2009-08-29
きのふ朔立木「深層」光文社文庫(215・used)を読み終へた。四つの小説が入つてるので、ひとつひとつ行くか。「針」は小説ではなく、ルポとして書くべきだと思ふ。責任の所在を明確にしたうへで、それぞれの医師が裁かれるべきであつて、末端の現場の医師が全ての責任をかぶる結末は感傷的であり、承服できない。「スターバート・マーテル」7人の幼稚園児を殺した男の元妻の手紙の形だが、元夫に対して自分を十字架に架けられたキリストの脇に立つ聖母マリアに準えるのだが、それでは殺人を犯した元夫はキリストといふことになりませんか。まつたく受け入れられない。こんなことをもし、ホントの殺人者の元妻が言つたとしたら、オレは被害者の親でなくても断じて許さない。「鏡」この教師、地獄に堕ちろ。なぜおまへは温々と生きてゐるんだ。「ディアローグ」それらしい話に過ぎない。類型的でさへある。誰も傷ついてはゐない。涙を誘ふ感傷的な言ひまはしはある──実際に涙を零しもしたが、感動には繋がらない。なぜなら、この浅さ、薄つぺらさは頭の中で人間や人生を考へてゐるからだらう。かうした小説の執筆は、恐らく勉強ができて、成績がよくて、それで法曹界に身を置く著者の余技に留めて頂きたいものだ。蛇足ながら、解説の長田渚左といふ人へ。ノンフィクション作家ださうですが、これらの小説に対して「通俗をひっくり返す美学」と言つてるけど、まつたく意味が解らないよ。通俗をなににひつくり返すといふことなのですか。またこれらの小説が著者の「死亡推定時刻」よりも「文学性も高いように思う」といふ失言、いや発言がありますが、そこに優劣があるのかどうか、またその根拠はどんなところか言はないと、なにも言つてないのと同じでせう。
2009-08-24
アガサ・クリスティ/長沼弘毅訳「オリエント急行の殺人」創元推理文庫(214)を読んだ。トリックは知つてゐたので読み難かつた。たぶん映画──ビデオを借りて見てゐると思ふ。ショーン・コネリーが出てなかつたかな。発想は素晴らしいですよ。「そして誰も……」も、さう。さらに「アクロイド殺し」も。しかし、古い。赤川次郎が「そして誰も……」の解説で触れてたけど、誰でも携帯電話を持つてる現在の生活では、起らない犯罪だね。訳も古くて(「訳者あとがき」が1959年9月)、P278の5行目「その前にまず、のんべんだらりと小田原評定と来る」なんて台詞をポワロの友人で国際寝台車会社の重役といふ設定のブーク氏が発言するんだ。「小田原評定」?──「いつまでたってもきまらない相談▷北条氏が豊臣秀吉に攻められた時、小田原城で、戦うか降伏するかの相談がなかなかきまらなかったことから。」(岩波国語辞典第三版)──ほかの言ひ方はなかつたのかね。日本人ぢやないんだから。まるで時代劇だぜ。1934(昭和9)年に出た本だからねえ。当時は気が効いてゐて、逆に斬新だつたのかね。
2009-08-22
こないだ、──でも、さう、お盆まへだ、休みの日に太田のBookman's Academyで見つけた新潮選書の──しかし、後でアピタとか文真堂とかで探さうとしても題名がはつきり思ひ出せなくて困つた──網野善彦の本がどうしても読みたくて、一度は太田イオンの贔屓の喜久屋書店で──さすが置いてあつた!──見つけたのだが、ちよつと表紙が汚れてたので店員に他には在庫がないか聞いたら注文することになる、といふ返事だつたから、いつかまた太田のBookman's Academyに行く機会があつたら買はうと思つてゐた「歴史を考えるヒント」(213)を17日に手に入れ、けふ読み終へた。まだまだたくさん知りたいことがあり、それには当然たくさん勉強しなくてはならないことがあり、そのためには、かうした本が必要なのだよ。興味を持てる本。ふむふむ、面白さうぢやないか、と思へる本が、さ。日本が「日本」と名乗つたのはいつからか。網野善彦なら当然触れなくてはならない、触れるであらう「百姓」とは誰か。いまと全く違ふ言葉の意味や使ひかたには驚くし、さうした言葉の理解のうへにたつて歴史の読み解きがある、といふ意見は寧ろ、その入り口でもいいから義務教育のうちに知つてゐたら、歴史に興味を持つ子どもはきつと増えるに違ひない。歴史に限らず、数学も物理も、美術も音楽も、オレが苦手だつた体育でさへも、興味を持てなくなるのは教へかたに問題があるんだ、と、つくづくさう思ふ。教師個人の場合もあるだらうし、学校全体、教育委員会、教育指導要領、文部科学省が、実はなんにもわかつてない、と言ふか、子どもだつたことを忘れちまふタイプの大人なんだらうな。
2009-08-16
2009-08-10
その赤川次郎が解説を書いてゐて、こんな小説を書きたいといふ目標だと言つてるアガサ・クリスティの「そして誰もいなくなった」清水俊二訳・ハヤカワ文庫(211)を読んだ。ミステリ好きの癖にまだ読んだことがなつたのか、と言はれるかも知れないほど、有名な、題名くらゐは聞いたことがある作品──なので、敬遠してゐた面もあるが、一気に読ませる。インディアン島に集められた人々が、10人のインディアンの童謡に合せて、次々に殺されて最後には誰もゐなくなるといふ、題名通りの、説明するまでもない内容だ。謎解きとトリックの説明がエピローグのあとに付された「漁船エマ・ジェーン号の船長からロンドン警視庁に送られた告白書」の形で書かれてゐるのは、構成のうへでやむを得ないにしても、ヴェラ・クレイソーンの死に方、そして真犯人の動機が10人も殺しつづけるには無理がないか。
蛇足ながら、このハヤカワ文庫は普通の文庫より少し縦が長いので、しまふのに困る。なんでこのサイズにしたのかな。買ふとき躊躇つたんだけど、創元のはうには訳がなかつたので、仕方なくこつちにした。
蛇足ながら、このハヤカワ文庫は普通の文庫より少し縦が長いので、しまふのに困る。なんでこのサイズにしたのかな。買ふとき躊躇つたんだけど、創元のはうには訳がなかつたので、仕方なくこつちにした。
2009-08-05
いやあ、素晴らしい。実にいい話だ。娘の誕生日のプレゼントの一つだつたのを、読み終はつたら貸してくれ、と頼んで置いたのだ。ネットで小学校高学年の女の子にお薦めの本を検索した中にあつた。──赤川次郎「ふたり」新潮文庫(210)。小学生にはちよつと微妙に解らないところもあるだらうが、殆ど無理なく入つて行ける。このトシでも目頭が熱くなる場面が何度もあつて、それは寧ろこのトシになつたからかな、とも思つたりもした。どうせ金がなくて何も買へないだらうから、と気をまはし、上の子からのプレゼントにした積りが、あいつはあいつで紙の筒に何十本も入つた色鉛筆とスケッチブックをセットで用意してゐたから、それならそれで予め言つといてくんないと、こつちの立場がないだらうが、……。これ、大林宣彦が映画にしてるんだ、つて。知らなかつた。見たいな。
2009-07-15
2009-07-03
2009-06-18
2009-06-17
「その後でいろいろあつて2人とも失踪する」のは双子のことで、Dr.テンマは含まない。テンマの年齢もはつきりしないが、1996〜97年に20年近くまへに大学生だつたといふ話(Dr.ギーレンの回想5巻P17)が出るので、1976年頃に20代前半だつたことになる。双子が三匹のカエルの家から出て、──それはバラの屋敷で46人が死ぬ事件の直ぐあとなので、これが1981年頃だ(ヴォルフ将軍が死の床で14巻P130)といふから、1986にリーベルト夫妻の養子になるまでの時系列的な流れと年齢がよく解らない、とまへに書いたが、序でに気づいた点を挙げると、シューバルトの実の息子だと解つたカールは7巻P38〜41で里親と養子縁組?の約束をしてるのに、シューバルトの息子として生活してるが、どうなつてるのか。見落としてるのか、読み落してるのか。さういふことは何度かあつて、例へば、カールの母親もヨハンが殺したの?──カールの母親と一緒に暮らしてたらしいから、さう思ひ込んでゐたが、18巻P226でヨハンとアンナの母親が登場するから違つてた、とか。Dr.テンマが逮捕され(12巻P160)、テンマを助けようとする患者たちの話があつて、同じく12巻P192でジャン・ギャバンに似た顔のDr.シューマンが出て来るのだが、今回の再読で、この挿話がどこだつたか(3巻P131第6章)、この巻=12巻を読んでゐたときには思ひ出せなかつたくらゐたがら、あれこれ言つてることも実は見落としに過ぎないのかも知れない。テンマが好きだといふサンドウィッチの種類がどこかに出てゐて、確かそれがディーターがニナに食べろと勧める場面だつたが、どこだつたか解らない、見つからないなんてこともザラだ。
ところで、グリマーの墓に1954-1998とあつて(18巻P214)、この物語の現在時は1998年だと解り、凡そ3年間のドラマなのだな、と了解するのだが、グリマーは30年まへに14歳、511キンダーハイムに入つたのは7,8歳で1963年だつたと自分の口から言つてる(11巻P152)ことで、微妙に人間関係が覚束なくなるのだ。18巻P117で、ヴィム少年がソファーに寝かされたグリマーの傍らで、本人から聞いた話としてアドルフ・ラインハルトといふ友だちの名前を出す。そのベージの前後でルンゲ警部と争ふロベルトの口から、施設(511キンダーハイム──1985年に施設は焼失)を出た自分のまへにヨハンが現れて、彼は自分があたたかいココアが大好きだつたことを思ひ出させてくれたと語るだが、カレル・ランケ大佐とグリマー、Dr.テンマの三人での話(11巻P152)から、実はロベルトがアドルフ・ラインハルトであり、カレル・ランケ大佐の甥=妹の子どもであらうと推察出来るる。するとロベルトとグリマーはお互ひに記憶があるかどうかは別にしてもほぼ同時期に511キンダーハイムにゐたのではないか。ヨハンはどうやつて、グリマーがやつと思ひ出したやうな、そして本人もそのときに漸く思ひ出したやうなココア好きの嗜好を知り得たのか。偶然か。ヨハンとロベルトは20歳近く年が離れてゐる。いつヨハンが現れのか不明だが。──それよりも、3巻でテンマが出会ふディーターといふ少年を引き取つて育ててゐたハルトマンの家でディーターは511キンダーハイムにゐた子どもたちの写真を見たことがあると言つてる場面があつたのだが、何巻だつたかいまは思ひ出せないが、もしさうなら、グリマーもロベルトもヨハンもディーターは解るのではないか。
ところで、グリマーの墓に1954-1998とあつて(18巻P214)、この物語の現在時は1998年だと解り、凡そ3年間のドラマなのだな、と了解するのだが、グリマーは30年まへに14歳、511キンダーハイムに入つたのは7,8歳で1963年だつたと自分の口から言つてる(11巻P152)ことで、微妙に人間関係が覚束なくなるのだ。18巻P117で、ヴィム少年がソファーに寝かされたグリマーの傍らで、本人から聞いた話としてアドルフ・ラインハルトといふ友だちの名前を出す。そのベージの前後でルンゲ警部と争ふロベルトの口から、施設(511キンダーハイム──1985年に施設は焼失)を出た自分のまへにヨハンが現れて、彼は自分があたたかいココアが大好きだつたことを思ひ出させてくれたと語るだが、カレル・ランケ大佐とグリマー、Dr.テンマの三人での話(11巻P152)から、実はロベルトがアドルフ・ラインハルトであり、カレル・ランケ大佐の甥=妹の子どもであらうと推察出来るる。するとロベルトとグリマーはお互ひに記憶があるかどうかは別にしてもほぼ同時期に511キンダーハイムにゐたのではないか。ヨハンはどうやつて、グリマーがやつと思ひ出したやうな、そして本人もそのときに漸く思ひ出したやうなココア好きの嗜好を知り得たのか。偶然か。ヨハンとロベルトは20歳近く年が離れてゐる。いつヨハンが現れのか不明だが。──それよりも、3巻でテンマが出会ふディーターといふ少年を引き取つて育ててゐたハルトマンの家でディーターは511キンダーハイムにゐた子どもたちの写真を見たことがあると言つてる場面があつたのだが、何巻だつたかいまは思ひ出せないが、もしさうなら、グリマーもロベルトもヨハンもディーターは解るのではないか。
2009-06-15
全巻セットで売つてしまふつもりでゐた浦沢直樹の「Monster」(全18巻)をホームズの後で4日くらゐ掛けて一気に読み返した。まだ売らないで手元に置かう。幾つか気になることが出て来て、──それだけ雑に、いい加減に読んでゐるのだらう。やつぱり全体としてスッキリしない。時間の流れが特に呑み込めない。1986年にドイツのデュッセルドルフにある病院でヨハンとアンナ(双子)はDr.テンマに会ふ。それが物語の始まり。が、その後でいろいろあつて2人とも失踪する。そのとき10歳といふことになつてる。といふことは1976年生まれだ。1985年に511キンダーハイムといふ孤児院が焼失。そこにゐたヨハンと、別の地区の孤児院にゐたアンナ=ニナはリーベルト夫妻に引き取られるのだが、後の巻で、この双子の兄妹が1981年に生まれたといふ話が出てくる。それだと5年ズレちやふ。三匹のカエルの看板のある家が火事になつて、そこから2人は逃げて彷徨ひ、そこを救はれ、その後でヨハンは511キンダーハイムに行くのかい?カエルの家の火事がいつなのか、特定出来ない。
9年後の1995年にデュッセルドルフでヨハンとDr.テンマは再会する。その辺りは解る。その先は辿れるのだが、10歳になるまでのことがよく解らない。他にもある。それは明日以降に持ち越し。眠い。
9年後の1995年にデュッセルドルフでヨハンとDr.テンマは再会する。その辺りは解る。その先は辿れるのだが、10歳になるまでのことがよく解らない。他にもある。それは明日以降に持ち越し。眠い。
2009-06-10
2009-05-29
「目白雑録3」朝日新聞社(207)読了。団塊の世代と呼ばれる人たちがビートルズ世代だつたと勘違ひしてゐると、寧ろ団塊の世代にとつてビートルズはそれ以前のアメリカン・ポップスの甘美なメロディをぶち壊した奴らだつた筈だ、と正しい記憶で言つてるのは亀和田武だけだと書いてあつたのはどこだらう、と探したがそれは「2」のはう(P184)だつた。
