく司馬遼太郎は読みたくないんで(まだ一冊も読んだことない!それが自慢、何に対する自慢かは本人にも不明、山本周五郎も一冊も読んだことないぞ!)。あと辻邦生の「安土往還記」つてのもあつたけど、中学生向きではないな、と思つたのでした。
で、この「信長」は桶狭間までしか扱つてないのが物足りないけれども、実に嬉しい人物として書かれてゐる。斎藤道三もいしし、濃姫もいいねえ。「マムシ敗れたり」のP231の終りから6行目からの5行は感動的。細かい城の位置だの地名だの人名、年号などは覚えてないが、面白い。安吾つて48歳で死んだんだつてねえ。知らなかつた。信長も。

2011-06-16

西村京太郎「青い国から来た殺人者」光文社文庫(398・used)。どうなんだらう、この本が出た当時、フェアーぢやない、といふ意見はなかつたのか。文庫で240頁。犯人らしい人物に繋がる手がかりが判るのが150頁を過ぎたところだ。それと犯人を特定してから、逮捕までが都合良すぎないか。

2011-06-12

東海林さだお「もっとコロッケな日本語を」文春文庫(397・used)。安心して読める、いつもの東海林さだお。くどい気がしてちよつと遠ざかつてゐた。相変はらずイラストが見事だ。

2011-06-02

立川談四楼「声に出して笑える日本語」光文社知恵の森文庫(396・used)。柳亭こみちの小咄に「ねえねえ、お嬢ちやん、お父さん、ゐる?」「いらない」といふのがあつて、始めて聞いたときに大爆笑したものだつたが、この本にも落語の枕で使へさうな話が出てくる。先立つ不孝は、先立つ不幸と書いたことがあるかも知れない。名誉挽回は間違へたことはなくても、汚名返上を汚名挽回と言つたことはあるなあ。笑へただけでなく、為にもなりました。

2011-05-10

佐野洋「動詞の考察」講談社文庫(395・used)。佐野洋の短篇集は外れがない。動詞を使つたタイトルで10篇。謎があつて、それが解決する。いかにもありさうな謎があり、その解決の仕方が意外である、さういふ短篇ばかり。

2011-05-05

三友恒平「必要とされなかった話」IKKICOMIX小学館(394・used)始めて見る絵で、しかも1巻ものだつたので買つてみた。童話といふか、絵本のやうな絵で、鉛筆画ぢやないかと思つた。或る村で村人が預けてゐる食料倉庫が焼け、食べるものが乏しくなり、村長の判断で6人の人間が村から追放になる。その村で誰からも必要だと指名されなかつた人たちだ。たつた1人の肉親である姉が婚約者を選んだため、誰からも必要とされなかつた、その中の1人の少年・織春(オリハルと読む)が主人公。なにが言ひたいのか、よく判らなかつた。始めのはうで、村長と織春とが会話する中に、織春は流行病によく効く薬を一つだけ持つゐるといふ話が出て来るが、その後、その話には触れられない。倉守の家の火事については、もつと徹底的に出火原因を調べるのではないか。兎に角不思議な絵で、ほかにどんなものを書いてゐるのか、ちよつと知りたくなつた。

2011-04-27

伊達友美「夜中にラーメンを食べても太らない技術」扶桑社新書(393・used)ここひと月あまり、一冊の本を読み通す気力がない。見繕つては拾ひ読みをしてゐたが、たまたま渋川のBookOffで見つけて一気に読んでしまつた。ミルク入のコーヒーはよくない、食品添加物が体に悪い、酸化した油は大敵、牛乳や乳製品は日本人の内蔵には向かない、1日3食に固執しない、など、とても参考になりました。

2011-04-09

岡潔「春宵十話」光文社文庫(392・used)を読了。靴は長靴しか履かない、などの伝説は聞いたことがあつた。道徳にかかはる随筆集。自伝的なところもある。仏教を信仰してゐたやうだが、具体的な宗派は不明。数学は情緒であり、種を蒔いて育てる百姓(農民)に似てゐて、物理は数学とはまつたく違ふ世界であり、指物師だといふのは面白い(P53)。