「3」には芥川の「歯車」の話があつて(P180)、それは飛蚊症ではないかと言ふが、それはオレにも思ひあたる。過労(滅多にないが)や寝不足(これも殆どない)が続いた20代半ばの頃に奥眼窩神経痛と診断されたことがあるが、そのとき、見てゐるものの一部が水で滲んだやうに見え、それが輪のやうになつてゐたりもして、芥川の言ふ歯車ツて、これぢやないか、と思つたものだが、どうやら飛蚊症らしいや。いまでもほんとにたまに、水で滲んだやうに見えることがある。さういふときは自覚がないだけで大抵疲れがたまつてゐるときだ。オレもいづれ網膜剥離になるんだらうか。
「3」には芥川の「歯車」の話があつて(P180)、それは飛蚊症ではないかと言ふが、それはオレにも思ひあたる。過労(滅多にないが)や寝不足(これも殆どない)が続いた20代半ばの頃に奥眼窩神経痛と診断されたことがあるが、そのとき、見てゐるものの一部が水で滲んだやうに見え、それが輪のやうになつてゐたりもして、芥川の言ふ歯車ツて、これぢやないか、と思つたものだが、どうやら飛蚊症らしいや。いまでもほんとにたまに、水で滲んだやうに見えることがある。さういふときは自覚がないだけで大抵疲れがたまつてゐるときだ。オレもいづれ網膜剥離になるんだらうか。
つづけて金井美恵子の「目白雑録3」を読んでゐて、あと50頁くらゐのところで気が乗らなくなつたのは、癖のある人の書いたものだから、気楽にほいほい読めない。読み易いんだけど。網膜剥離で手術したなんて知らなかつたなあ。尤も、マスコミから騒がれるタイプの人ではないし、な。村上龍とか、けさの新聞広告で「7年ぶりの大長編小説」を出した同姓春樹──またベストセラーになつて印税ガッポリ稼ぐんだらうなあ、まへに読んだ「寝ながら学べる構造主義」の内田樹は村上春樹が好きみたいだね、どうでもいいけど──とかなら違ふけど。
なので、鯨統一郎の「邪馬台国はどこですか?」を引ツ張り出して、「聖徳太子はだれですか?」「謀叛の動機はなんですか?」を拾ひ読みしてる。なんでか、と言ふと、聖徳太子は実在しなくて、あの、教科書の絵もウソで、……といふのを思ひだし、どこにそれが書いてあつたか、鯨統一郎だつたよなあ、とたどり着いたワケだ。面白いけど、やつぱりこれはミステリーぢやないでせう。小説としてもスカスカで、骨組みだけで書かれてる。人物もほぼ同一人物。映画もB級扱ひされるのに惹かれるはうだから、ガチガチの判官贔屓なんで、それはそれでいいんだけど、小説としては歯応へがない。「維新が起きたのはなぜですか?」まで読むか。
なので、鯨統一郎の「邪馬台国はどこですか?」を引ツ張り出して、「聖徳太子はだれですか?」「謀叛の動機はなんですか?」を拾ひ読みしてる。なんでか、と言ふと、聖徳太子は実在しなくて、あの、教科書の絵もウソで、……といふのを思ひだし、どこにそれが書いてあつたか、鯨統一郎だつたよなあ、とたどり着いたワケだ。面白いけど、やつぱりこれはミステリーぢやないでせう。小説としてもスカスカで、骨組みだけで書かれてる。人物もほぼ同一人物。映画もB級扱ひされるのに惹かれるはうだから、ガチガチの判官贔屓なんで、それはそれでいいんだけど、小説としては歯応へがない。「維新が起きたのはなぜですか?」まで読むか。
2009-05-22
2009-05-21
2009-05-19
2009-05-18
それからなにを読まうか物色してたら、さうだ、ホームズの短篇集があと3冊残つてるから、取り敢へずいまのところはそれでも読んでホームズを片付けちまふことにしたのだが、なにせ30年くらゐまへに、ホームズの文庫ぜーんぶ下さいな、つてんで買つたものだから──ほかに007とブラウン神父シリーズが揃つてゐて、007は2冊読んだのかな、いまひとつ乗り切れなくて、ブラウン神父は最初の1篇で躓いて、理由は後日──兎に角フォントのサイズが小さいし、焼けて紙が黄ばんでたり、文字のインクが消えさうだつたり、更にこれらの文庫はぜーんぶ延原謙訳なんだけど、これがさあ、言つちやあ悪いが、チョンマゲの時代劇かよ、みたいな言ひまはしがあるんだ、時々、なので、ホームズものつて一体どこが面白いんだろ、と思つてるんだけど、ここまで読んだんだから修業のつもりで最後まで、……で、最初の「四つの署名」から数へると、もう5年以上掛かつてるんぢやないかな。書かれた順に読んで来たから、ご丁寧にも。
──で、この「ホームズ最後の事件」、ちつともワクワクするところがない。でももう少しだ。
──で、この「ホームズ最後の事件」、ちつともワクワクするところがない。でももう少しだ。
2009-05-04
かうして矢作俊彦「ららら科學の子」文春文庫(205)読了。なんて中途半端な話なんだらう。なのに、なんて充実してるんだらう。人生の途中をそのまま切り取つてみせたら、こんな風になるしかないだらう。一度も姿を表さない志垣にしても、一体なにを生業としてゐるのかよくわからんし、妹とも電話で話したきりだし、女子高生はそもそもどう関はつてるのか、奥さんはなぜ家を出たのか、さまざまな事柄が説明不足で納得できないまま、最後まで読んでしまふのだ。つまり、これは小説だ。虚構なのだ。スカスカの、辛うじて形を保つてゐる狭くて薄暗い舞台装置の中で、顔のない人物たちがそれぞれの役割の名前をぶら下げて動いてゐる芝居のやうなもの、或は作中でも触れられるクーブックの映画「博士の異常な愛情」さながら、一人の役者が複数の役をこなしてゐるやうなものなのだ。なのに、面白い。
2009-04-30
実は矢作俊彦の三島賞受賞作品(なんてことは中身とは一切関係ないけれども)「ららら科學の子」を面白く読み始めてゐたのが180頁くらゐで話がなかなか展開して行かないので2日3日積んどいてるあひだに、Amazonで買つた鈴木孝夫「言葉のちから」文春文庫(204)を読みをへた。ざつと言へば、いま日本は世界のトップ3(アメリカ、EU、日本)の中にゐるのに、歴史的にこれまで他国に追ひつけ追ひ越せでやつて来た(始めは中国、明治からは独仏英、敗戦後はアメリカ)体質がかはらないから、国内外でいろんな問題が起つてゐるのだ、と。アメリカから学ぶための英語なんて方法は国際社会での日本の立場を考へたら、時代錯誤であり、アメリカにはもう学ぶものは何もない、いまは寧ろ日本の良さ、日本的パラダイムを海外へ向けて発信する手段としての英語教育が必要だ、といふやうな話。ほぼその繰り返しで、講演を元にしてゐるから読み易いのはいいが、繰り返しが多いのが堪らん。
2009-04-15
残り40頁、No.56からは一気に読んでしまつた。トマス・ハリス/菊池光訳「羊たちの沈黙」新潮文庫(203・used)。犯人探しが中心ではないから、前作「レッド・ドラゴン」同様に物語の中程で犯人は登場する。そこから追ふ側の主人公たちとの距離がどうちぢまつて行くかで、どんどん盛り上がる。更に今回はレクターの逃亡といふ思つてもゐなかつた展開が入るし、その場面も臨場感がある。これを書くためにどれだけの資料を集め、読み込んだのだらう。そこから実際に人物が動き出すまで、やはり7年といふ年月が必要なのだらうか。クラリス・スターリングがジュディ・フォスターの顔と重なつてしまひ、閉口した。それとアンソニー・ホプキンズはオレの中ではレクター博士ではない。
2009-04-13
2009-03-23
トマス・ハリス/小倉多加志訳「レッド・ドラゴン[決定版]」上下・ハヤカワ文庫(201.202・used)を読み終へた。期待をしすぎたのか下巻がそれほど面白くなかつた。事件は解決し、最後のドンデン返し──ちよつとは予想し期待もしてゐた意外な展開──はあるのだが、読んでゐていまひとつ盛り上がらなかつた。その最大の原因は、ジャコビ家とリーズ家の家族たちがどんな風に殺害され、その魅力的な主婦たちがどんな陵辱を受けたのかといふ曖昧な部分が放置されてしまふからだらう。確かにあまり具体的になるのは下品かも知れないね。時間を掛けて丁寧に書いたんだらうなあ、といふことは伝はる。そして恐らく実際には倍くらゐ書いたものを相当削つて、絞り込んでゐるのだらう。犯人の境遇についても、心理分析みたいな真似をしないところはいい。これは犯罪そのもののミステリよりも、推理し、捜査する側のミステリのはうが複雑だらう。ハンニバル・レクター博士といふ存在を受け入れ、ウィル・グレアムといふ人物の存在を疑はないことで成立してゐる。どんな小説もさうだ、と言へばさうなのかも知れない。が、これほど特異な人物が2人も登場するわけで、しかもこの設定は奇妙なのだよ、実は。過去に逮捕し、瀕死の重傷を負はされもした異常犯罪者に現在探してゐる連続殺人事件の犯人像を聞きに行くなんてことは現実にはしないだらう。読んでるあひだは、ちつとも不自然には感じないんだけど。レクターに聞きに行かなくても、グレアムは犯人を特定できたのではないだらうか。普通のミステリとしては、それで充分。
2009-03-16
2009-03-14
2009-02-28
2009-02-22
2009-02-17
打海文三「ロビンソンの家」中公文庫(198)を読み終へた。これは一気に2日くらゐですらすら読んでしまつた。要約すると面白さが零れてしまふ気がする。ラスト近くに従姉にまつはる出来事が主人公に伝へられ、香港へ向かう飛行機の中で終る。尻切れトンボで冒頭の整合性に欠けることはどうでもいいんだけど、映画で見てるなら受け入れてしまふだらう。なぜなら映画の時間は逆戻りできない。再び冒頭へ戻ることはない。記憶の中では戻れるし、昔の映画館だつたら、次の上映時間まで中にゐて頭から見ることもできたが、いまは一回の上映しか見られないから。しかし、本は違ふ。小説はもう一度頭に戻れるし、途中からでも最初に戻れる。先回りもできる(詰まらなくなるだけだから誰もやらない)。つまり、本を読む時間は戻れるといふこと。映画つていふのは見終はるまで戻らないし、戻れない。さういふ意味で打海文三は映画的だと感じるワケだ。この中にも映画への言及があるし、映画に深くかかはつた人らしく、殆どの作品が映画的なものを感じさせる。キングやクーンツが映画的だといふのとは違ふんだけど、序でにちよつと言ふと、ずこく具体的なところ。キングもクーンツも人物には必ず名前があり、服装や髪型、顔立ちなどについて実に細かい記述がある。例へば人物の顔がアップになれば、見る側にはその顔がみえてるわけだし、部屋なら部屋にあるインテリアについてカメラのやうに記述される。それが映画的だといふことで、これは映像的と言つたはうがいいかもしれない。構造にも映画的な印象があるけど、いまは説明できない。
2009-02-16
岩波新書のシリーズ日本近現代史①「幕末・維新」井上勝生(197)読了。学校の勉強をもう少しきちんとやつとけば、もつとすんなり頭に入つたのだらうね。いづれにしても、直感的に感じてた明治維新の立役者と呼ばれる人たちの俗物ぶり、野蛮ぶり、田舎者ぶりはほぼ当たり。朝廷の如何にも温室育ちの我が儘ぶり、取り巻きの公家の何様ぶりは知らなかつた。やはり幕府の役人たちは立派だつたのだよ。江戸時代のマイナスイメージは凡て明治維新以降に都合良く作られた幻想なのだ。いまも皇室の行事でなんとかの儀が執り行はれ、なんていふ記事が新聞に出るけれども、あれは何百年、何千年と続いた伝統的な由緒ある皇室行事ではなくて、その殆どが維新以降に作られた物だといふし。
2009-02-13
2009-02-08
どうにもかうにも本が読めない、読み続けられない日々が続いてをり、読みかけが何冊か机に積んだままになつてゐるのだが、太田のイオンに行つたときに買つた、内田樹の「知に働けば蔵が建つ」文春文庫(195)を漸く読み終へた。内田樹の本は以前読んだことがある。「寝ながら学べる構造主義」といふ本だ。だから名前は覚えてゐて、立ち読みしたら面白さうだつた。もともとブログの記事だと書いてあるが、ブログの記事つて、書き捨てなんだよね。顔が見えない、顔のない文章とでも言へばいいのか。独り言みたいな感じで、自分でもやつてるから解るんだけど、ペラペラ喋るみたいに、あんまりじつくり考へないで打つてる。やつぱりそんな感じ。だから読めたとも言へる。中身についてはあんまり触れる気がしない。気が向いたら後で書かう。変換で苛立つので長く打ちたくないのだよ。……ところで、途中になつてるスティーブン・キングの短篇集「ドランのキャデラック」があと半分のところまで来た。初めて読むキングなんだけど、この展開の仕方はクーンツにも言へるかも知れないが、映画的だ。もつと上手い説明が思ひ付かない。読み終はつたら考へよう。もう一冊、キングと一緒にいつもカバンに入れて持ち歩いてる岩波新書の「幕末・維新」のはうは滞つてる。頭に入らない。幕府の人物名、朝廷側の公家の人名などが摑みきれない。実は同じところまで読んで一度滞り、また最初から読み始めたといふのに、この始末。どうする?もう一度始めから行くか。……といふ状態だといふのに、けふも小林賴子の「フェルメール──謎めいた生涯と全作品」角川文庫を見つけて買つて来てしまつた。一体どうするつもりなんだか。更に言へば、ヘンリ・ミラーの「マルーシの巨像」もクロード・シモンの「フランドルへの道」も、リサ・ランドールの「ワープする宇宙」もオーウェルの「1984年」も途中だといふのに。しかし、小林賴子は日本でのフェルメール研究の第一人者だといふぢやないか。フェルメールとなれば、つい手が出てしまふよなあ。
2009-01-27
年が明けてから、まだ一冊も読み終へてゐないと思つてゐたけど、さう、森恒二の「ホーリーランド」全18巻・白泉社(177〜194)を読み終へてゐたのだつた。あれはハガレン21を読んでからだから12〜15日のあひだで、そもそもの読み始めは息子が読んでゐたのを借りたので、面白さうだなと思つたのは主人公の孤立感、居場所のなさ、といふ立ち位置が身近に感じた──息子も恐らく投影してゐたのだらう──からだ。館林のBookOffで最新刊の手前まで纏めて買つて読み進めたけれども、キングつていふ薬物に手を出す怪しいヤツが出て来たり、伊沢の過去とか遡つたりして──最初ら最後まで手元にあつて一気に読んでるワケぢやないから、ハガレンもさうだけど遡るとどうも話の前後が混乱し──長引きさうだつたので、新しいのが出ると息子が買つたのを借りて読んでゐたら、意外にも予告で18巻で完結するつていふので買つたのだが、オレの印象では神代がヤンキー狩りとして土屋とか伊沢とかショウゴたちとの戦ふために鍛え、傷つけ、傷つき、立ち上がる前半が好きだ。
2009-01-12
アルフォンスが二つの場所にゐる、つていふ話の続き。「ハガレン19」のP93。キンブリーが怪しまないか、と聞くウィンリィにアルは「大丈夫、兄さんがなんとかしてくれるから」と答へ、次の場面。エドの隣に鎧のアルが腰掛けてゐる。次頁4コマ目、マイルズが「行くぞ」と声を掛け、「アイサー」とアルが答へてしまつたのを次のコマ、エドに返事の仕方を窘められて次、中にブリッグズの兵士がゐる。で、次頁の始め2コマに出て来て、それ以降は現れずに、中に入つててゐた兵士の姿でP98の1コマ目に出て来て、その後ろにアルの鎧が描いてある。意味は解る。ただここまで整合性にこだはるなら、アルの鎧を錬成する場面があつてもよかつたかな、と。見落としたかな。だつたら、謝る。
2009-01-08
たぶん暮れだつたと思ふが、「鋼の錬金術師21」と「ホーリーランド18」(最終巻)が出てたので買ひ、「ホーリーランド」は息子に先づ貸して「ハガレン21」のはうから読んだのだが、忘れてるところが多くて、止むなく20、19と遡つて読み返してる。よくわからなかつたのがアルフォンスが別々の場所にゐて、どうやら片方は、といふのはエドと一緒に行動してるはうは他の人間が中に入つてる贋ものらしいと漸く呑み込んだのだが、その経緯がどこの場面で書かれてゐるのか探しても見つからないこと。それと「まだその日ではない」とホーエンハイムが言ふ、約束の日とやらが意外に近いらしい。それはつまり物語も終りが近いといふことか。ちよつと急いでゐる気がする。
2009-01-06
2009-01-03
2008-12-31
区切りといふことをhiko7newsで言つてたくせに敢へてこつちはズルズルと「Ⅱ」に移行することを選んでみた。またこの際だから「才」は「歳」と正しい字にした。「一日一生」はほぼ半分ほど読み進んだところで、本で知つた阿闍梨について先づ控へておくと、阿闍梨とは天台宗比叡山を約7年かけて1,000日間、回峰巡拝する千日回峰行を成し遂げた人に与へられる尊称であり、大行満大阿闍梨と呼ばれる。記録に残る阿闍梨は(織田信長の比叡山焼き討ち以前は記録が残つてゐないが、それ以降の)400年間で49人。戦後、1945年以降で12人。但し、酒井阿闍梨は1980年(54歳)、1987年(61歳)と続けて二度満行した。二千日回峰行を成し遂げたのは400年間で僅かに3人しかゐない。100年に一人ゐないわけだ。しかも、最高齢だといふ。更に、酒井阿闍梨は40歳で得度するといふ坊さんとしてのスタートが非常に遅いのだ。だからまあ、ぜひとも読んでみたいと思つたわけだが、やはりお坊さん特有の説教、講話的なものが多いのだが、なにしろ坊さんになるまでの紆余曲折が半端ではないので説得力がある。
この本を探してるあひだ娘と一緒にゐることが多く、いろいろ阿闍梨とはどんな人で、と説明してゐたのだが、念仏を唱へて人を救ふといふことが呑み込めない。医者みたいに病気を治せないのなら、なにができるのか、と聞かれて答へられない。つまりオレには坊さんのことも宗教のことも、ましてや阿闍梨なんてまるで解つてゐないといふことなのだ。
この本を探してるあひだ娘と一緒にゐることが多く、いろいろ阿闍梨とはどんな人で、と説明してゐたのだが、念仏を唱へて人を救ふといふことが呑み込めない。医者みたいに病気を治せないのなら、なにができるのか、と聞かれて答へられない。つまりオレには坊さんのことも宗教のことも、ましてや阿闍梨なんてまるで解つてゐないといふことなのだ。
2008-12-30
きのふの朝刊の一面、下のはうに書籍の紹介があつて、そこに天台宗大阿闍梨、酒井雄哉著「一日一生」といふ朝日新書の記事があつた。ぜひ読みたい、と思つて2箇所(渋川からの帰途に寄つた大胡町と足利市朝倉)の文真堂に寄つたけれども在庫なし。遅くなつたので、明日にしよう、と。
それでけふ、新しくできた「スシロー」で昼を食べた帰り、近いから寄つてみたハーヴェスト・プレイスの本屋にも置いてない。太田イオンの喜久屋に行くしかないか、いや待て、アピタのくまかは書店は結構揃つてるから、と覗いたらあつた。まだ読み始めてないんだけど、どうやら聞き書きを纏めたものらしい。生まれ変はる「読書日記」の最初に相応しいかも知れない。これを読みながらブログを書いてくつもりなので、どんな風になるだらう。
それでけふ、新しくできた「スシロー」で昼を食べた帰り、近いから寄つてみたハーヴェスト・プレイスの本屋にも置いてない。太田イオンの喜久屋に行くしかないか、いや待て、アピタのくまかは書店は結構揃つてるから、と覗いたらあつた。まだ読み始めてないんだけど、どうやら聞き書きを纏めたものらしい。生まれ変はる「読書日記」の最初に相応しいかも知れない。これを読みながらブログを書いてくつもりなので、どんな風になるだらう。
2008-12-28
176.ループ
鈴木光司・角川書店(used)
文庫が出回つてないのか見掛けないので単行本で105円だつたから買ふことにした。三部作の最後、解決篇とでも呼べばいいのか。なにがなんだか、……。物語形式のPHP文庫なんかでよくある最新科学情報ダイジェストみたいな感じかな。全体の構想に作者のマッチョな腕力を感じる。あとがきに「物語がどう展開するかなんて、作者であるぼくにもまったくわからなかった」と書いてあるけど、嘘でせう。きつちりストーリーが出来てゐて、そのうへを人物が動いてるとしか思へない。ホントに蛇足ながら、第三章に入つてすぐ、主人公の馨がウェインスロックといふ砂漠の中の廃墟でバイクを降り、廃屋に辿り着いて42時間パソコンを見るといふ展開になるのだが、P200の6行目、バイクのエンジンを切つてないんだよ。このまま42時間戻らない。600ccのXLRはガス欠にならないのだらうか?
文庫が出回つてないのか見掛けないので単行本で105円だつたから買ふことにした。三部作の最後、解決篇とでも呼べばいいのか。なにがなんだか、……。物語形式のPHP文庫なんかでよくある最新科学情報ダイジェストみたいな感じかな。全体の構想に作者のマッチョな腕力を感じる。あとがきに「物語がどう展開するかなんて、作者であるぼくにもまったくわからなかった」と書いてあるけど、嘘でせう。きつちりストーリーが出来てゐて、そのうへを人物が動いてるとしか思へない。ホントに蛇足ながら、第三章に入つてすぐ、主人公の馨がウェインスロックといふ砂漠の中の廃墟でバイクを降り、廃屋に辿り着いて42時間パソコンを見るといふ展開になるのだが、P200の6行目、バイクのエンジンを切つてないんだよ。このまま42時間戻らない。600ccのXLRはガス欠にならないのだらうか?
2008-12-23
2008-12-20
174.日本史集中講義
井沢元彦・祥伝社黄金文庫
読み物としては充分面白かつた。歴史に関する本としても、副題にある「点と点が線になる」まではいかなくても、因果関係が説明されるので流れとして摑める。が、やつぱり網野善彦の「日本の歴史をよみなおす」の驚きには及ばない。
読み物としては充分面白かつた。歴史に関する本としても、副題にある「点と点が線になる」まではいかなくても、因果関係が説明されるので流れとして摑める。が、やつぱり網野善彦の「日本の歴史をよみなおす」の驚きには及ばない。
2008-12-17
2008-12-16
172.貨客船殺人事件
鮎川哲也・光文社文庫(used)
読者に挑戦する犯人当ての短篇集。9篇。ちよつと時代的な古さを感じた。「黒いトランク」のうがよつぽど古いんだけど、なぜだらう。一番古いのが昭和42年、新しいのが昭和59年、ほかは昭和45年が4篇、46年1篇、47年1篇、不明1といふ具合。因みに全問正解とは行かなかつた。
読者に挑戦する犯人当ての短篇集。9篇。ちよつと時代的な古さを感じた。「黒いトランク」のうがよつぽど古いんだけど、なぜだらう。一番古いのが昭和42年、新しいのが昭和59年、ほかは昭和45年が4篇、46年1篇、47年1篇、不明1といふ具合。因みに全問正解とは行かなかつた。
2008-12-14
171.文学的商品学
斎藤美奈子・文春文庫(used)
小説以外のものが読みたくなつて、立ち読みしてたら面白さうだつたのは、「第2章ファッション音痴の風俗小説」の中で渡辺淳一の「失楽園」と丸谷才一の「女ざかり」を取り上げてゐたからで、渡辺淳一の本は一冊も読んだことがないのでなんとも言へないが、丸谷才一はたぶん「裏声で歌へ君が代」だつたと思ふんだけど、確か主人公の男がエレベーターを逆走するシーンで始まつて、そのときの服装をいかにも美術商(だつたかなあ、あとで調べて置かう)らしいセンスのいい服、みたいな説明が地の文にあり、思はず「どこが」と突つ込みを入れたくなつたのだが、ストーリーとか登場人物よりも余計な些細なことにばかりに気になるタチなので、アプローチが面白くて楽しめた。
小説以外のものが読みたくなつて、立ち読みしてたら面白さうだつたのは、「第2章ファッション音痴の風俗小説」の中で渡辺淳一の「失楽園」と丸谷才一の「女ざかり」を取り上げてゐたからで、渡辺淳一の本は一冊も読んだことがないのでなんとも言へないが、丸谷才一はたぶん「裏声で歌へ君が代」だつたと思ふんだけど、確か主人公の男がエレベーターを逆走するシーンで始まつて、そのときの服装をいかにも美術商(だつたかなあ、あとで調べて置かう)らしいセンスのいい服、みたいな説明が地の文にあり、思はず「どこが」と突つ込みを入れたくなつたのだが、ストーリーとか登場人物よりも余計な些細なことにばかりに気になるタチなので、アプローチが面白くて楽しめた。
2008-12-12
2008-12-10
170.らせん
鈴木光司・角川ホラー文庫(used)
正に「リング」の続篇。かうした○部作ものは、単独では読めないものなのかどうか。少なくともこれは前作の内容をしつかり引き継いでゐるから、いきなりこれを読んだら入つて行けなかつたらう。「リング」よりも話の展開はゆつくりしてゐる。DNAによる再生のネタは映画「ジェラシック・パーク」がさうだつたが、これには原作があつて先日亡くなつたマイクル・クライトンで、どつちが先なんだらう。仕掛けは面白い。「パラサイト・イヴ」みたいに科学用語が頻出するからSF的でもあり、謎解きの要素もあるからミステリ的でもある。ホラーとも、ファンタジーとも読めるから、ジャンルを超えた、と称されてゐるのだが、どうも奇想天外なストーリー展開に寄り掛かり過ぎてゐる気がして、確かに面白いんだけどいま一つ小説を読んだといふ満足感がない。さらに「ループ」があつて、それが完結篇であるといふのだが、もういいかな。重箱の隅を一つ。P14死亡推定時刻が11時49分と正確なのはなぜか、と高野舞が呼ばれるが、その説明がないこと。と、安藤医師はスケベ過ぎないか?
正に「リング」の続篇。かうした○部作ものは、単独では読めないものなのかどうか。少なくともこれは前作の内容をしつかり引き継いでゐるから、いきなりこれを読んだら入つて行けなかつたらう。「リング」よりも話の展開はゆつくりしてゐる。DNAによる再生のネタは映画「ジェラシック・パーク」がさうだつたが、これには原作があつて先日亡くなつたマイクル・クライトンで、どつちが先なんだらう。仕掛けは面白い。「パラサイト・イヴ」みたいに科学用語が頻出するからSF的でもあり、謎解きの要素もあるからミステリ的でもある。ホラーとも、ファンタジーとも読めるから、ジャンルを超えた、と称されてゐるのだが、どうも奇想天外なストーリー展開に寄り掛かり過ぎてゐる気がして、確かに面白いんだけどいま一つ小説を読んだといふ満足感がない。さらに「ループ」があつて、それが完結篇であるといふのだが、もういいかな。重箱の隅を一つ。P14死亡推定時刻が11時49分と正確なのはなぜか、と高野舞が呼ばれるが、その説明がないこと。と、安藤医師はスケベ過ぎないか?
2008-12-05
169.リング
鈴木光司・角川ホラー文庫(used)
1991年に刊行されたものだといふから、17年まへ。ベストセラーは手が出し難いタチなので、いまさら読んだ。「らせん」も一緒に買つたから、続けて読むつもりだ。VHSかDVDのレンタルで映像のはうを見てゐるが、内容はよく覚えてゐないのだ。凡そ一週間の物語なのである。そのせゐかひどく慌ただしい。第二章まで読んでも怖さが物足りないので、ホラーとしてよりも、ひたすら動きまくる浅川と高山のアクションものとして読んだ。後ろのカバーに「ホラー小説の金字塔」とあるし、解説でも絶賛されてゐるのだが、どこがそんなに凄いのか解らない。重箱の隅を三つ。1.三浦記念館での貞子の特定が簡単すぎないか。次に進むには、ここで判明してないと都合が悪いんだらうけど。2.P249の1行目、長尾医院の看護婦の名前がいきなり「藤村」と出て来る。P246から登場してゐて、そこでは看護婦としか書かれてないのに。このあとで長尾医師が名前を呼ぶことになるから、ここでとつぜん名前が付いたのだらうか。3.P288、といふより第四章、最終章の冒頭、浅川が眼鏡をかけてゐることが漸く解る。近眼なのか、乱視なのかどうかは判断できないが。ここから遡り、浅川が眼鏡使用でないと困ることがあるのだらうか、と読み返すのも一興かと思つたが、億劫なので止めた。序でにP274で高山がベンチプレス120kgだといふ説明が入るのだが、なんで?
1991年に刊行されたものだといふから、17年まへ。ベストセラーは手が出し難いタチなので、いまさら読んだ。「らせん」も一緒に買つたから、続けて読むつもりだ。VHSかDVDのレンタルで映像のはうを見てゐるが、内容はよく覚えてゐないのだ。凡そ一週間の物語なのである。そのせゐかひどく慌ただしい。第二章まで読んでも怖さが物足りないので、ホラーとしてよりも、ひたすら動きまくる浅川と高山のアクションものとして読んだ。後ろのカバーに「ホラー小説の金字塔」とあるし、解説でも絶賛されてゐるのだが、どこがそんなに凄いのか解らない。重箱の隅を三つ。1.三浦記念館での貞子の特定が簡単すぎないか。次に進むには、ここで判明してないと都合が悪いんだらうけど。2.P249の1行目、長尾医院の看護婦の名前がいきなり「藤村」と出て来る。P246から登場してゐて、そこでは看護婦としか書かれてないのに。このあとで長尾医師が名前を呼ぶことになるから、ここでとつぜん名前が付いたのだらうか。3.P288、といふより第四章、最終章の冒頭、浅川が眼鏡をかけてゐることが漸く解る。近眼なのか、乱視なのかどうかは判断できないが。ここから遡り、浅川が眼鏡使用でないと困ることがあるのだらうか、と読み返すのも一興かと思つたが、億劫なので止めた。序でにP274で高山がベンチプレス120kgだといふ説明が入るのだが、なんで?