2011-03-09

鯨統一郎「タイムスリップ森鷗外」講談社文庫(391・used)。「タイムスリップ明治維新」には呆れたなどと書いておきながら、状態のいい本書をBookOffで見つけたので買つてしまつた。こつちのはうが面白い。現実との整合性なんてものは、はなから念頭にはないらしい。これを読むとホントに鷗外つて幾つまで生きてたんだらう、と調べたくなる(60歳で没)。なんてたつて鷗外は19歳で今の東大医学部卒業だから、相当優秀なエリート。現代へやつて来て、携帯、ワープロ、果てはパソコンでホームページ作成なんてことも充分こなせる気がする。一応ミステリなので犯人が登場するが、推理は面白くても真犯人が誰だらうと構はない。作者が楽しんで書いてるのは充分判ります。

2011-02-27

鯨統一郎「タイムスリップ明治維新」講談社文庫(390・used)。呆れて口がきけない。半分も読まないうちに興味が失せた。これを小説と呼ぶのでせうか。読み物だらうね。人間がどう、といふ話ではない。答へが出てゐるものをなぞつてゐるだけ。それに付き合はされるだけ。うららは簡単に維新関係者と寝ちまふし、女と寝たくらゐで肝心なことをベラベラ漏らしてしまふはうも情けない話で、そんなことで明治維新といふ革命が実現したのなら、逆に江戸時代つて何だつたの?だよ。軽くねえ?誰が喋つてるかも不明な書き方は相変はらずだし、下級武士が上級武士との身分差の不満が明治維新にかかはつてるかのやうな記述があるけど、山本博文「学校では習わない江戸時代」によれば、恰も無礼打ちが横行してもゐたかのやうな印象がある江戸時代だけど、綱吉以降は建前になつてゐたやうなので、幕末の侍には当て嵌まらないのではないか。

2011-02-23

由良三郎「白紙の殺人予告状」双葉文庫(389・used)。エッセイ「ミステリーを科学すれば」が面白かつたので、いつか実際のミステリを読みたいと思つてゐた。解説にもあつたけど、推理小説と呼ぶよりも探偵小説でせう。白紙の手紙を見て、他人の手紙だつたらなほさら、水につけたり炙つたりしないでせう。ここが納得できない。盗み読みでは治まらない犯罪性がある。

2011-02-20

後藤明生「笑い地獄」集英社文庫(388・used)。これは初期の短篇集かな。なんでこんなに奇妙な文章が書けるんだらう。こんなに不思議な小説を書く人はゐないね。1999年8月2日没だから没後12年も経過してるのに、どうして後藤明生の全集が出ないのだらう。P257ちやうど真ん真ん中辺り「東京のど真ん中」。東京の人たちの話ですから、どうでなんせうねえ。意図的なんでせうか。

2011-02-19

佐藤秀峰「ブラックジャックによろしく」モーニングKC講談社全13巻(375〜387・used)。確か11巻までのセットで先づ買つた。最後の13巻がなかなか手に入らなくて結局amazon で購入。小児病棟から癌治療にかけてのところで涙腺が切れた。第8巻では涙が止まらなかつた。出版社と拗れたさうで、この続きは小学館から「新ブラックジャックによろしく」になる。続きを読むより再読かなあ。研修医の給料には愕然とするね。医は算術の現代。

2011-02-13

山本博文「学校では習わない江戸時代」新潮文庫(374・used)。これは黒本と一緒に買つた。江戸時代を中心にした読み物としては面白い。加賀百万石の参勤交代費用はざつと四億円だつた、とか。鎖国といふ法令は発せられてゐない、とか。

2011-02-12

福澤徹三「黒本 平成怪談実録」新潮文庫(373・used)。初めて聞く名前。ほんとに黒い本で、怖い話を集めて纏めたもの。文庫書き下ろしださうだ。恐いもの見たさで一気に読んでしまつた。長いものもあるし、同じ人が続けて出て来るものもある。怖いかどうかは人によるかもしれないが、不思議な話ではある。信じられない人もゐるでせう。オレは信じるけど。