2008-12-01
168.どこかの事件
星新一・新潮文庫(used)
いやあ、ずゐぶん久し振りの星新一。中高生の頃によく読んだものだ。それ以来。懐かしかつた。ミステリー風の21の話が入つてる。発想の転換が素晴らしい。「その女」はその典型。「ポケットの妖精」は落語みたいなオチがある。買つて直ぐ1/3くらゐ読み、半月くらゐまへに半分ほど読み進んでゐたもの。
いやあ、ずゐぶん久し振りの星新一。中高生の頃によく読んだものだ。それ以来。懐かしかつた。ミステリー風の21の話が入つてる。発想の転換が素晴らしい。「その女」はその典型。「ポケットの妖精」は落語みたいなオチがある。買つて直ぐ1/3くらゐ読み、半月くらゐまへに半分ほど読み進んでゐたもの。
2008-11-30
2008-11-29
166.二度のお別れ
黒川博行・創元推理文庫(used)
いまのところ安心して読める人。これがデビュー作。「てとろどときしん」で探偵役だつた大阪府警のクロマメコンビのデビュー作でもある。これも間違ひなく楽しめた。長さもちやうどいい。一気に読める。後半のテンポの速い展開は緊張感もあつて、ちよつとハードボイルド的でもあつた。が、この終りかたは物足りない。クロマメコンビに解決させてほしかつた。この2人、華がない、といふ理由でサントリーミステリー大賞で佳作になつたさうだ。変な理由。
いまのところ安心して読める人。これがデビュー作。「てとろどときしん」で探偵役だつた大阪府警のクロマメコンビのデビュー作でもある。これも間違ひなく楽しめた。長さもちやうどいい。一気に読める。後半のテンポの速い展開は緊張感もあつて、ちよつとハードボイルド的でもあつた。が、この終りかたは物足りない。クロマメコンビに解決させてほしかつた。この2人、華がない、といふ理由でサントリーミステリー大賞で佳作になつたさうだ。変な理由。
2008-11-27
165.空飛ぶ馬
北村薫・創元推理文庫(used)
どうも苦手な文章で、ペダンチックなところはまあOKなんだけど、通ぶつてる感じがするんだなあ。学のない僻みもあるが。解説にもあるし、評判通りの日常生活の中にある謎を見事に解決するところは面白いのだが、地の文がどうにもイヤだ。母を母上と呼ぶが、父は父。女子大生言葉的だといふことか、「けれど」の連発。5篇それぞれ工夫がある。「胡桃の中の鳥」は纏まりがない印象。「赤頭巾」が一番面白かつた。これはシリーズになつてゐて、「夜の蝉」が日本推理作家協会賞を受賞してゐる。これはデビュー作品集。これだけで充分かな。
どうも苦手な文章で、ペダンチックなところはまあOKなんだけど、通ぶつてる感じがするんだなあ。学のない僻みもあるが。解説にもあるし、評判通りの日常生活の中にある謎を見事に解決するところは面白いのだが、地の文がどうにもイヤだ。母を母上と呼ぶが、父は父。女子大生言葉的だといふことか、「けれど」の連発。5篇それぞれ工夫がある。「胡桃の中の鳥」は纏まりがない印象。「赤頭巾」が一番面白かつた。これはシリーズになつてゐて、「夜の蝉」が日本推理作家協会賞を受賞してゐる。これはデビュー作品集。これだけで充分かな。
2008-11-24
164.カウント・プラン
黒川博行・文春文庫(used)
ちよつと前に「てとろどきしん」を読んで面白かつたので、買つてみた。最初の「カウント・プラン」を読みをへて思はず「すばらしい」と書き込みをしてしまつたくらゐだ。全部で5作品。どれも工夫があつて充分楽しめた。読みをはるのが惜しかつた。もつと読みたい。「カウント・プラン」が日本推理作家協会賞短篇賞を受けたさうだが、当然だらう。「オーバー・ザ・レインボー」も好きだな。解説は東野圭吾。
ちよつと前に「てとろどきしん」を読んで面白かつたので、買つてみた。最初の「カウント・プラン」を読みをへて思はず「すばらしい」と書き込みをしてしまつたくらゐだ。全部で5作品。どれも工夫があつて充分楽しめた。読みをはるのが惜しかつた。もつと読みたい。「カウント・プラン」が日本推理作家協会賞短篇賞を受けたさうだが、当然だらう。「オーバー・ザ・レインボー」も好きだな。解説は東野圭吾。
2008-11-17
ひぐらしのなく頃に(第一話 鬼隠し篇 上・下)
竜騎士07・講談社BOX
息子から、読んでみる?と手渡されて、半年過ぎてしまつた。借りたときにパラパラと見た限りでは、とても読めない本だつた。これは正にゲームだね。主人公や主な登場人物の年齢さへも不明だ。このラストから遡れば、物語は成り立たない。しかも第一話ではなにも解決しないのだ。この文章がどうにかならないと、次を読む気にならない、悪いけど。ここには前提になつてゐるものがある。その部分の説明が一切ない。それは想像力ではどうにも補えないものなんだよ。←第一章しか読んでないので、冊数から外した(2015.07.08)
息子から、読んでみる?と手渡されて、半年過ぎてしまつた。借りたときにパラパラと見た限りでは、とても読めない本だつた。これは正にゲームだね。主人公や主な登場人物の年齢さへも不明だ。このラストから遡れば、物語は成り立たない。しかも第一話ではなにも解決しないのだ。この文章がどうにかならないと、次を読む気にならない、悪いけど。ここには前提になつてゐるものがある。その部分の説明が一切ない。それは想像力ではどうにも補えないものなんだよ。←第一章しか読んでないので、冊数から外した(2015.07.08)
2008-11-11
163.煙か土か食い物
舞城王太郎・講談社NOVELS(used)
題名について一言。煙が土か○○か食い物、といふ風に、もう一つ入つたはうがオレはリズムが取り易い。余計なことだが。内容について。苦手だ。かうしたハードボイルド寄りの、暴力だの、グロテスクな描写が多い読み物をノワールと称するのかどうか知らないが、主な登場人物の熱い言ひまはしの台詞が空回りして聞こえる。なにかの賞の選評で、石原慎太郎と宮本輝がクレームをつけ、池沢夏樹と山田詠美が推したといふ理由もなんとなく理解出来る。これだけでたくさんだね。世代が違ふ気がした。詰まらないとは言はないが、ほかにも読みたいとは思はない。
題名について一言。煙が土か○○か食い物、といふ風に、もう一つ入つたはうがオレはリズムが取り易い。余計なことだが。内容について。苦手だ。かうしたハードボイルド寄りの、暴力だの、グロテスクな描写が多い読み物をノワールと称するのかどうか知らないが、主な登場人物の熱い言ひまはしの台詞が空回りして聞こえる。なにかの賞の選評で、石原慎太郎と宮本輝がクレームをつけ、池沢夏樹と山田詠美が推したといふ理由もなんとなく理解出来る。これだけでたくさんだね。世代が違ふ気がした。詰まらないとは言はないが、ほかにも読みたいとは思はない。
2008-11-03
162.無名仮名人名簿
向田邦子・文春文庫(used)
読んだことがあるかもしれないな、と思ひつつ買つた。半分をちよつと過ぎた辺りの「目をつぶる」といふ章の途中で、この話は読んだ気がする、と思つた。誰かの引用かもしれない。他にはさういふ箇所はなかつたので再読扱ひはしなかつた。端正な人だな、と感じた。「思ひ出トランプ」は読んでゐる。そして勿論「時間ですよ」、「寺内貫太郎一家」は見てゐた。直木賞を受賞した翌年、1981年に航空機事故での亡くなつたことは記憶にある。享年51歳。抜いちやつたなあ。世代はずゐぶん離れてゐるのに(向田邦子は1929年生まれ)、生活感はそれほど離れてゐる気がしないのだが、ご不浄はさすがに古く感じた。
読んだことがあるかもしれないな、と思ひつつ買つた。半分をちよつと過ぎた辺りの「目をつぶる」といふ章の途中で、この話は読んだ気がする、と思つた。誰かの引用かもしれない。他にはさういふ箇所はなかつたので再読扱ひはしなかつた。端正な人だな、と感じた。「思ひ出トランプ」は読んでゐる。そして勿論「時間ですよ」、「寺内貫太郎一家」は見てゐた。直木賞を受賞した翌年、1981年に航空機事故での亡くなつたことは記憶にある。享年51歳。抜いちやつたなあ。世代はずゐぶん離れてゐるのに(向田邦子は1929年生まれ)、生活感はそれほど離れてゐる気がしないのだが、ご不浄はさすがに古く感じた。
2008-10-31
161.てとろどときしん
黒川博行・講談社文庫(used)
サントリー・ミステリー大賞を受賞してデビューしたばかりの頃の短篇だといふ。大阪弁の会話の面白さは二の次だと言つてもいい。構成がよく出来てゐて、不自然さを感じた箇所がなかつた。大阪弁がイヤでなければお薦め本。一つだけ。これはホントに個人的な理由であつて、この本の面白さとは一切関係ない。「指輪が言つた」の動機の部分。殺したいと思ふ、それは尤もな動機なのだが、子どもが絡むのは辛いので、題材として扱つてほしくなかつた。
サントリー・ミステリー大賞を受賞してデビューしたばかりの頃の短篇だといふ。大阪弁の会話の面白さは二の次だと言つてもいい。構成がよく出来てゐて、不自然さを感じた箇所がなかつた。大阪弁がイヤでなければお薦め本。一つだけ。これはホントに個人的な理由であつて、この本の面白さとは一切関係ない。「指輪が言つた」の動機の部分。殺したいと思ふ、それは尤もな動機なのだが、子どもが絡むのは辛いので、題材として扱つてほしくなかつた。
2008-10-17
160.検死官
パトリシア・コーンウェル/相原真理子訳・講談社文庫(used)
500頁もあつて、しかも文字も最近の文庫よりも小さいから、ホントに長い。でも、最後まで引つ張られる。なかなか面白かつた。或る重要な人物に疑惑が向きさうになる。さう思はせるよう誘導して、……実は。意外な犯人なのは確かだが、犯人探しのミステリーではない。警察内部の話、検死官を巡る組織の話など、組織と人間関係に力点があるやうだ。謎そのものを前面にしたら短篇にしたはうが面白いかも。検死に関する説明やコンピュータの説明などは頭に入らなかつた。因みにパトリシア・コーンウェルつて、オレと同い年なんだよね。オレのはうが学年で一つ上、確か。関係ないけど。
500頁もあつて、しかも文字も最近の文庫よりも小さいから、ホントに長い。でも、最後まで引つ張られる。なかなか面白かつた。或る重要な人物に疑惑が向きさうになる。さう思はせるよう誘導して、……実は。意外な犯人なのは確かだが、犯人探しのミステリーではない。警察内部の話、検死官を巡る組織の話など、組織と人間関係に力点があるやうだ。謎そのものを前面にしたら短篇にしたはうが面白いかも。検死に関する説明やコンピュータの説明などは頭に入らなかつた。因みにパトリシア・コーンウェルつて、オレと同い年なんだよね。オレのはうが学年で一つ上、確か。関係ないけど。
2008-10-13
2008-10-10
158.天童駒殺人事件
中町信・徳間文庫(used)
久し振りの中町信だ。2月の「三幕の殺意」以来。奥さんの早苗が強引な推理で引つ掻き回す氏家周一郎シリーズなので、買ふときちよつと躊躇つたのは事実だ。幾人かの容疑者たちを相手に不用意に推理を披瀝する。それが原因で疑惑を逸らさうとした真犯人が次の殺人を引き起こしたりもする。読者を誘導する仕掛けが実はそのまま登場人物まで巻き込んで殺人が増えてしまふ、みたいな。死ななくてもいい人が仕掛けのために死んで行く、といふか。まあ、中町信はリアリティよりもゲーム的な面白さだね。だから、ズルい、といふ見方も当然出るでせう。これに出て来るダイイング・メッセージの扱ひも、解明するのが遅過ぎる。……と、文句を言ひつつも、買つてしまふのは一種の中毒だな。
久し振りの中町信だ。2月の「三幕の殺意」以来。奥さんの早苗が強引な推理で引つ掻き回す氏家周一郎シリーズなので、買ふときちよつと躊躇つたのは事実だ。幾人かの容疑者たちを相手に不用意に推理を披瀝する。それが原因で疑惑を逸らさうとした真犯人が次の殺人を引き起こしたりもする。読者を誘導する仕掛けが実はそのまま登場人物まで巻き込んで殺人が増えてしまふ、みたいな。死ななくてもいい人が仕掛けのために死んで行く、といふか。まあ、中町信はリアリティよりもゲーム的な面白さだね。だから、ズルい、といふ見方も当然出るでせう。これに出て来るダイイング・メッセージの扱ひも、解明するのが遅過ぎる。……と、文句を言ひつつも、買つてしまふのは一種の中毒だな。
2008-10-05
157.名古屋人の真実
三遊亭円丈・朝日文庫(used)
だいぶまへに名古屋の喫茶店の話を東海林さだおのナントカの丸かぢりで読んだことがある。モーニングセットで腹一杯みたいな話だつたが、この本ではちよつと控へ目に書かれてゐる。どつちが本当か確かめたい気がする。円丈と言へば「御乱心」。あれに出て来る志ん朝はいい。円楽に対する不信感、反感は読後いまでも消えない。話が逸れてる。これは名古屋弁と名古屋の食べ物の話だ。たまに、クックッ、と堪へきれずに笑つてしまふ。さういふところは大抵、落語風にデフォルメしたり、語呂合せしたりの部分と、オレの子どもの頃の食生活に近い話が出たところ。円丈師匠は昭和19年生まれ、こつちは昭和31年生まれで、一回りも開きがあるのに食糧事情が似てるのには驚きだ。名古屋に比べると渋川はずゐぶんと田舎なんだなあ。
だいぶまへに名古屋の喫茶店の話を東海林さだおのナントカの丸かぢりで読んだことがある。モーニングセットで腹一杯みたいな話だつたが、この本ではちよつと控へ目に書かれてゐる。どつちが本当か確かめたい気がする。円丈と言へば「御乱心」。あれに出て来る志ん朝はいい。円楽に対する不信感、反感は読後いまでも消えない。話が逸れてる。これは名古屋弁と名古屋の食べ物の話だ。たまに、クックッ、と堪へきれずに笑つてしまふ。さういふところは大抵、落語風にデフォルメしたり、語呂合せしたりの部分と、オレの子どもの頃の食生活に近い話が出たところ。円丈師匠は昭和19年生まれ、こつちは昭和31年生まれで、一回りも開きがあるのに食糧事情が似てるのには驚きだ。名古屋に比べると渋川はずゐぶんと田舎なんだなあ。
2008-09-27
156.イッセー尾形の人生カタログ
イッセー尾形・朝日文庫(used)
これは面白かつた。一人芝居よりももつと短くて、ちよつとした場面のやうで、状況説明が足りないのに、なんとなく頷ける。全部で51篇。一年52週だから、暮れから正月はお休みだつたのかなあ。まつたく本を読む気にならない、ここ一箇月のあひだ、日に二つ、三つと読み継いで来た。星新一や都筑道夫のショートショートとは違ふ面白さ。それは例へば、落語の小咄的なオチがないものが殆どだ。この先一体どうなる、といふところで読み手は放り出されてしまふ。筋なんか二の次。状況設定と人物重視。一人芝居に似てる。
これは面白かつた。一人芝居よりももつと短くて、ちよつとした場面のやうで、状況説明が足りないのに、なんとなく頷ける。全部で51篇。一年52週だから、暮れから正月はお休みだつたのかなあ。まつたく本を読む気にならない、ここ一箇月のあひだ、日に二つ、三つと読み継いで来た。星新一や都筑道夫のショートショートとは違ふ面白さ。それは例へば、落語の小咄的なオチがないものが殆どだ。この先一体どうなる、といふところで読み手は放り出されてしまふ。筋なんか二の次。状況設定と人物重視。一人芝居に似てる。
2008-09-24
155.パラサイト・イヴ
瀬名秀明・角川書店(used)
1995年の第2回日本ホラー小説大賞に選ばれ、ベストセラーになつたと記憶してゐる。第4回の大賞が貴志祐介の「黒い家」で、これは読んだし、映画にもなつたのでDVDで見てもゐるが、こつちはなかなか読む気にならなかつた。BookOffで、105円の単行本で目立つ汚れもなく状態がよかつたから、つい買てしまつたが、買つてからも、なかなか読む気にならなかつた。カバーの絵が気味が悪かつたこと、プロローグを読んでも、ちつとも興味が湧かない。一箇月放置してゐた。それがちやうどなにも読めない状態と重なる。カバーを外して読んだ。発想はびつくりする。ミトコンドリアなんて中学の理科で習つて、辛うじて名前を知つてるだけ。第三部に入り、300頁を過ぎた頃から章の括りが短くなり、テンポが早くなる。14で文章実験みたいなところが出て来る。23にもある。が、果たして効果的かどうかは疑問。ずるり、どろり、ぎくり、にこり、ごきり、ゆるり、にやり、ぐにやり、ぶくり、びしり、かういふ「○○り」がお気に入りなのか、終盤のクライマックスでたくさん出て来て閉口した。本の最後に選評があり、絶賛されてゐるけれど、ホラー映画には確かにグロテスクなシーンはあるし、汚いと感じる場面もあるが、それを踏まへても、汚いと感じる場面があつた。また、怖さといふ点では期待してゐたものとだいぶ質が違ふ。
1995年の第2回日本ホラー小説大賞に選ばれ、ベストセラーになつたと記憶してゐる。第4回の大賞が貴志祐介の「黒い家」で、これは読んだし、映画にもなつたのでDVDで見てもゐるが、こつちはなかなか読む気にならなかつた。BookOffで、105円の単行本で目立つ汚れもなく状態がよかつたから、つい買てしまつたが、買つてからも、なかなか読む気にならなかつた。カバーの絵が気味が悪かつたこと、プロローグを読んでも、ちつとも興味が湧かない。一箇月放置してゐた。それがちやうどなにも読めない状態と重なる。カバーを外して読んだ。発想はびつくりする。ミトコンドリアなんて中学の理科で習つて、辛うじて名前を知つてるだけ。第三部に入り、300頁を過ぎた頃から章の括りが短くなり、テンポが早くなる。14で文章実験みたいなところが出て来る。23にもある。が、果たして効果的かどうかは疑問。ずるり、どろり、ぎくり、にこり、ごきり、ゆるり、にやり、ぐにやり、ぶくり、びしり、かういふ「○○り」がお気に入りなのか、終盤のクライマックスでたくさん出て来て閉口した。本の最後に選評があり、絶賛されてゐるけれど、ホラー映画には確かにグロテスクなシーンはあるし、汚いと感じる場面もあるが、それを踏まへても、汚いと感じる場面があつた。また、怖さといふ点では期待してゐたものとだいぶ質が違ふ。
2008-09-15
153.154.自虐の詩(上・下)
業田良家・竹書房文庫(used)
ほぼ一箇月、まともに一冊読み通すことができなかつた。PHP文庫から出てゐる相対性理論や量子論のダイジェスト解説本を読み直したり、幾つかの小説を拾ひ読みしたりしてゐた。これは二箇月まへに渋川のBookOffで奇麗な状態であつたのを見つけてほしくなつた。買つて直ぐに上巻を1/3くらゐ読んだところで、ひよつとするとこれは集中的に読まないとホントの面白さが解らないぞ、と直感した。休みのまへの晩から読み出し、一気に読んだ。下巻になつて熊本さんが登場するところから、更に面白くなる。森田幸江の過去が、葉山イサオとの馴れ初めと絡んで語られる。ストーリーマンガだよ。なのに、4コマ。なのにストーリーが展開して、感動的な結末。人生を感じる。絵もときどきシュールで、よい。画面の白さが、よい。もつと語りたいけれども、知ればそれだけ感動が薄くなるやうな気がする。ミステリーの結末みたいなものだ。
ほぼ一箇月、まともに一冊読み通すことができなかつた。PHP文庫から出てゐる相対性理論や量子論のダイジェスト解説本を読み直したり、幾つかの小説を拾ひ読みしたりしてゐた。これは二箇月まへに渋川のBookOffで奇麗な状態であつたのを見つけてほしくなつた。買つて直ぐに上巻を1/3くらゐ読んだところで、ひよつとするとこれは集中的に読まないとホントの面白さが解らないぞ、と直感した。休みのまへの晩から読み出し、一気に読んだ。下巻になつて熊本さんが登場するところから、更に面白くなる。森田幸江の過去が、葉山イサオとの馴れ初めと絡んで語られる。ストーリーマンガだよ。なのに、4コマ。なのにストーリーが展開して、感動的な結末。人生を感じる。絵もときどきシュールで、よい。画面の白さが、よい。もつと語りたいけれども、知ればそれだけ感動が薄くなるやうな気がする。ミステリーの結末みたいなものだ。
2008-08-13
2008-07-20
151.ぼくが愛したゴウスト
打海文三・中央公論新社(used)
11歳の「ぼく」がコンサートの帰りに駅のホームで事故に出くはす。それからをかしなことになつて、心を持たず、尻尾のある、イオウのにをひの体臭を持つ人間の住む世界に移動してしまつた、のか、パラレル・ワールドの話なのか、或は量子論的な幻影なのかといふ、設定が不思議でなかなか面白く読んだ。一つだけ。一枝あぐりはなぜ田之上翔太を逃がさうとしたのか、そのあたりは説明がないので、強引ではないか、といふ気もした。
11歳の「ぼく」がコンサートの帰りに駅のホームで事故に出くはす。それからをかしなことになつて、心を持たず、尻尾のある、イオウのにをひの体臭を持つ人間の住む世界に移動してしまつた、のか、パラレル・ワールドの話なのか、或は量子論的な幻影なのかといふ、設定が不思議でなかなか面白く読んだ。一つだけ。一枝あぐりはなぜ田之上翔太を逃がさうとしたのか、そのあたりは説明がないので、強引ではないか、といふ気もした。
2008-07-07
150.13階段
高野和明・講談社文庫(used)
江戸川乱歩賞受賞作。解説は宮部みゆきで、かなり褒めてる。けれども、どうなんだらうなあ、ミステリとして。文章は上手いと思ふ。すらすら読めるし、意味がよく解る。この題名、これでホントにいいんだらうか。寺の階段が13段。どこの寺もさうなら、なるほど。死刑囚・樹原亮の人物像がまるで見えない。南郷と三上がここまで入れ込む理由が弱い。10年前の三上の事件についても不自然な感じ、こじつけみたいに感じる。意外な犯人、アリバイ・トリックとは縁がない。いろいろケチを付けたけれども、間違ひなく面白い。蛇足、なんといふ偶然か、13113といふ数字の並び。
江戸川乱歩賞受賞作。解説は宮部みゆきで、かなり褒めてる。けれども、どうなんだらうなあ、ミステリとして。文章は上手いと思ふ。すらすら読めるし、意味がよく解る。この題名、これでホントにいいんだらうか。寺の階段が13段。どこの寺もさうなら、なるほど。死刑囚・樹原亮の人物像がまるで見えない。南郷と三上がここまで入れ込む理由が弱い。10年前の三上の事件についても不自然な感じ、こじつけみたいに感じる。意外な犯人、アリバイ・トリックとは縁がない。いろいろケチを付けたけれども、間違ひなく面白い。蛇足、なんといふ偶然か、13113といふ数字の並び。
2008-06-30
黄色い部屋はいかに改装されたか?(再読)
都筑道夫・晶文社
これは植草甚一の「雨降りだからミステリーでも勉強しよう」と一緒に本棚の直ぐ手の届くところに置いてある。改めて最初から読み直すことは余りないが、時々捲つてゐる。始めから読み直したのは、ミステリについて、もう一度勉強しようと思つたからだ。P35真ん中辺り「いちばん理想的な犯罪は、それが犯罪に見えないことでしょう。殺人の場合は、ことにそうです。だからこそ、冷静に計画するはずなのに、捜査側の動きを予想して、アリバイを偽造したりする。自分が疑われるような可能性があれば、その計画は変更されるべきでしょう」まつたくその通りなんだが、それではミステリそのものを否定しかねない。犯罪小説になつてしまふ。作者が提出した謎を探偵役がどうやつて解明するか、その面白さなのだ。その推理の道筋が納得できるかどうか。都筑さんもおなじやうなことを言つてると思ひますよ。
これは植草甚一の「雨降りだからミステリーでも勉強しよう」と一緒に本棚の直ぐ手の届くところに置いてある。改めて最初から読み直すことは余りないが、時々捲つてゐる。始めから読み直したのは、ミステリについて、もう一度勉強しようと思つたからだ。P35真ん中辺り「いちばん理想的な犯罪は、それが犯罪に見えないことでしょう。殺人の場合は、ことにそうです。だからこそ、冷静に計画するはずなのに、捜査側の動きを予想して、アリバイを偽造したりする。自分が疑われるような可能性があれば、その計画は変更されるべきでしょう」まつたくその通りなんだが、それではミステリそのものを否定しかねない。犯罪小説になつてしまふ。作者が提出した謎を探偵役がどうやつて解明するか、その面白さなのだ。その推理の道筋が納得できるかどうか。都筑さんもおなじやうなことを言つてると思ひますよ。
2008-06-28
149.親不孝通りディテクティブ
北森鴻・講談社文庫(used)
初めて聞く名前だつたが、第6回鮎川哲也賞受賞者だといふ。舞台は博多で、設定に工夫があるハードボイルドの連作短篇。面白く読んだ。ま、ハードボイルドは括りとしてはミステリだから。気づいた誤植。P80最後の行「あんたに気持ちのいい人はいませんよ」は「あんなに」ではないか。蛇足ながら、第一話の「セヴンス・ヘヴン」の季節が解らない。P18「この季節である」と書かれてゐて、死臭の話が出るから寒い時期ではないにしても。
初めて聞く名前だつたが、第6回鮎川哲也賞受賞者だといふ。舞台は博多で、設定に工夫があるハードボイルドの連作短篇。面白く読んだ。ま、ハードボイルドは括りとしてはミステリだから。気づいた誤植。P80最後の行「あんたに気持ちのいい人はいませんよ」は「あんなに」ではないか。蛇足ながら、第一話の「セヴンス・ヘヴン」の季節が解らない。P18「この季節である」と書かれてゐて、死臭の話が出るから寒い時期ではないにしても。
2008-06-26
148.裁判長!ここは懲役4年でどうすか
北尾トロ・文春文庫(used)
こんなにも易々と裁判所、更には法廷に入ることができ、裁判を傍聴することもできるとは知らなかつた。裁判が神聖なものであつても、けして茶化してはならないとは思はないが、それでも不謹慎だと感じる発言がある。もちろん理不尽なものへの憤りもあるが、野次馬の裁判観察記録として読むはうがいい。本文中にタイトルと同じ発言が出て来るかのやうに、この文庫の解説やAmazonのレビューには書いてあるのだが、強いて挙げれば、P154の5行目に「判決は実刑3年でどうだ」とあるのには気がついたけれども、オレには見つからなかつた。
こんなにも易々と裁判所、更には法廷に入ることができ、裁判を傍聴することもできるとは知らなかつた。裁判が神聖なものであつても、けして茶化してはならないとは思はないが、それでも不謹慎だと感じる発言がある。もちろん理不尽なものへの憤りもあるが、野次馬の裁判観察記録として読むはうがいい。本文中にタイトルと同じ発言が出て来るかのやうに、この文庫の解説やAmazonのレビューには書いてあるのだが、強いて挙げれば、P154の5行目に「判決は実刑3年でどうだ」とあるのには気がついたけれども、オレには見つからなかつた。
2008-06-17
147.タイムクエイク
カート・ヴェネガット/朝倉久志訳・ハヤカワ文庫
10年間時間がスリップして繰り返すといふ設定がある。その10年間を行つたり来たりする。しかしそれは設定に過ぎない。クスクス笑へるところがたくさんあつて、すらすら読めてしまふ。「猫のゆりかご」や「スローターハウス5」と違つて、物語ははつきりしない。私的な部分がかなりあつて、エッセイみたいに読んだ。これが最後だとプロローグに書いてあつて、確か最近(2007.04.11)亡くなつたので、これがホントに最後の作品になつた。
10年間時間がスリップして繰り返すといふ設定がある。その10年間を行つたり来たりする。しかしそれは設定に過ぎない。クスクス笑へるところがたくさんあつて、すらすら読めてしまふ。「猫のゆりかご」や「スローターハウス5」と違つて、物語ははつきりしない。私的な部分がかなりあつて、エッセイみたいに読んだ。これが最後だとプロローグに書いてあつて、確か最近(2007.04.11)亡くなつたので、これがホントに最後の作品になつた。
2008-06-11
146.苦い娘
打海文三・中公文庫
アーバン・リサーチものはこれで終り。順番どほりではないが、ぜんぶ読んだことになる。おはりのはうで佐竹が出て来る。ウネ子は今回は姿を見せない。かはりにまだ中学三年の姫子が登場する。「されど修羅ゆく君は」のときは13歳だつた。ホリー・コールの「トラスト・イン・ミー」といふ曲が出て来るが「コーリング・ユー」なら知つてるけど、これは知らない。相変らずモテる中年男の話だ。3分の2くらゐ読み進むと、唐突にラスト向けて雪崩れ込んでゆく感じ。その感じは氏の作品凡てに言へるのではないか。やつぱり映画を思はせるところがある。
アーバン・リサーチものはこれで終り。順番どほりではないが、ぜんぶ読んだことになる。おはりのはうで佐竹が出て来る。ウネ子は今回は姿を見せない。かはりにまだ中学三年の姫子が登場する。「されど修羅ゆく君は」のときは13歳だつた。ホリー・コールの「トラスト・イン・ミー」といふ曲が出て来るが「コーリング・ユー」なら知つてるけど、これは知らない。相変らずモテる中年男の話だ。3分の2くらゐ読み進むと、唐突にラスト向けて雪崩れ込んでゆく感じ。その感じは氏の作品凡てに言へるのではないか。やつぱり映画を思はせるところがある。
2008-06-09
145.ハルビン・カフェ
打海文三・角川文庫
大藪春彦賞受賞作で、解説によれば「著者の最高傑作に数えられる」さうだ。一人の著者の最高傑作と言へるものを数えることが出来るのか、といふ素朴な疑問は忘れよう。原宏司の「集落の教え100」からの引用があるが、未読の本で先づこれがよく意味が解らない。なにかを象徴してゐるかのやうな、別の意味を持たせた文章である。内容との関連は読み取れなかつた。多くの人物が登場するので、時間の経過、何年に何があつたのかをメモしながら読み始めたが途中から放棄した。時系列的な展開は二次的なものらしかつたから。Pと呼ばれる組織の発生とその後の活動、警察内の刑事、公安、監察などの力関係、韓国、中国、ロシアのマフィアの動きなど、一度には呑み込めなかつたが、洪孝賢を中心にした人物たちとその謎解き、小久保仁をめぐる人間たちの絡みは面白く読めた。短いシーンの集積で、内容だけでなく映画的な印象がある。尤もそれはこれまで読んで来た打海文三の凡ての作品について言へることで、勿論それは氏が映画からスタートしたことと関係してるだらう。