2011-02-03

ジェイムズ・エルロイ/吉野美恵子訳「ブラック・ダリア」文春文庫(372・used)。去年の8月「ねずみの騎士デスペローの物語」を読んで以来の翻訳物!自分でもびつくりした。因みに解説には表紙の女性がブラック・ダリア、つまりエリザベス・ショートだと書いてあるが、オレが持つてるのはブライアン・デ・パルマの映画でベティ役をやつてた子(ミア・カーシュナーでした、wiki調べ)の写真。小説より先にこの映画をレンタルDVDで見てゐる。読みをへてからもう一度見て呆れた。すつかり内容なんて忘れてたんだねえ。ケイ・レイクがスカーレット・ヨハンソン!全然ちげーよ、イメージと。もつと引き締まつた印象の人ぢやないとダメ。更にマデリンがヒラリー・スワンク!ぢけーよ、全然。金持ちの娘で、実の父親はハンサムだつていふ設定だぜ。どうしたのデ・パルマ、つて配役。しかも、マデリンとベティ・ショートはそつくりだつた、と原作はなつてるし、映画の中でも似てるといふ設定だけどさあ、ヒラリー・スワンクとミア・カーシュナーはまつたくの別人でせう、どう見ても。似てると思ふ人ゐるのかなあ。余談だが、主人公は本ではバッキー・ブライチャートとなつてるけど、映画ではブライカートと呼んでたよ。映画の話はここまで。原作と映画が違ふのはあたりまへだけど、小説ではメキシコまで脚を伸ばして展開するところなどが省かれてゐた。そりやさうだ、570頁もある厚い本だから。かういふのをノワールだかノアールだかと呼ぶらしいが、犯罪小説と警察小説を足した感じ。犯人探しや意外な人物の事件への関与など、ミステリとしての面白さもある。1947年に実際に起つた未解決の事件を題材に真犯人を指摘するといふ離れ業をやつてる。関係者から苦情や訴へはなかつたのかね。地名やらなにやら少々頭に入らないところもあつたが、充分面白かつた。エルロイの母親は彼が10歳のときに誰かに殺され、17歳のときには父親が死んでしまふといふ境遇だつたさうだ。「LAコンフィデンシャル」つてのも書いてて、これもまた映画になつてゐて、それも見たことがある。贔屓のケビン・スペイシーが出てるけど、嫌ひなラッセル・クロウも出てる。これも面白かつた、VHSのレンタルだつたけど。原作は上下2冊。うーん、ちよと満腹だなあ。最後にホントに蛇足なんだけど、p198真ん中辺りの下のはう「どまんなか」、p339の1行目「どまんなか」。そこだけ関西弁はやめてほしいなあ。黒川博行ぢやないんだから。

2011-01-22

で、藤原伊織「テロリストのパラソル」講談社文庫(371・used)。史上初の江戸川乱歩賞、直木賞のダブル受賞と裏に書いてあるし、解説でも絶賛してゐるけれども、読みをはつたばかりの「雪が降る」がamazonのプレビューに倣つて★★★★だとしたら、これは★★★。主人公の設定は都合良すぎるけれども、まあハードボイルドの主人公はみんなこんなものだ。細かいところで気になることが幾つかあるが、ネタバレになるかも。主人公の島村が20年以上も逃げ続けるキッカケになる車での爆弾事件は事故で処理されるのではないか。この事件で死んだ警官の妻の弟が8歳(p125)といふのは作り過ぎではないか。終はりのはうで金田一さんみたいに読み手に知らせない場面が出て来る。p252でホームレスの元医師らしい老人に何を聞いたのか書いてないし、p292でも江口組の上部組織の構造を週刊誌の記者に聞いてゐるが、答へた内容が書いてない、など。p296飲み屋での喧嘩のくだりは、なくても物語に特に影響がない気もするし、犯人が爆弾事件はテロだと言ふけど、単なる私怨だし、ホントに人でなしにしか思へない。その辺りが気になつて、華々しい受賞ほどには面白くなかつた。「雪が降る」のはうがよつぽど面白い。

2011-01-18

藤原伊織「雪が降る」講談社文庫(370・used)。解説が黒川博行だつたので、つい買つてしまつた。ヤケもなく、状態もよかつた。「台風」「雪が降る」「銀の塩」「トマト」「紅の樹」「ダリアの夏」の6篇。「紅の樹」が一押し。堀江徹は助かるんだらうか。遠山が渋い。「雪が降る」も良い。「ランニング・オン・エンプティー」といふタイトルの映画は知らないが、これはジャクソン・ブラウンの曲名と同じだ。繋がりがあるのかないのか、今度調べてみよう。読み終へて直ぐ、江戸川乱歩賞&直木賞ダブル受賞の「テロリスのパラソル」を探して手に入れた。
佐藤秀峰「ハードタックル」小学館ヤングサンデーコミックス(369・used)。「海猿」、「ブラックジャックによろしく」の佐藤秀峰。デビュー作「おめでとオ!」を含む作品集。ほかにタイトル作品「ハードタックル」、「キムラ!」、「エロ兄弟」(4コマ)。「おめでとオ!」と「キムラ!」はヨットを扱つてるんだけど、経歴と関係があるのか。絵がちよつと黒い印象なのは動きのカットで線が多いためか。「キムラ!」のおしまひのはうの絵のタッチが誰かに似てゐると思つたが、誰だつたか忘れた。大友克洋の昔の絵に似てるかもなあ。

2011-01-15

吉崎観音「宇宙X兵衛・完全版」カドカワコミックス・エース(368・used)。「ケロロ軍曹」の作者。くだらなさが実に面白い。いきなり隙のない構へが実は眠つてた、なんて使ひ古されたネタから始まる。絵はDrスランプ、すすめパイレーツを思はせる。良い。

2011-01-09

湊かなえ「告白」双葉文庫(367・used)を読む。第一章「聖職者」で小説推理新人賞、書き継がれたこの「告白」で「週刊文春08ミステリーベストテン」で第一位、第6回本屋大賞も受賞したベストセラーださうだ。映画にもなつたやうだ。作者の名前を見たことがあるなあ程度で手に取り、スラスラ読めるので買つた。一気に読ませる。ミステリとしても面白く読める。教室での喋りに始まり、手紙、日記、ネット上のテキスト、携帯電話の喋りなどスタイルはかはつてはゐるが、要は語り、喋りのスタイルのヴァリエーション。荻原浩の「神様の一言」もさうだつたが、コミックに近い印象。それが悪いと言つてゐるのではない。それが軽いと言つてゐるのでもない。小説の質が変はつてゐるんだな、と思つただけ。それとこれは貫井徳郎の「天使の屍」でも書いたが、中学生の虐めや自殺、殺人をかういふ形で小説にしてほしくない。問題提起なら別の形で書いてくれないか、と思ふ。現実に起つてゐるのに目を背けるのは卑怯だ、と言ふなら卑怯者で結構。現実だけでたくさんだよ。

2011-01-03

去年の大晦日から読み始めた酒井雄哉「一日一生」朝日新書(×3)を読了。いま何をしてゐるか、これから何をするか、それが大事だ、と80歳の大阿闍梨は言ふ。重いなあ。

2010-12-30

佐々木雄二「自律訓練法」(366・used)。タイトルに赤字で「ストレスを簡単に解消!」とある。血圧が急に上がつたのも、ストレスが原因ではないか、と思つてゐる。具体的には特定できないけれども、そんな気がする。長い導入部(1/3くらゐ)から、実践篇へ。試して見る価値はあるかもね。続けて似たやうな本(林成之の本とか)を読んだのは、自分を変へたい、変りたいといふ気持ちがあるから。このままではいけないといふ思ひがある。自己閉塞状態に陥つてる気がしてならない。このまま定年になつて、老後を迎へ、死んでしまふのは堪らない、といふ思ひがある。

2010-12-27

小沼丹「黒いハンカチ」創元推理文庫(365・used)。面白かつた。名前だけは(井伏鱒二絡みで)知つてゐたけれども、作品を読んだのは初めて。「こぬま・たん」と思ひ込んでゐたが「おぬま・たん」が正しいさうだ。A女学院の女教師ニシ・アズマが主人公の連作短篇ミステリ。殺人事件もあるが、殆どが日常生活の中で起るちよつとした事件、犯罪だ。昭和三十二年四月から1年間雑誌に連載されたといふから、風俗は古めかしいが、内容はいまでも新鮮。状態もいいし、貴重なので。105円はお買ひ得だつたね。