敢へてここで言ふこともないのだが、警察をめぐる小説は実はあまり好きではない。警察内の権力闘争は政治家のそれよりも腐臭がする。臭いものには蓋、ではなくて、吉田健一が言ふ「人が裸になつた時」のやうな「見るに堪へないのであるよりも見るべきではない」ものは見ないでよいといふ意味で、見るべきではないものを過大に評価して「深淵が覗いてゐると思つたり」しないといふ意味のつもりである。なんでも暴いて裸にするのは野蛮だ、と。
気取るな、と言はれるかもしれないが。
大藪春彦賞受賞作で、解説によれば「著者の最高傑作に数えられる」さうだ。一人の著者の最高傑作と言へるものを数えることが出来るのか、といふ素朴な疑問は忘れよう。原宏司の「集落の教え100」からの引用があるが、未読の本で先づこれがよく意味が解らない。なにかを象徴してゐるかのやうな、別の意味を持たせた文章である。内容との関連は読み取れなかつた。多くの人物が登場するので、時間の経過、何年に何があつたのかをメモしながら読み始めたが途中から放棄した。時系列的な展開は二次的なものらしかつたから。Pと呼ばれる組織の発生とその後の活動、警察内の刑事、公安、監察などの力関係、韓国、中国、ロシアのマフィアの動きなど、一度には呑み込めなかつたが、洪孝賢を中心にした人物たちとその謎解き、小久保仁をめぐる人間たちの絡みは面白く読めた。短いシーンの集積で、内容だけでなく映画的な印象がある。尤もそれはこれまで読んで来た打海文三の凡ての作品について言へることで、勿論それは氏が映画からスタートしたことと関係してるだらう。
敢へてここで言ふこともないのだが、警察をめぐる小説は実はあまり好きではない。警察内の権力闘争は政治家のそれよりも腐臭がする。臭いものには蓋、ではなくて、吉田健一が言ふ「人が裸になつた時」のやうな「見るに堪へないのであるよりも見るべきではない」ものは見ないでよいといふ意味で、見るべきではないものを過大に評価して「深淵が覗いてゐると思つたり」しないといふ意味のつもりである。なんでも暴いて裸にするのは野蛮だ、と。
気取るな、と言はれるかもしれないが。
2008-06-02
144.ミステリアス学園
鯨統一郎・光文社文庫(used)
次の短篇がまへの短篇を含んだ形で連作になつて行く入れ子構造。最後の「意外な犯人」は余計。入門篇的なミステリ解説が殆どで、あまり面白くない。打海文三が続いてるので箸休めみたいな気持ちで買つて読んだのだが、遊びが多すぎて退屈だつた。
次の短篇がまへの短篇を含んだ形で連作になつて行く入れ子構造。最後の「意外な犯人」は余計。入門篇的なミステリ解説が殆どで、あまり面白くない。打海文三が続いてるので箸休めみたいな気持ちで買つて読んだのだが、遊びが多すぎて退屈だつた。
2008-05-31
143.一九七二年のレイニー・ラウ
打海文三・小学館(used)
これはいづれ文庫になるかも知れないが、単行本ではどこにも置いてゐないのだつた。もちろん、この周辺、地方都市の本屋には。また古本屋にもなかつたのでAmazonで購入。表題作のレイニー・ラウはウネ子だ。作者があとがきで述べてゐることから類推すれば、なかり実体験(予想、空想、妄想を含む)を元に作られたのだらう。尤も私小説のやうにそのまま書いてるといふ意味ではない。アーバン・リサーチものとリンクさせて読むと頷けるところがある。書き方は違ふけれども、人物は近い。
これはいづれ文庫になるかも知れないが、単行本ではどこにも置いてゐないのだつた。もちろん、この周辺、地方都市の本屋には。また古本屋にもなかつたのでAmazonで購入。表題作のレイニー・ラウはウネ子だ。作者があとがきで述べてゐることから類推すれば、なかり実体験(予想、空想、妄想を含む)を元に作られたのだらう。尤も私小説のやうにそのまま書いてるといふ意味ではない。アーバン・リサーチものとリンクさせて読むと頷けるところがある。書き方は違ふけれども、人物は近い。
2008-05-27
142.死亡推定時刻
朔立木・光文社文庫(used)
先づカバーデザインが目を引いて、長尾みのるといふ人かと思つたら、違つた。作者の名前が読み難いのも記憶に残つたし、裏返して「現役の法律家が描くスリリングな冤罪ドラマの傑作」。冤罪であれば読まねばならない。さう思ひつつ、時々書名を忘れたりしながら半年、漸くBookOffで105円で非常に状態のいいのが手に入つた。それが先月の初め。細かい文章の好みは省いて中身について。冤罪がなぜ起るかと言へば、刑事、取調をする人間の先入観、見込みによる自白の強要、自白偏重の裁判だ。殴られて脅されて自白したと言ふ被告がゐて、それを証人喚問で否定する警官がゐると、警官の主張を疑はず採る裁判官や検事がゐるのだから仕方あるまい。ただ、これが小説であるなら、こんな司法の実態の中でせめて一審死刑判決から控訴審一審差戻しから無罪を勝ち取るまで書いてくれなかつたのか。ドキュメンタリーならやむを得ないが、倍の長さになつても容疑者の無実を晴らしてほしかつた。読み物としては面白いが、死刑判決を受けた容疑者の苦悩、弁護士の苦悩も十分に書かれてゐない。誘拐事件としての緊張感も足りない。でも充分面白く読める。
先づカバーデザインが目を引いて、長尾みのるといふ人かと思つたら、違つた。作者の名前が読み難いのも記憶に残つたし、裏返して「現役の法律家が描くスリリングな冤罪ドラマの傑作」。冤罪であれば読まねばならない。さう思ひつつ、時々書名を忘れたりしながら半年、漸くBookOffで105円で非常に状態のいいのが手に入つた。それが先月の初め。細かい文章の好みは省いて中身について。冤罪がなぜ起るかと言へば、刑事、取調をする人間の先入観、見込みによる自白の強要、自白偏重の裁判だ。殴られて脅されて自白したと言ふ被告がゐて、それを証人喚問で否定する警官がゐると、警官の主張を疑はず採る裁判官や検事がゐるのだから仕方あるまい。ただ、これが小説であるなら、こんな司法の実態の中でせめて一審死刑判決から控訴審一審差戻しから無罪を勝ち取るまで書いてくれなかつたのか。ドキュメンタリーならやむを得ないが、倍の長さになつても容疑者の無実を晴らしてほしかつた。読み物としては面白いが、死刑判決を受けた容疑者の苦悩、弁護士の苦悩も十分に書かれてゐない。誘拐事件としての緊張感も足りない。でも充分面白く読める。
2008-05-24
141.そこに薔薇があった
打海文三・中公文庫
初めて読む短篇集で、しかもアーバン・リサーチものではない。ま、アーバン・リサーチものには短篇集はない、……と思ふ。解説では片岡義男風の、と言ふけれども、村上春樹風だと感じた。村上春樹も会話を書くのが上手い。「羊をめぐる冒険」しか読んだことないけど、彼が翻訳したレイモンド・カーヴァーにも似てるかも知れない。7篇入つてゐて、ギリギリまで(気取つた感じで)平穏に進む。最後の最後で奇矯な展開になる。短篇集のはずが実は重複する人物がゐたりする。最後の第7話は、もう一度よく読み直したい。
初めて読む短篇集で、しかもアーバン・リサーチものではない。ま、アーバン・リサーチものには短篇集はない、……と思ふ。解説では片岡義男風の、と言ふけれども、村上春樹風だと感じた。村上春樹も会話を書くのが上手い。「羊をめぐる冒険」しか読んだことないけど、彼が翻訳したレイモンド・カーヴァーにも似てるかも知れない。7篇入つてゐて、ギリギリまで(気取つた感じで)平穏に進む。最後の最後で奇矯な展開になる。短篇集のはずが実は重複する人物がゐたりする。最後の第7話は、もう一度よく読み直したい。
2008-05-23
140.凶眼 EVIL EYE
打海文三・徳間文庫
帯に「追悼」とある。「残された珠玉の名作は、未来の読者をも魅了するだろう」裏に「ご生前のご功績を忍び心からご冥福をお祈り致します」殺人事件があつて、被害者は「きざはし」といふカルト集団の集団自殺後に行方不明になつた子どもたちと五億円の現金の行方を調べてゐた。誰が殺したのか。ミステリーはそれで作品が組み立てられてゐる。しかしハードボイルドはそこに人間が激しく絡んで事件そつちのけになる。メインの探偵役は武井といふ訳ありの中年男。これにも佐竹とウネ子が出て来る。大須といふ人物の残忍な行動、侮辱的な暴力行為は不快だけれども、これはオレには「時には……」の次くらゐにランクインするかな。大泉町と館林がかなり詳しく語られるので苦笑ひ。
帯に「追悼」とある。「残された珠玉の名作は、未来の読者をも魅了するだろう」裏に「ご生前のご功績を忍び心からご冥福をお祈り致します」殺人事件があつて、被害者は「きざはし」といふカルト集団の集団自殺後に行方不明になつた子どもたちと五億円の現金の行方を調べてゐた。誰が殺したのか。ミステリーはそれで作品が組み立てられてゐる。しかしハードボイルドはそこに人間が激しく絡んで事件そつちのけになる。メインの探偵役は武井といふ訳ありの中年男。これにも佐竹とウネ子が出て来る。大須といふ人物の残忍な行動、侮辱的な暴力行為は不快だけれども、これはオレには「時には……」の次くらゐにランクインするかな。大泉町と館林がかなり詳しく語られるので苦笑ひ。
2008-05-19
139.愛と悔恨のカーニバル
打海文三・徳間書店(used)
アーバン・リサーチもの全5作品の最終作で、このまへに読んだ「されど修羅ゆく君は」の姫子が6年後の19歳で主人公になつてゐる。「時には懺悔を」の佐竹、中野聡子、鈴木ウネ子、寺西も登場する。どうもオレはこの人物たちがお気に入りらしい。今回の事件は猟奇的な殺人で、ややグロテスクに感じるところもある。むぎぶえと翼の姉弟の謎めいた部分を翼自身が分析し解説してしまふのは不満だ。本人の理解を超えた力や衝動に突き動かされて、なら受け入れられる。いづれにしても、続けて読んだ2作は、正直言つて物足りない。
アーバン・リサーチもの全5作品の最終作で、このまへに読んだ「されど修羅ゆく君は」の姫子が6年後の19歳で主人公になつてゐる。「時には懺悔を」の佐竹、中野聡子、鈴木ウネ子、寺西も登場する。どうもオレはこの人物たちがお気に入りらしい。今回の事件は猟奇的な殺人で、ややグロテスクに感じるところもある。むぎぶえと翼の姉弟の謎めいた部分を翼自身が分析し解説してしまふのは不満だ。本人の理解を超えた力や衝動に突き動かされて、なら受け入れられる。いづれにしても、続けて読んだ2作は、正直言つて物足りない。
2008-05-15
138.されど修羅ゆく君は
打海文三・徳間書店(used)
アーバン・リサーチ・シリーズの第二作。「時には懺悔を」の佐竹も名前だけ登場する。鈴木ウネ子と戸川姫子、野崎などの人物が生き生きしてゐる。殺人事件があり、犯人は誰かといふ筋書きはあるけれども、そつちのはうは今一つ現実味がない。それよりも人物が素晴らしい。野菜の話が詳しく出て来るのは、暫く農業をやつてゐたといふ経歴があるからか。
アーバン・リサーチ・シリーズの第二作。「時には懺悔を」の佐竹も名前だけ登場する。鈴木ウネ子と戸川姫子、野崎などの人物が生き生きしてゐる。殺人事件があり、犯人は誰かといふ筋書きはあるけれども、そつちのはうは今一つ現実味がない。それよりも人物が素晴らしい。野菜の話が詳しく出て来るのは、暫く農業をやつてゐたといふ経歴があるからか。
2008-05-12
137.私はそうは思わない
佐野洋子・ちくま文庫(used)
まへから思つてゐたのだが、エッセイに解説は要らない。解説やあとがきから読んでしまふやうな(オレみたいな)ヤツには先入観が出来てしまふから、よくないのだ。けれども、これは解説から読まなかつた。佐野洋子の本はそんなことは考へなくていい。最初から一枚一枚読んで行けばいい。先づ、なんと言つても、このタイトル!私はさうは思はない。いい言葉だなあ。中身は私はかう思ふ、が書かれてゐる。人間はなんてこんなにバカで間抜けで傲慢で小狡く惨めで素直で下品で素晴らしいものなんだらうね、と書かれてゐる。──蛇足。佐野洋子はオートバイに乗るのである。さういふ記述がある。それに古いバイクの雑誌で見たやうな、見ないやうな。更に車で奈良まで行くのである。東京都内も車で移動するのである。さういふ記述が出て来る。行動的な人なのだ、かなり。
まへから思つてゐたのだが、エッセイに解説は要らない。解説やあとがきから読んでしまふやうな(オレみたいな)ヤツには先入観が出来てしまふから、よくないのだ。けれども、これは解説から読まなかつた。佐野洋子の本はそんなことは考へなくていい。最初から一枚一枚読んで行けばいい。先づ、なんと言つても、このタイトル!私はさうは思はない。いい言葉だなあ。中身は私はかう思ふ、が書かれてゐる。人間はなんてこんなにバカで間抜けで傲慢で小狡く惨めで素直で下品で素晴らしいものなんだらうね、と書かれてゐる。──蛇足。佐野洋子はオートバイに乗るのである。さういふ記述がある。それに古いバイクの雑誌で見たやうな、見ないやうな。更に車で奈良まで行くのである。東京都内も車で移動するのである。さういふ記述が出て来る。行動的な人なのだ、かなり。
2008-05-05
136.ライトニング
ディーン・R・クーンツ/野村芳夫訳・文春文庫(used)
第一部の第一章を読みをはるまでは、いまひとつ乗り切れないでゐた。何度も読み直したりしながら、ゆつくりポツポツ読んでゐたのだつた。まあ、浦沢直樹のMONSTERも読んでたし、「述語集Ⅱ」も並行してたこともある。が、第二章に入るや、ローラが孤児院に引き取られてから第二部の第五章までの凡そ320頁、やめられなくなつてしまつた。トイレに立つ時間さへも惜しいくらゐ。「ストレンジャーズ」はネタバレで言つてしまふが、R.A.ハインラインの「異星の客」(Stranger in The Strange Land)を思ひ起こさせる題名からも解るとほり異星人との接触を扱つてをり、これは過去からのタイムトラベルなのだ。「宇宙家族ロビンソン」から「スタートレック」(ここはやはり「宇宙大作戦」と呼ぶべきだ)「タイムトンネル」などなど、子どもの頃にワクワクして見たり聞いたり読んだりした空想物語、SFと呼ぶにはもつと荒唐無稽な世界、それがこんなに分厚い本でみつちり真剣に書かれているのだから、途中でやめられるはずがない。──が、一つだけ。ラストシーン近くになると詠嘆調になるのがちよつと、ほんのちよつと白ける。