2010-12-23

林成之「〈勝負脳〉の鍛え方」講談社現代新書(364)を続けて読んだ。この勝負脳といふ言葉に興味があつた。これで北島康介が金メダルを取つたといふ話を聞いたことがあるやうな気がする。「脳に悪い──」とほぼ同じやうな内容だが、こつちは第一章(P26)に書いてある「意識の二構成理論」=「外意識」と「内意識」についての本になる予定だつたといふ。これもまた後でゆつくり読み返さうか。蛇足ながら、P103-6行目「じつに当を得ていることがわかります。」は「的を射る、的を射ている」の誤りではないか。「まとをえている」→「当を得ている」でせうか。

2010-12-18

林成之「脳に悪い7つの習慣」幻冬舎新書(363)読了。タイトルに釣られて買つてしまつた。脳に悪い習慣とは①「興味がない」と物事を避ける②「嫌だ」「疲れた」と愚痴を言ふ③言はれたことをコツコツやる④常に効率を考へてゐる⑤やりたくないのに我慢してやる⑥スポーツや絵等の趣味がない⑦滅多に人を褒めない、の7つ。脳神経細胞が本能として持つものは「生きたい」「知りたい」「仲間になりたい」の3つだといふ。そこからいろいろな、脳神経外科医としての経験(これが非常に興味深い)を含めた例を引いて説明してゐる。要は脳に変なクセや習慣をつけるな、といふこと。本文中に「だいたいわかった」ではいけない、と書いてあつたから、もう一度読むことにしよう。

2010-11-29

荒川弘「鋼の錬金術師」ガンガンコミックス全27巻(336〜362・一部usedあり)読了。ほぼ予想通りにハッピーエンド。もう一度最初から読み返してコメントします。読み返しながら、少しづつ、日付入りで→

2010-11-26

中町信「夏油温泉殺人事件」ケイブンシャ文庫(335・used)を読了。「夏油」と書いて「げとう」と読む。岩手県北上市にある温泉。元はアイヌ語から来たといふ説あり(wikipedia)。氏家周一郎、早苗の夫婦探偵シリーズの中では面白いはうだ。得意の叙述トリックにまんまと騙される。ダイイング・メッセージの「あの人」の意外性よりも、発端となる転落事故で殺され人物について、なんの疑ひも持たずに読み進んでしまつたのが悔しいぞ。仲町作品は残すところ後6冊を残すのみ。かうなつたら、全部読むぞ。

2010-11-24

唐沢なをき「漫画家超残酷物語」小学館(334・used)読む。面白いところもある。けど、いつでも読み返せるやうに手元に置きたいといふほどではない。最後に触れてゐるが、「漫画家残酷物語」といふのが永島慎二に既にある。読んだやうな気もするが自信がない。永島慎二は好きな漫画家だつた。描く絵が好きな漫画家だつた。フーテンとか、さうだ、柔道一直線だ。いまもむかしも、あんまりメジャーでない人が好きだから、ほかには石川球太(狼王ロボ)とか、園田光慶(怪獣王子)とか真崎守とか。あと平仮名の苗字の人で、園田光慶みたいな絵を描く人がゐたんだけど、名前が出て来ない。──話が逸れたが、唐沢なをきの絵も好きなタイプの絵だ。ちよつと古い、むかし風の線とか、コマとかがある。意図的なのかな。中身は昭和の初めの私小説のやうな印象。私漫画ではないただらうが、印象が葛西善蔵とか破滅型の私小説みたいに暗い。のにギャグ漫画。滅茶苦茶な人物名と強引な展開。第1話を読んで、その続きで一冊になつてる思ひ込んで買つたのだが、違つた。それがちよつと残念。

2010-11-21

貴志祐介「青の炎」角川文庫(333・used)読了。倒叙もの。うまい人だ。スラスラと読める。しかし、どうだらう。主人公が身勝手に見えてしまふ。殺す理由がどうにもすんなり受け入れられない。曾根でさへ、ホントにほかに方法はなかつたのだらうか。後味がよくない。「黒い家」のはうが好きだな。