第一部の第一章を読みをはるまでは、いまひとつ乗り切れないでゐた。何度も読み直したりしながら、ゆつくりポツポツ読んでゐたのだつた。まあ、浦沢直樹のMONSTERも読んでたし、「述語集Ⅱ」も並行してたこともある。が、第二章に入るや、ローラが孤児院に引き取られてから第二部の第五章までの凡そ320頁、やめられなくなつてしまつた。トイレに立つ時間さへも惜しいくらゐ。「ストレンジャーズ」はネタバレで言つてしまふが、R.A.ハインラインの「異星の客」(Stranger in The Strange Land)を思ひ起こさせる題名からも解るとほり異星人との接触を扱つてをり、これは過去からのタイムトラベルなのだ。「宇宙家族ロビンソン」から「スタートレック」(ここはやはり「宇宙大作戦」と呼ぶべきだ)「タイムトンネル」などなど、子どもの頃にワクワクして見たり聞いたり読んだりした空想物語、SFと呼ぶにはもつと荒唐無稽な世界、それがこんなに分厚い本でみつちり真剣に書かれているのだから、途中でやめられるはずがない。──が、一つだけ。ラストシーン近くになると詠嘆調になるのがちよつと、ほんのちよつと白ける。
2008-05-02
135.述語集Ⅱ
中村雄二郎・岩波新書
200頁ちよつとの新書なのに1箇月以上も掛かつてしまつたのは、書いてあることがなかなか頭に入らなかつたせゐで、これが小説やエッセイの類ひなら文章の1つや2つ読み飛ばしてもあとで帳尻が合ふけれども、さうは問屋が卸さなかつた。それは取り上げられた述語の違ひもある。「Ⅰ」(因みに1993.10.03に読了)のはうが興味もあり耳にして気になつてゐた言葉──具体的には「アイデンティティ」「遊び」「差異」「ダブル・バインド」「通過儀礼」「トポス」「パラダイム」など──が多くて、もつとすんなり読めた気がする。とは言へ、やはり新書は物足りないものがある。内容がもつと気楽なものならよいのだが。それでも「老い」「グノーシス主義」「ヒトゲノム」「複雑系」などの項目は面白かつた。
200頁ちよつとの新書なのに1箇月以上も掛かつてしまつたのは、書いてあることがなかなか頭に入らなかつたせゐで、これが小説やエッセイの類ひなら文章の1つや2つ読み飛ばしてもあとで帳尻が合ふけれども、さうは問屋が卸さなかつた。それは取り上げられた述語の違ひもある。「Ⅰ」(因みに1993.10.03に読了)のはうが興味もあり耳にして気になつてゐた言葉──具体的には「アイデンティティ」「遊び」「差異」「ダブル・バインド」「通過儀礼」「トポス」「パラダイム」など──が多くて、もつとすんなり読めた気がする。とは言へ、やはり新書は物足りないものがある。内容がもつと気楽なものならよいのだが。それでも「老い」「グノーシス主義」「ヒトゲノム」「複雑系」などの項目は面白かつた。
2008-04-27
117.〜134.MONSTER 全18巻
浦沢直樹・ビッグコミックス小学館(used)
読み始めはいつだつたらう。2月の頭くらゐか。少しでも安く手に入れようと、あつちこつち捜しまはつて漸くけふ館林のBookOffで半額セールをやつてゐたので17と18を買つて来て読み終へた。読み応へは充分にあつた。凡そ二箇月かかつてるので、納得できない部分もあるんだけど、通した印象はもう一度ざつとでも読み返してからにしよう。けふは兎も角記録として。なにがMonsterだつたのか。この答へによつて、評価は変るかも知れない。──先づ、最終巻から振り返つて全体を眺めると、トルコ人街の焼き討ちとか、どこかの年寄りの町医者との話とか、省いてしまつても全体の印象はさうかはらない気がする。寄り道が多すぎないか。結末はもつと明確にヨハンの死、またはニーナの死で締め括つてほしかつた。テンマの死でもかまはない。怪物、怪物とさはがしかつた割に、怪物つてその程度なの?と疑問が湧く。
読み始めはいつだつたらう。2月の頭くらゐか。少しでも安く手に入れようと、あつちこつち捜しまはつて漸くけふ館林のBookOffで半額セールをやつてゐたので17と18を買つて来て読み終へた。読み応へは充分にあつた。凡そ二箇月かかつてるので、納得できない部分もあるんだけど、通した印象はもう一度ざつとでも読み返してからにしよう。けふは兎も角記録として。なにがMonsterだつたのか。この答へによつて、評価は変るかも知れない。──先づ、最終巻から振り返つて全体を眺めると、トルコ人街の焼き討ちとか、どこかの年寄りの町医者との話とか、省いてしまつても全体の印象はさうかはらない気がする。寄り道が多すぎないか。結末はもつと明確にヨハンの死、またはニーナの死で締め括つてほしかつた。テンマの死でもかまはない。怪物、怪物とさはがしかつた割に、怪物つてその程度なの?と疑問が湧く。
2008-04-21
116.種まく人──ヴィラデスト物語
玉村豊男・新潮文庫(used)
おしまひの章でベジタブルを読み解くところがある。生長・増殖するvegetateことが可能-able。「食用になる野草山菜のうち、人の管理下の植栽が可能なもの」をさう呼ぶ、と。農業は「人間が自然を自分の都合のよい方向にねじ曲げる行為」とも言ふ。が「実際には単に大きな自然のほんの少々のおあまりをいただくくらいのことしかできないのだ」といふ実感も語られる。長野の山奥に家を建て、農業を始めた経緯についてが語られるのだが、ところどころにかうした批評的な目が光つてゐる。「料理の四面体」もさうだつた。そこが面白い。
おしまひの章でベジタブルを読み解くところがある。生長・増殖するvegetateことが可能-able。「食用になる野草山菜のうち、人の管理下の植栽が可能なもの」をさう呼ぶ、と。農業は「人間が自然を自分の都合のよい方向にねじ曲げる行為」とも言ふ。が「実際には単に大きな自然のほんの少々のおあまりをいただくくらいのことしかできないのだ」といふ実感も語られる。長野の山奥に家を建て、農業を始めた経緯についてが語られるのだが、ところどころにかうした批評的な目が光つてゐる。「料理の四面体」もさうだつた。そこが面白い。
2008-04-17
115.高血圧の常識はウソばかり
桑島巌・朝日新書
カバーの裏にコピーして繰り返し使へる「書き込み式血圧チェックシート」が付いてゐる。それで買つたわけぢやないが。去年の10月に上が200といふ愕然とする数字を見て以来、高血圧に異常に興味を持つてしまつた。職場の健康診断のデータを調べたら5年くらゐまへまで130代だつのたが少しづつ上昇し始めたのだ。理由は解らないが、どうも尿酸値を気にして水を多く飲むやうになつたからではないか、と自己診断してゐる。生兵法は大けがの元。この本は実に読み易く、為になつた。ただ新書の宿命で物足りないのは否めない。どうすればいいのか、もつと具体的に、事例を挙げて、……なら病院で検査して貰ふのが一番だらう。
カバーの裏にコピーして繰り返し使へる「書き込み式血圧チェックシート」が付いてゐる。それで買つたわけぢやないが。去年の10月に上が200といふ愕然とする数字を見て以来、高血圧に異常に興味を持つてしまつた。職場の健康診断のデータを調べたら5年くらゐまへまで130代だつのたが少しづつ上昇し始めたのだ。理由は解らないが、どうも尿酸値を気にして水を多く飲むやうになつたからではないか、と自己診断してゐる。生兵法は大けがの元。この本は実に読み易く、為になつた。ただ新書の宿命で物足りないのは否めない。どうすればいいのか、もつと具体的に、事例を挙げて、……なら病院で検査して貰ふのが一番だらう。
2008-04-12
114.不敵雑記 たしなみなし
佐藤愛子・集英社文庫(used)
実に愉しく読めた。途中で飽きちまふかと思つたが、最後まで面白く、特におしまひのはうの幽霊騒動。筒井康隆の「笑犬樓よりの眺望」の第一回目に佐藤愛子の「何に向かって」といふエッセイが引用されてゐたのを読んで、いづれ纏まつたものを読みたいものだと思つてゐた。たぶん氏の本を読んだのは、これが初めて。親子くらゐのトシの差があるが、佐藤氏が取り上げる懐かしさは、オレの記憶にあるものとさうかはらない。ほかのも読もう。「何に向かつて」が入つてるのを捜すか。
実に愉しく読めた。途中で飽きちまふかと思つたが、最後まで面白く、特におしまひのはうの幽霊騒動。筒井康隆の「笑犬樓よりの眺望」の第一回目に佐藤愛子の「何に向かって」といふエッセイが引用されてゐたのを読んで、いづれ纏まつたものを読みたいものだと思つてゐた。たぶん氏の本を読んだのは、これが初めて。親子くらゐのトシの差があるが、佐藤氏が取り上げる懐かしさは、オレの記憶にあるものとさうかはらない。ほかのも読もう。「何に向かつて」が入つてるのを捜すか。
2008-03-17
113.おかしなことを聞くね
ローレンス・ブロック/田口俊樹・他訳・ハヤカワ文庫(used)
いつだつたか雑誌かなにかで宮部みゆきが薦めてゐた本で、偶然BookOffで見つけた。中町信の「三幕の殺意」の後で読み始めてゐたが、漸く読みをはつた。上手いねえ。タイトル作なんて7頁しかない。これも気に入つたが、好みから言ふと「我々は泥棒である」「動物収容所にて」「夜の泥棒のように」「無意味なことでも」「窓から外へ」かな。ローレンス・ブロックがシリーズで書いてる主人公が三人?出て来る。マット・スカダー、泥棒バーニィ、と後誰か。バーニィのシリーズは特に読んでみたいと思つた。斜に構へた感じの会話が面白い。マット・スカダーのはうはハード・ボイルドで、これもなかなかいい。兎に角上手い人だね。
いつだつたか雑誌かなにかで宮部みゆきが薦めてゐた本で、偶然BookOffで見つけた。中町信の「三幕の殺意」の後で読み始めてゐたが、漸く読みをはつた。上手いねえ。タイトル作なんて7頁しかない。これも気に入つたが、好みから言ふと「我々は泥棒である」「動物収容所にて」「夜の泥棒のように」「無意味なことでも」「窓から外へ」かな。ローレンス・ブロックがシリーズで書いてる主人公が三人?出て来る。マット・スカダー、泥棒バーニィ、と後誰か。バーニィのシリーズは特に読んでみたいと思つた。斜に構へた感じの会話が面白い。マット・スカダーのはうはハード・ボイルドで、これもなかなかいい。兎に角上手い人だね。
2008-03-15
112.トマソンの罠
とり・みき・文藝春秋(used)
いしかはじゆんの「漫画の時間」でも取り上げられてた人だけど、名前のみ見たことがあり実際に読んだことはなかつた。四コマの人かと漠然と思つてたら、つげ義春みたいなんだね。8篇収録されてゐるが、表題の「トマソンの罠」は都筑道夫の「夜のオルフェウス」を思はせる。wikiでいま調べたらつげ義春や水木しげる、白土三平とは縁がないみたいだが、建物とかアップになつた人物の書き方から、ちよつとそんなことを想像したのだ。「エリート」も面白かつた。「コインランドリー」は似たやうな設定のものを別の人で呼んだやうに思ふ。或は小説だつたか、テレビ番組の世にも不思議な辺りか。「雪の宿」が一番つげ的展開かな。「帰郷」は上手いと思つた。ありがちな筋書きだけど書き方がいい。すごく短いところもいい。
いしかはじゆんの「漫画の時間」でも取り上げられてた人だけど、名前のみ見たことがあり実際に読んだことはなかつた。四コマの人かと漠然と思つてたら、つげ義春みたいなんだね。8篇収録されてゐるが、表題の「トマソンの罠」は都筑道夫の「夜のオルフェウス」を思はせる。wikiでいま調べたらつげ義春や水木しげる、白土三平とは縁がないみたいだが、建物とかアップになつた人物の書き方から、ちよつとそんなことを想像したのだ。「エリート」も面白かつた。「コインランドリー」は似たやうな設定のものを別の人で呼んだやうに思ふ。或は小説だつたか、テレビ番組の世にも不思議な辺りか。「雪の宿」が一番つげ的展開かな。「帰郷」は上手いと思つた。ありがちな筋書きだけど書き方がいい。すごく短いところもいい。
2008-03-10
110.111.ストレンジャーズ 上・下
ディーン・R・クーンツ/宮脇孝雄訳・文春文庫(used)
面白かつたねえ。用事が入つて途中で本を置くのが惜しくて仕方がなかつた。名前だけは知つてたけど、ユッスー・ンドールみたい(名前を見たら、また聞きたくなつた)で読み難い名前だし、カタカナタイトルだし、表紙の絵がどれも好みぢやないし、ぶ厚いし、人がいつぱい出て来るし、面倒くさいので避けてゐた。しかし、初めて読んで驚いた。500頁を超える長さの2冊本を最後まで退屈させずに読ませるのだから凄い。細かい部分もよく書き込まれてゐるから、あり得ないやうな場面も抵抗がない。サスペンスのやうでSFのやうで、ファンタジーとも言へなくもないか。登場人物も魅力的だ。ジンジャー・ワイスをこの目で見たいし、ウィカジク神父、パーカー・フェイン、ジャック・ツイスト、リタ・ハナビィに会つてみたい。そしてリーランド・ファルカークの首根つこを摑んで考へられるだけの罵倒をしてやりたいくらゐだ。……が、文句を言へばキリがないところもある。ご都合主義的な展開だと言へば、それで終りだ。その辺りを捜して突ついたら成り立たない物語だ。大雑把な印象はハリウッド的SF映画のシナリオみたいなものだ。しかし、抜群に面白い。
面白かつたねえ。用事が入つて途中で本を置くのが惜しくて仕方がなかつた。名前だけは知つてたけど、ユッスー・ンドールみたい(名前を見たら、また聞きたくなつた)で読み難い名前だし、カタカナタイトルだし、表紙の絵がどれも好みぢやないし、ぶ厚いし、人がいつぱい出て来るし、面倒くさいので避けてゐた。しかし、初めて読んで驚いた。500頁を超える長さの2冊本を最後まで退屈させずに読ませるのだから凄い。細かい部分もよく書き込まれてゐるから、あり得ないやうな場面も抵抗がない。サスペンスのやうでSFのやうで、ファンタジーとも言へなくもないか。登場人物も魅力的だ。ジンジャー・ワイスをこの目で見たいし、ウィカジク神父、パーカー・フェイン、ジャック・ツイスト、リタ・ハナビィに会つてみたい。そしてリーランド・ファルカークの首根つこを摑んで考へられるだけの罵倒をしてやりたいくらゐだ。……が、文句を言へばキリがないところもある。ご都合主義的な展開だと言へば、それで終りだ。その辺りを捜して突ついたら成り立たない物語だ。大雑把な印象はハリウッド的SF映画のシナリオみたいなものだ。しかし、抜群に面白い。
2008-02-24
109.三幕の殺意
中町信・東京創元社
7年振りの新作などとしたり顔で言つても、実は05年の09月に「模倣の殺意」を文庫で初めて読み「こんなの書く人がゐるんだ」(日本にも、と解説を書いてる人たちは口を揃へるが、オレはまだクリスティの「アクロイド殺し」も読んでなかつたので)と驚きの余り蒐集を始めてまだ2年半だから、ずうつとまへから「錯誤のブレーキ」まで順番に読んで来た人みたいに、7年も待たされてはゐないのだ。それでも、もしまだ現役なら新作が読みたいと思つてたから、嬉しかつたね、実物を手にしたときは。さて、その中身は?まさに初期の中町作品だね。連続殺人でないところが、もともとは短いものだつたのかな、と思はせる。雪に閉ざされた山荘の、なんていふのは密室トリックの見本みたいなものらしいが(東野圭吾にそのまんまのタイトル小説がある)、けさ4時近くに目が覚めちまつて、風がやけにうるさいぜ、と外を見たら吹雪いてる。ホントかよ?戸沢とよさんと岡本花江さんの喋りは、この方言は上州弁かい?だらうな。「解説」にある「模倣の殺意」では「捨てトリックの小道具として使われた"ある機能"が」犯人のアリバイを鉄壁にするつて、どういふこと?