2010-11-15

斎藤美奈子「文壇アイドル論」文春文庫(332・used)を読んだ。読んだことがあるやうな気がしてゐたが、'08/12月に「文学的商品学」といふのを読んでゐた。80年代〜90年代にかけての文壇アイドル(村上春樹、俵万智、吉本ばなな、林真理子、上野千鶴子、立花隆、村上龍、田中康夫)について書いてある。「はじめに」で自身が言ふやうに「作家論論」ですね。取り上げてゐる作家で読んだことがあるのは村上春樹(羊をめぐる冒険)と立花隆(同時代を撃つ)だけだつた。つまりオレは80年代〜90年代──20代半ばから40代半ばまでにあたる──にかけてその時代を代表する作家を読まないで過ごしたといふことなのだらう。まあ、面白く読んだ。

2010-11-11

井上靖「風林火山」新潮文庫(331・used)を読了。抜群に面白い。山本勘助は実在したかどうか疑問があるさうだ。しかし、ここには山本勘助がいま正に目の前にゐる。信玄晴信も、由布姫も於琴姫も。謙信さへもその姿が目に浮かぶやうだ。川中島の合戦が始まつたところで、勘助の最後で物語は終はる。解説は吉田健一。

2010-10-31

佐野洋「燃えた指」徳間文庫(330・used)を読んだ。9篇収められた文庫オリジナル版。この文庫オリジナル版といふのは佐野洋には結構多い気がする。何冊か読んだ記憶がある。いづれにしても、これは気楽に読める軽いミステリ。高校生で作つた年寄りの話を聞く会で、毎回なにか謎が出て、それを解き明かす。いはゆるミステリ風の殺人などは出て来ない。言葉遣ひについても触れてゐる。

2010-10-25

荻原浩「神様からひと言」光文社文庫(329・used)を読む。サラリーマン小説なんだけど、会社の持つ矛盾に負けないで頑張らう、といふメッセージを持つコミックに近い展開。スラスラ読めるのに、止まつてしまひ、読み終へるのに日数が掛かつた。まあ、止まつてるあひだに他にも手を出してたから。お客様相談室での奮闘は笑へる。

2010-10-23

山田真哉「さおだけ屋はなぜ潰れないのか?」光文社新書(328・used)。5年くらゐまへにベストセラーになつた。当時は買ふ気にも読む気にもならなかつたが、105円で見た目もよければ読んでみるかと思ふ。ケチだね。さう、ケチなのは大事だといふ話。ではなく、会計についての本なのだが、プロローグP4で「会計は」「やさしく教えることが出来るような学問ではない」と書かれてゐて、ちよつと引つ掛かつた。会計つてのは実務、技術ではないのか。学問といふのはさあ、進化する、といふか進歩すると言ふか、真実を追究するといふか。会計学といふのか知らないが、実務だよなあ、どうみても。──それにしても数字に強い弱いはあるね。P185からは特に面白かつた。統計の誤摩化し、と言つちやあ悪いが、本質が見えなくなるのは確かだよ。特殊な統計の仕方とか。タバコがいい例だらうけど。いづれにしてもこれがベストセラー。これはまあまあ面白く読んだけど、バカの壁とか、国家の品格だか、遅ればせながら読んだけれども殆ど陸でもない話。ただの時間つぶし。ミステリーのはうがマシだな。驚きも意外性もない。

2010-10-22

林博史「頭のリズム・体のリズム」ごま書房GOMABOOKS(327・used)。サーカディアン・リズムを中心に人間の持つ複数のリズムについての話。1日単位であつたり、月単位だつたり、年単位だつたり。1日のうちでも昼と夜であつたり、そのリズムの内容によつて周期は様々だ。自律神経の働き、交感神経と副交感神経の役割や入れ替りの時間帯、睡眠についても面白かつた。特に染色体のテロミアについて。ここが寿命を司つてゐるといふ話。ほかにも、年を取ると時間が早く過ぎると感じるのはなぜか。サーカディアン・リズムは24時間よりも少し長い25時間周期だが、その周期が加齢によつて短くなつて行くせゐなんださうだ。なるほど。ここにあるのは実証科学的な報告であつて、現象から推理された法則を実験その他で証明できたもの、と言へる。つまり、今後の研究で、更に解明されたり、ひつくり返されたりするものもないとは言へない、といふこと。まだ始まつたばかり。でも興味深いね。

2010-10-10

吾妻ひでお「うつうつひでお日記DX」角川文庫(326・used)。文字が小さくて文庫では読みにくい。失踪日記が面白かつたので、買つた。内容は失踪日記で書かれた生活以降の日記。吾妻ひでおの絵は好きだねえ。ロリコン少女の絵のはうはどうでもよくて、いかにも漫画の丸つこいタッチなのに、意外に細かく書き込んであつたり、ちよつとしたものにもきちんと影がついてたりするところが好き。業田良家の自虐の詩褒めてる。でせう、つて気分。山本英夫のホムンクルス褒めてる。読んでみるかな。
一緒に買つた山本英夫「のぞき屋」小学館YSコミック(325・used)も続けて読んでしまつたので書いておかう。前篇、後篇に分かれてゐて、前篇はトラウマ克服篇。後篇ではのぞき屋商売を開始し、のぞき男を捕まへる話。絵はやつぱり斜め横顔の特徴はそのまま。このあと新のぞき屋でシリーズになつてる。読んでみるかなあ。
山本英夫「1(イチ)」小学館YSコミックス(324・used)を読んだ。山本英夫は「モムンクルス」といふのを書いてゐるんだよね。それがBookOffで眺めてると、たまに目に入る。ホムンクルスといふ言葉、名前は鋼の錬金術師に出て来る。なので気になつてた漫画家。1巻ものが2冊あつたので買つてみた。高校生の話で、ケンカもの。弱虫みたいに見えるヤツが実は強くて、最後には宿敵を倒すといふカンフー映画的に展開する。絵が不思議で、正面で見る顔と僅かに下から見上げるやうにして見る七三くらいの横顔(真横ぢやない)の目鼻口の配置が向いてる側に寄つてゐる感じになる。つまり向いてないはうに余白といふか、頰と顎が広くなる傾向がある。なので、正面顔の次のコマにそれが出て来ると一瞬誰の顔がわからないことが何度かあつた。面白かつたし、絵も上手いんだけど、さういふ癖といふか、意図的なのか、ある人。→なんと、この続篇なのか「殺し屋1」(殺し屋イチ)といふのがあつて、それはもう容赦なしのグロさ、だ。2010.10.20

2010-10-05

橋爪大三郎「はじめての構造主義」講談社現代新書(323・used)を読む。構造主義に関する本は2冊目。内容はよく判らないが、まあ、構造主義がなんであらうと、考へ方の問題なんだな、といふのが結論。遠近法の説明で、時間は兎も角、空間的に見えてゐるやうに書くための手法が遠近法。時間を持ち込んだらどうなるのか、それが未来派──セヴェリーニ、マルセル・デュシャンの「階段を降りる裸婦」もさうかな、それを空間的に再構築するとキュビズムでせうか。やつぱ表現としては絵画、美術運動が一番進んでる気がする。小説が最も遅れを取つてゐるね。

2010-09-29

神坂次郎の「サムライたちの小遣帳」新潮文庫(322・used)を読む。あまり期待はしてなかつたのだが、たくさんのエピソードが書かれてゐて、買つた日に読み始め、止められなくなつてしまつた。侮れない。さすが南方熊楠の伝記を書く人だ。ちやうど休みだつたので、昼過ぎからゆふがたまで読み耽り、あいにく雨だつたからあと4篇を残して、つまり80篇を一気に読んでしまつた。その殆どが日本の歴史にまつはるエピソード。面白い話は幾つもあるが、とりわけ気に入つたのは遊女秋篠の話(P185)。惚れた男の仇討ちで、あはや返り討ちかと思はれたそのとき、助太刀したのが男装の秋篠。思はず鳥肌が立つた。それともう一つ。林少尉の死(P271)。敗戦の翌日深夜、水戸航空通信師団の青年将校が徹底抗戦を叫んで蹶起するも、鎮圧され、林少尉は死ぬ。23歳。大宅壮一編「日本の一番長い日」とその映画を思ひ出した。宮城で拳銃を顳顬に当てて自決するのは黒沢年男だつた。切腹する阿南陸軍大将を演じたのは三船敏郎だつた。表裏原田甲斐(P266)も面白かつた。伊達騒動と原田甲斐について知りたい、読みたい。長く悪人扱ひされてゐた原田甲斐の再評価のきつかけを作つたのが「言海」「大言海の編纂者大槻文彦博士だといふのも興味深い。ときどき思ひ出してはペラペラと拾ひ読みするのに良い本。