7年振りの新作などとしたり顔で言つても、実は05年の09月に「模倣の殺意」を文庫で初めて読み「こんなの書く人がゐるんだ」(日本にも、と解説を書いてる人たちは口を揃へるが、オレはまだクリスティの「アクロイド殺し」も読んでなかつたので)と驚きの余り蒐集を始めてまだ2年半だから、ずうつとまへから「錯誤のブレーキ」まで順番に読んで来た人みたいに、7年も待たされてはゐないのだ。それでも、もしまだ現役なら新作が読みたいと思つてたから、嬉しかつたね、実物を手にしたときは。さて、その中身は?まさに初期の中町作品だね。連続殺人でないところが、もともとは短いものだつたのかな、と思はせる。雪に閉ざされた山荘の、なんていふのは密室トリックの見本みたいなものらしいが(東野圭吾にそのまんまのタイトル小説がある)、けさ4時近くに目が覚めちまつて、風がやけにうるさいぜ、と外を見たら吹雪いてる。ホントかよ?戸沢とよさんと岡本花江さんの喋りは、この方言は上州弁かい?だらうな。「解説」にある「模倣の殺意」では「捨てトリックの小道具として使われた"ある機能"が」犯人のアリバイを鉄壁にするつて、どういふこと?
2008-02-18
108.アルバイト探偵 調毒師を捜せ
大沢在昌・講談社文庫(used)
続篇。これも一気に読んぢまつた。この親子探偵の設定はホントに面白い。このあとで3つ長篇が書かれてゐるが、このテンポの良さは短篇のはうが楽しいのでは?ドラマにしても面白いかも知れない。第1策のはうが好きだね。今度は「痛快コメディアクション」となつてる。
続篇。これも一気に読んぢまつた。この親子探偵の設定はホントに面白い。このあとで3つ長篇が書かれてゐるが、このテンポの良さは短篇のはうが楽しいのでは?ドラマにしても面白いかも知れない。第1策のはうが好きだね。今度は「痛快コメディアクション」となつてる。
107.アルバイト探偵
大沢在昌・講談社文庫(used)
一気に全4話読んでしまつた。「新宿鮫」が面白かつたので、他のを読んでみた。私立探偵親子の設定で、それもちよつと怪しいフリがあり、特に親父の涼介は一体何者だいと引つ張る。兎に角テンポが早くていい。「痛快アクションミステリー」と頭についてるけど、正にその通り、充分楽しんだ。「新宿鮫」よりも2年くらゐ前の作品。大沢在昌つて、生まれた年が同じなんだよねえ。
一気に全4話読んでしまつた。「新宿鮫」が面白かつたので、他のを読んでみた。私立探偵親子の設定で、それもちよつと怪しいフリがあり、特に親父の涼介は一体何者だいと引つ張る。兎に角テンポが早くていい。「痛快アクションミステリー」と頭についてるけど、正にその通り、充分楽しんだ。「新宿鮫」よりも2年くらゐ前の作品。大沢在昌つて、生まれた年が同じなんだよねえ。
2008-02-16
106.笑犬樓よりの眺望
筒井康隆・新潮文庫(used)
ずゐぶん久し振りだね、筒井康隆を読んだのは。結構何冊も読んでるはずだけど、……近いところで「虚航船団」は読んでなくて、「串刺し教授」は読んだ。「エロチック街道」と「虚人たち」は読んだけど「夢の木坂分岐点」と「歌と饒舌の戦記」は読んでないよなあ。この本の中に出て来る「朝のガスパール」と「パプリカ」は間違ひなく読んでない。暫く空いてしまつたのは、なにも断筆したからではない。これは断筆宣言までの10年間(1984〜1993年まで)に「噂の真相」(読んだことない)といふ雑誌に連載されてゐたもの。マスコミに自浄作用がない、など同じやうなことを考へる人がゐるのを知ると心強いね。ビニール蛙が誰なのか解らなかつたが、ネットでそのまま検索したら解つた。
ずゐぶん久し振りだね、筒井康隆を読んだのは。結構何冊も読んでるはずだけど、……近いところで「虚航船団」は読んでなくて、「串刺し教授」は読んだ。「エロチック街道」と「虚人たち」は読んだけど「夢の木坂分岐点」と「歌と饒舌の戦記」は読んでないよなあ。この本の中に出て来る「朝のガスパール」と「パプリカ」は間違ひなく読んでない。暫く空いてしまつたのは、なにも断筆したからではない。これは断筆宣言までの10年間(1984〜1993年まで)に「噂の真相」(読んだことない)といふ雑誌に連載されてゐたもの。マスコミに自浄作用がない、など同じやうなことを考へる人がゐるのを知ると心強いね。ビニール蛙が誰なのか解らなかつたが、ネットでそのまま検索したら解つた。
2008-02-11
105.名探偵コナン コナンからの挑戦状
青山剛昌・小学館(used)
生憎テレビのアニメは見たことがない。番組の前後でチラッと見たり、予告を見たことがある程度。勿論、原作の漫画も読んだことがなかつた。それがこないだ、たまたま車のオイル交換で立ち寄つたオートアールズの待合所にコナンが何冊も並んでゐて、読んだら意外に面白かつたのだ。そのときに読んだのがFile4。この本は事件篇と解決篇の2冊に分かれてゐる。全部で7つの事件があり、どれもなかなかよく出来てゐるが、気になるところもある。ネタバレになつちやふけど、File1椅子のうへから後ろ向きに飛ぶなんて体操選手ですか?逆に蹴る恰好になつて椅子は倒れてしまふでせう。File5将棋の話が予め出てないのはどうでせう。File6包帯を間違へて巻きますかね、それとトイレの順番は違ふんぢやないの?それに流石に人間を投げ下ろしたらドサッとか音がするでせう。便器にでも当たれば大変な音がすると思ふよ。(その後なぜ工藤新一がコナンになつちまつたのか知りたくて、コミックの第一巻をBookOffで買つてしまつた。ははは。)
生憎テレビのアニメは見たことがない。番組の前後でチラッと見たり、予告を見たことがある程度。勿論、原作の漫画も読んだことがなかつた。それがこないだ、たまたま車のオイル交換で立ち寄つたオートアールズの待合所にコナンが何冊も並んでゐて、読んだら意外に面白かつたのだ。そのときに読んだのがFile4。この本は事件篇と解決篇の2冊に分かれてゐる。全部で7つの事件があり、どれもなかなかよく出来てゐるが、気になるところもある。ネタバレになつちやふけど、File1椅子のうへから後ろ向きに飛ぶなんて体操選手ですか?逆に蹴る恰好になつて椅子は倒れてしまふでせう。File5将棋の話が予め出てないのはどうでせう。File6包帯を間違へて巻きますかね、それとトイレの順番は違ふんぢやないの?それに流石に人間を投げ下ろしたらドサッとか音がするでせう。便器にでも当たれば大変な音がすると思ふよ。(その後なぜ工藤新一がコナンになつちまつたのか知りたくて、コミックの第一巻をBookOffで買つてしまつた。ははは。)
2008-02-04
104.猿島館の殺人
折原一・光文社文庫(used)
「七つの棺」に登場した黒星警部もの。ポーの「モルグ街の殺人」(読んだことがあるが、よく覚えてゐない)ほか幾つかの作品を下敷きにしてゐるやうだ。パロディなんだとさ。なかなか面白かつたね。同じコンビ(黒星・葉山虹子)で「鬼面村の殺人」(旧題「鬼が来たりてホラを吹く」)が先に書かれてゐるので、そつちも見つけたら買つて置かうか。新本格推理の書き手たちとほぼ同時期に書き始めたと思ふが、あつちはいま一つ乗れない。折原一のほうが好みだな。まへに内田康夫のところで言つたが、これも年代がはつきりしないのだが、現在から遡つて例へば一つの事件がある、なんて場合にはやつぱり漠然とでも現在時を知る記述がほしい、といふ意味で言つたので、これはそんなことは気にならない。
「七つの棺」に登場した黒星警部もの。ポーの「モルグ街の殺人」(読んだことがあるが、よく覚えてゐない)ほか幾つかの作品を下敷きにしてゐるやうだ。パロディなんだとさ。なかなか面白かつたね。同じコンビ(黒星・葉山虹子)で「鬼面村の殺人」(旧題「鬼が来たりてホラを吹く」)が先に書かれてゐるので、そつちも見つけたら買つて置かうか。新本格推理の書き手たちとほぼ同時期に書き始めたと思ふが、あつちはいま一つ乗れない。折原一のほうが好みだな。まへに内田康夫のところで言つたが、これも年代がはつきりしないのだが、現在から遡つて例へば一つの事件がある、なんて場合にはやつぱり漠然とでも現在時を知る記述がほしい、といふ意味で言つたので、これはそんなことは気にならない。
2008-01-31
103.軽井沢殺人事件
内田康夫・光文社文庫(used)
軽井沢には20代の半ばに住んでたことがあるので読んでみようかと思つた。年代としてはオレがゐた頃より10年くらゐ後の話らしい。らしい、と言ふのは、内田康夫のミステリーは例へばそれが昭和何年、平成何年の事件かといふことが明記されてないからだ。雑誌に掲載された時点、または書き下ろしで出版された時点がその舞台なのだらう、と推測するしかない。時代背景はそんなに変らないね。モデルになつた茜屋珈琲店には二回くらゐ行つたことがあるかな。いろんなカップが壁に並んでゐて選べたやうな気がする。信濃のコロンボ・竹村岩男と浅見光彦の共演作。公安と警察の対立とか、旧華族や政財界の大物とか、裏取引とか、いろいろ扱つてるけど、ちつとも暗く感じないのは広く浅くといふ読み物としてのミステリーだからかな。トリックがどう、刑事たちの推理がどう、もう、さういふ世界ではない。読み物ですね。29日に読みおはつたけど、時間が取れなくて書けなかつた。急いで書いてるので後で修正するかも。
軽井沢には20代の半ばに住んでたことがあるので読んでみようかと思つた。年代としてはオレがゐた頃より10年くらゐ後の話らしい。らしい、と言ふのは、内田康夫のミステリーは例へばそれが昭和何年、平成何年の事件かといふことが明記されてないからだ。雑誌に掲載された時点、または書き下ろしで出版された時点がその舞台なのだらう、と推測するしかない。時代背景はそんなに変らないね。モデルになつた茜屋珈琲店には二回くらゐ行つたことがあるかな。いろんなカップが壁に並んでゐて選べたやうな気がする。信濃のコロンボ・竹村岩男と浅見光彦の共演作。公安と警察の対立とか、旧華族や政財界の大物とか、裏取引とか、いろいろ扱つてるけど、ちつとも暗く感じないのは広く浅くといふ読み物としてのミステリーだからかな。トリックがどう、刑事たちの推理がどう、もう、さういふ世界ではない。読み物ですね。29日に読みおはつたけど、時間が取れなくて書けなかつた。急いで書いてるので後で修正するかも。
2008-01-27
102.伊香保殺人事件
内田康夫・光文社文庫(used)
これを読んで漸くわかつたのは、内田ミステリーはいはゆる本格ミステリーではない、といふことだ。だから、犯人が見つからないやうに工作をしても、それは「鉄壁なアリバイ」とか「見事なトリック」ではないワケなんだ、とホントに漸く納得した。さう、題名の脇に書いてあるのは「長篇推理小説」であり、「本格推理小説」ではない。どうしてそんな風に勘違ひしちまつたのだらう。鮎川哲也の評かなにかを読んだのかも知れない。それで、さう思ひ込んでたのかも。……どつちにしても、失礼しました。これまでの苦言は的外れだつたかも。普通の推理小説として読めば充分楽しめる。そのまま書いてある通りに読んで行けばいいんだから、楽。売れるワケだ。で、この「伊香保殺人事件」もさう。これは浅見光彦シリーズの一つ。最初に登場する焼死体が誰で、ロープウェーの崖下で死んだ女の目撃者は誰か、なんてことに煩はされずに、ひたすら文字を追つて行けば事件は解決する。至れり尽くせりの推理小説だ。ちよつと物足りない気もするが、石川真介の「本格推理小説」よりは数段マシだ。
これを読んで漸くわかつたのは、内田ミステリーはいはゆる本格ミステリーではない、といふことだ。だから、犯人が見つからないやうに工作をしても、それは「鉄壁なアリバイ」とか「見事なトリック」ではないワケなんだ、とホントに漸く納得した。さう、題名の脇に書いてあるのは「長篇推理小説」であり、「本格推理小説」ではない。どうしてそんな風に勘違ひしちまつたのだらう。鮎川哲也の評かなにかを読んだのかも知れない。それで、さう思ひ込んでたのかも。……どつちにしても、失礼しました。これまでの苦言は的外れだつたかも。普通の推理小説として読めば充分楽しめる。そのまま書いてある通りに読んで行けばいいんだから、楽。売れるワケだ。で、この「伊香保殺人事件」もさう。これは浅見光彦シリーズの一つ。最初に登場する焼死体が誰で、ロープウェーの崖下で死んだ女の目撃者は誰か、なんてことに煩はされずに、ひたすら文字を追つて行けば事件は解決する。至れり尽くせりの推理小説だ。ちよつと物足りない気もするが、石川真介の「本格推理小説」よりは数段マシだ。
2008-01-24
101.蜃気楼の殺人
折原一・光文社文庫(used)
原題は「奥能登殺人旅行」。1992年11月カッパノベルス刊。中町信の新作かな、と思ふやうなタイトル。さう、「能登路殺人行」といふのが多門耕作シリーズで、ある。1992年4月ケイブンシャノベルス刊。まあ、能登を舞台にしたミステリーは山ほどあるだらうが。終盤の種明かしで少し急いでゐる気がする。「沈黙者」がたつぷり書き込まれてゐたので、さう感じるのかも。中町信風なところが、よい。旅館に本館と別館があること、現在と過去のカラクリに注意しないといけない。
原題は「奥能登殺人旅行」。1992年11月カッパノベルス刊。中町信の新作かな、と思ふやうなタイトル。さう、「能登路殺人行」といふのが多門耕作シリーズで、ある。1992年4月ケイブンシャノベルス刊。まあ、能登を舞台にしたミステリーは山ほどあるだらうが。終盤の種明かしで少し急いでゐる気がする。「沈黙者」がたつぷり書き込まれてゐたので、さう感じるのかも。中町信風なところが、よい。旅館に本館と別館があること、現在と過去のカラクリに注意しないといけない。
2008-01-19
100.新宿鮫
大沢在昌・光文社文庫(used)
面白かつた。シリーズを続けて読んでみたいくらゐ。晶との遣り取りとか、絡みのところは凄く面映い。犯人が最初のはうで主人公と接触する場面は自然だし、上手い。エドの扱ひも最後まで目配りしてるのが、いい。ひよつとしたら作者のネガかも。謎が、犯人は誰かが主眼ではないのに配慮されてる。どうやつて殺したのか、まで明らかにしなくてはいけないタイプの小説ではないから、勝手に想像すればよいことだ。非常に緊張感のある展開で、ハラハラさせられる。それは「スナーク狩り」にも言へるけど。
年ごとに1から始めるのは止めて通し番号にした。再読は含まない。
面白かつた。シリーズを続けて読んでみたいくらゐ。晶との遣り取りとか、絡みのところは凄く面映い。犯人が最初のはうで主人公と接触する場面は自然だし、上手い。エドの扱ひも最後まで目配りしてるのが、いい。ひよつとしたら作者のネガかも。謎が、犯人は誰かが主眼ではないのに配慮されてる。どうやつて殺したのか、まで明らかにしなくてはいけないタイプの小説ではないから、勝手に想像すればよいことだ。非常に緊張感のある展開で、ハラハラさせられる。それは「スナーク狩り」にも言へるけど。
年ごとに1から始めるのは止めて通し番号にした。再読は含まない。
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