2010-09-02

貫井徳郎「天使の屍」角川文庫(321・used)読了。正直言つて、作りすぎてゐる感じ。トリックが先にあつて、物語を押し込んだやうに見えた。14歳といふ設定は上手い。しかし、自殺の動機はやつぱり弱いだらう。メディアが無責任に流す少年の自殺といふものを、また虐めの状況をそのまま取り込んでゐるやうな気がする。それが現実の一部として実際に身近なことだとしても、一般化するのはどうだらう。

2010-08-30

娘に「読んでみる?」と勧められて「ねずみの騎士デスペローの物語」ケイト・ディカミロ/子安亜弥訳(320)を読んだ。図書館から借りた本なので、学校が始まつたら返すといふので日がない。きのふから読み始め、どうにか読み終へた。作者がときどき顔を出して読者に語りかける形式。読み始めたときは「建具職人の千太郎」のはうが面白かつたな、と娘に言つたものだが、やや尻細りではあるものの、どうしてなかなか。デスペローとは、母親が絶望despairの意味で付けた名前。この母親、デスペローが人間と接した罪を問はれ、地下牢へ連れて行かれるとき「さやうなら」と言ふ。P68で作者はあなたがお母さんから聞きたい言葉は「さやうなら」ではなく、「かはりに私を連れて行つて」ではないか、と問ふ。このお母さんの名はアントワネット、お姫さまはピー(と、やや素つ気ない)、デスペローと対決するドブネズミがキアロスキューロ(光と闇を組み合わせて表現することの意味で絵で使ふ言葉ださうだが、スペルがわからないので調べられない)、片耳のない年寄りのドブネズミがボッティチェリ!

2010-08-29

東野圭吾「予知夢」文春文庫(319・used)を毎日昼休みに一篇づつ、5日で読み終へた。まへに読んだ「探偵ガリレオ」の続篇。この後で「容疑者Xの献身」が書かれた。オカルト風の謎があり、湯川助教授が登場する。謎を解いて行くと単純に思はれた事件の様子がかはる。自殺が殺人に、またその逆にもなる。ミステリとしての面白さもある。

2010-08-19

ゆふべ岩崎京子「建具職人の千太郎」くもん出版(318)を一気に読んでしまつた。娘が小学校の課題図書で買つてもらつたものらしく、居間の隅においてあり、ずつと気になつてゐた。残業で遅かつたので、娘は床に就いてゐたが、その隙に、といふわけではないけれども、夕飯のオカズをツマミに晩酌をしてゐるあひだに読みをへた。小学生高学年向けで、活字も大きいし、行間もあるから、200頁の本だが、それほど長い話ではない。七歳で建具職人に奉公に出された千太郎(実在のモデルがあるといふ)とその姉おこうの物語。先づ、棟梁がいい。出戻りの若棟梁もいい。千太郎を指名して寺子屋の机を作らせる名主の藤右衛門もいい人だなあ。

2010-08-13

岩明均「骨の音」講談社モーニングKC(317・used)を読んだ。まへに同じ作者で「七夕の国」といふコミック4巻本を読んだことがある。いろんなタイプの漫画が書ける人だ。好きなのは「指輪の日」と「和田山」。最後のタイトル作「骨の音」は力が入つてるのだが、今ひとつ意味がわからなかつた。

2010-08-09

続けて池波正太郎「鬼平犯科帳(三)」文春文庫(316・used)を読む。(一)8篇、(二)7篇だつたが、これには6篇。なかでも4つ目の「兇剣」が長い。この巻には解説はなく、池波正太郎の「あとがきに代えて」が付く。どうしても長谷川平蔵を書きたかつたといふ。惚れ込んだ人物を実に楽しみながら書いてゐるのが伝はつて、そこがこのシリーズの魅力だ。

2010-08-03

池波正太郎「乳房」(315・used)を読む。これは鬼平犯科帳の番外篇で、長篇である。勘蔵といふ男を殺したお松と火付盗賊改方の長官になる長谷川平蔵を軸に十三年間に亘る物語だ。なかなか読み応へがあつた。一筋縄ではいかない善と悪の描き方が上手い。池波正太郎のシリーズものは他に剣客商売、仕掛人藤枝梅安もそれぞれ第一巻を読んでゐるが、やはり鬼平が一番好きだ。